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第4章 7階層攻略編
第106話 物質転移スキル
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ここに来て予想外の展開が起きてしまった。
5体のミミックのうちの防御特化のアミナを倒したと思った瞬間、うさぴょんが脱落させられてしまったのだ。
うさぴょんを倒したのは箱助。
僕らがアヌビスと戦っている時にあったジークフリートの指示は、アヌビスではなく箱助に向けられたものだったのだ。
これで相手チーム6体に対し、こちらは2体+使役ミミック37体。
うさぴょんが抜けた分、こちらがやや不利となった。
気落ちする間すら与えてくれない、箱助がここぞとばかりに襲いかかってきた。
今度は箱助単騎の特攻ではない。
間を空けてアヌビス、ナースが並んでおり、最後尾にはファニーボックスの重複亭箱太郎が向かってきている。
ここで流れを変えるためには、箱助を倒す必要がある。
僕は箱助の攻撃に応じると見せかけて、急遽右方向に方向転換した。
僕を追って向かってくる箱助。
残りのミミックも追いかけてきたが、その前にタケルが立ちはだかった。
(へへ、兄貴をやらせねぇよ。)
タケルは舌を大きな拳の形に変化させて、ナースに殴りかかった。
ナースは咄嗟に後方に飛び退き攻撃を避けたが、タケルの舌は拳から無数の触手へと変化した。
今度は無数の触手がナースを襲う。
今度はナースは攻撃を避けられず、触手が体中に巻きついたのだ。
ナースを救おうとタケルに向かうファラオボックスのアヌビス。
ファラオ得意の【呪い】攻撃が、タケルの側面から襲いかかった。
しかし、アヌビスの攻撃が届く前に、タケルはナースに電撃攻撃を行った。
「ひぃぃぃ」
ナースの悲痛な叫び声が僕の耳にまで届いたのだ。
ナースは身動きすることさえできず、そのまま沈黙してしまった。
その直後にファラオの攻撃をまともに受けたタケル。
タケルの内部に小爆発が起こり、後方にはじかれてしまった。
僕も負けてはいられない。
【能力解放Lv8】を使用すると、多大なスキルポイントと引き換えに僕のステータスが一時的に大幅に跳ね上がる。
箱助はお構いなしにハンマーで僕に振り下ろす。
しかし、そのハンマーを僕は【奪うLv9】で奪い、そのまま僕の箱の中に収納した。
武器を奪われ、一旦距離を取ろうとする箱助を僕は逃がさない。
【暴食】で箱助との距離を食べ、近づいたところに【大飯食らい】で避ける間もない噛みつきの連続攻撃を行ったのだ。
幸いアヌビスはタケルの作戦により、僕から離れている。
おそらく彼の物質転移は、この距離では届かないだろう。
逃げる箱助を助けようと残りのミミックが僕に襲いかかってきた。
しかし、それよりも速く僕は箱助に噛みついた。
・・・はずだった。
僕が噛みついたのは箱助ではなく、僕に攻撃を仕掛けていたミミックのうちの1体。
【物質転移】のスキルがここでも行われたのだ。
しかし、どうやって?
アヌビスはタケルとの闘いに集中していて、スキルを使う間も無かっただろう。
そもそも、本当にアヌビスが【物質転移】のスキルを持っていたのか?
