朝起きるとミミックになっていた ~捕食するためには戦略が必要なんです~

めしめし

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第4章 7階層攻略編