確かに僕がナースに噛みつこうとした時、その場にいたのはアヌビスだった。
だから僕はアヌビスが【物質転移】を行ったと思っていた。
しかし、よくよく考えてみればあの場にもう一体のミミックがいた。
ファニーボックスの重複亭箱太郎だ。
その予感はすぐに的中した。
今まで後方支援に徹していたファニーボックスの重複亭箱太郎が、突然牙を剥いてきたのだ。
彼は箱助がいた場所に瞬時に現れ、箱助は箱太郎の位置へと転位した。
突然僕の前に現れた重複亭箱太郎に、渾身の毒針を吹きかける。
しかし彼は、僕の毒針を当たる前に消してしまったのだ。
さらに箱太郎は、僕の頭上に消した毒針を転位させた。
勢いを保ったまま僕に向かって落ちてくる毒針。
僕は【物理無視】を使用し、その毒針を彼のいる方向へと変位させた。
しかし、重複亭箱太郎に届く前に毒針は方向を変えて地面に落下する。
間違いない。彼は【物理転位】だけでなく【物理無視】のスキルを所持している。
しかも、彼は僕よりも高レベルの物理操作が可能だろう。
彼が見せてきたマジックは、高レベルの物理操作系スキルだったのだ。
僕と重複亭箱太郎との対決に、側面から高スピードで突っ込んでくるミミック。
このミミックは5体以外のミミックとはいえ、ずっといい動きをしていた。
黒をベースにした小柄な宝箱の持ち主で、確かしのぶという名前だ。
スピードを利用した攪乱攻撃が得意で、スピードだけなら全ミミック中トップクラスだろう。
一瞬僕の意識はしのぶにフォーカスされる。もちろんその瞬間を、重複亭箱太郎は見逃さなかった。
瞬時に箱太郎は、彼としのぶの位置を入れ替える。
突然僕の目の前に現れたしのぶ。彼女は既に攻撃の態勢を取っていた。
咄嗟に舌で防御をしようとするも、しのぶのスピードは僕を遥かに上回っていた。
僕の防御をすり抜け、しのぶの攻撃は的確に僕の頭上に振り下ろされる。
しのぶの硬化した強烈な舌攻撃を、僕は無防備に受けてしまったのだ。
メシッ
しのぶの攻撃は、亀裂が入った僕の体にピンポイントでヒットした。
宝箱の破片が宙に舞う。
痛みを堪えながら僕は舌を振り回したが、すでにしのぶは僕の目の前から姿を消していた。
そこに現れたのは箱助だ。
今度は武器をもたず、強烈な舌を僕の頭上に振り下ろす。
能力解放中の僕の舌の硬さは、彼のパワーにも負けていない。
僕は防御した舌を振り上げ、箱助を宙へ弾き飛ばした。
空中で制御を失った箱助。必死で体勢を戻そうと体を大きく揺する。
これはチャンスだ!
僕は箱助に向かって飛び込み、空中で体勢の整っていない箱助の体に噛みついた。
ミシッ。
鈍い音が僕の耳にはっきりと聞こえてきた。
ついに僕は相手のリーダー格の箱助を退場させることに成功したのだ。
思わずガッツポーズをしたい衝動にとらわれる。
しかし、安心したのも束の間。
僕は背中に激痛を感じ、噛んでいた箱助を吐き出した。
しまった。油断した。
僕は受け身すら取ることが出来ず、地面に激突。
なんと僕の背中から箱の前面を、黒光りする槍が貫通しているのだ。
狙われた。
もう一本の槍を舌で絡ませながら、しのぶは僕に再度狙いをつけている。
まさか、あの箱助が囮だったのか!?
槍を抜こうともがいている僕に、2本目の槍が突き刺さった。
5体のミミックのうちの防御特化のアミナを倒したと思った瞬間、うさぴょんが脱落させられてしまったのだ。
うさぴょんを倒したのは箱助。
僕らがアヌビスと戦っている時にあったジークフリートの指示は、アヌビスではなく箱助に向けられたものだったのだ。
これで相手チーム6体に対し、こちらは2体+使役ミミック37体。
うさぴょんが抜けた分、こちらがやや不利となった。
気落ちする間すら与えてくれない、箱助がここぞとばかりに襲いかかってきた。
今度は箱助単騎の特攻ではない。
間を空けてアヌビス、ナースが並んでおり、最後尾にはファニーボックスの重複亭箱太郎が向かってきている。
ここで流れを変えるためには、箱助を倒す必要がある。
僕は箱助の攻撃に応じると見せかけて、急遽右方向に方向転換した。
僕を追って向かってくる箱助。
残りのミミックも追いかけてきたが、その前にタケルが立ちはだかった。
(へへ、兄貴をやらせねぇよ。)
タケルは舌を大きな拳の形に変化させて、ナースに殴りかかった。
ナースは咄嗟に後方に飛び退き攻撃を避けたが、タケルの舌は拳から無数の触手へと変化した。
今度は無数の触手がナースを襲う。
今度はナースは攻撃を避けられず、触手が体中に巻きついたのだ。
ナースを救おうとタケルに向かうファラオボックスのアヌビス。
ファラオ得意の【呪い】攻撃が、タケルの側面から襲いかかった。
しかし、アヌビスの攻撃が届く前に、タケルはナースに電撃攻撃を行った。
「ひぃぃぃ」
ナースの悲痛な叫び声が僕の耳にまで届いたのだ。
ナースは身動きすることさえできず、そのまま沈黙してしまった。
その直後にファラオの攻撃をまともに受けたタケル。
タケルの内部に小爆発が起こり、後方にはじかれてしまった。
僕も負けてはいられない。
【能力解放Lv8】を使用すると、多大なスキルポイントと引き換えに僕のステータスが一時的に大幅に跳ね上がる。
箱助はお構いなしにハンマーで僕に振り下ろす。
しかし、そのハンマーを僕は【奪うLv9】で奪い、そのまま僕の箱の中に収納した。
武器を奪われ、一旦距離を取ろうとする箱助を僕は逃がさない。
【暴食】で箱助との距離を食べ、近づいたところに【大飯食らい】で避ける間もない噛みつきの連続攻撃を行ったのだ。
幸いアヌビスはタケルの作戦により、僕から離れている。
おそらく彼の物質転移は、この距離では届かないだろう。
逃げる箱助を助けようと残りのミミックが僕に襲いかかってきた。
しかし、それよりも速く僕は箱助に噛みついた。
・・・はずだった。
僕が噛みついたのは箱助ではなく、僕に攻撃を仕掛けていたミミックのうちの1体。
【物質転移】のスキルがここでも行われたのだ。
しかし、どうやって?
アヌビスはタケルとの闘いに集中していて、スキルを使う間も無かっただろう。
そもそも、本当にアヌビスが【物質転移】のスキルを持っていたのか?
確かに僕がナースに噛みつこうとした時、その場にいたのはアヌビスだった。
だから僕はアヌビスが【物質転移】を行ったと思っていた。
しかし、よくよく考えてみればあの場にもう一体のミミックがいた。
ファニーボックスの重複亭箱太郎だ。
その予感はすぐに的中した。
今まで後方支援に徹していたファニーボックスの重複亭箱太郎が、突然牙を剥いてきたのだ。
彼は箱助がいた場所に瞬時に現れ、箱助は箱太郎の位置へと転位した。
突然僕の前に現れた重複亭箱太郎に、渾身の毒針を吹きかける。
しかし彼は、僕の毒針を当たる前に消してしまったのだ。
さらに箱太郎は、僕の頭上に消した毒針を転位させた。
勢いを保ったまま僕に向かって落ちてくる毒針。
僕は【物理無視】を使用し、その毒針を彼のいる方向へと変位させた。
しかし、重複亭箱太郎に届く前に毒針は方向を変えて地面に落下する。
間違いない。彼は【物理転位】だけでなく【物理無視】のスキルを所持している。
しかも、彼は僕よりも高レベルの物理操作が可能だろう。
彼が見せてきたマジックは、高レベルの物理操作系スキルだったのだ。
僕と重複亭箱太郎との対決に、側面から高スピードで突っ込んでくるミミック。
このミミックは5体以外のミミックとはいえ、ずっといい動きをしていた。
黒をベースにした小柄な宝箱の持ち主で、確かしのぶという名前だ。
スピードを利用した攪乱攻撃が得意で、スピードだけなら全ミミック中トップクラスだろう。
一瞬僕の意識はしのぶにフォーカスされる。もちろんその瞬間を、重複亭箱太郎は見逃さなかった。
瞬時に箱太郎は、彼としのぶの位置を入れ替える。
突然僕の目の前に現れたしのぶ。彼女は既に攻撃の態勢を取っていた。
咄嗟に舌で防御をしようとするも、しのぶのスピードは僕を遥かに上回っていた。
僕の防御をすり抜け、しのぶの攻撃は的確に僕の頭上に振り下ろされる。
しのぶの硬化した強烈な舌攻撃を、僕は無防備に受けてしまったのだ。
メシッ
しのぶの攻撃は、亀裂が入った僕の体にピンポイントでヒットした。
宝箱の破片が宙に舞う。
痛みを堪えながら僕は舌を振り回したが、すでにしのぶは僕の目の前から姿を消していた。
そこに現れたのは箱助だ。
今度は武器をもたず、強烈な舌を僕の頭上に振り下ろす。
能力解放中の僕の舌の硬さは、彼のパワーにも負けていない。
僕は防御した舌を振り上げ、箱助を宙へ弾き飛ばした。
空中で制御を失った箱助。必死で体勢を戻そうと体を大きく揺する。
これはチャンスだ!
僕は箱助に向かって飛び込み、空中で体勢の整っていない箱助の体に噛みついた。
ミシッ。
鈍い音が僕の耳にはっきりと聞こえてきた。
ついに僕は相手のリーダー格の箱助を退場させることに成功したのだ。
思わずガッツポーズをしたい衝動にとらわれる。
しかし、安心したのも束の間。
僕は背中に激痛を感じ、噛んでいた箱助を吐き出した。
しまった。油断した。
僕は受け身すら取ることが出来ず、地面に激突。
なんと僕の背中から箱の前面を、黒光りする槍が貫通しているのだ。
狙われた。
もう一本の槍を舌で絡ませながら、しのぶは僕に再度狙いをつけている。
まさか、あの箱助が囮だったのか!?
槍を抜こうともがいている僕に、2本目の槍が突き刺さった。
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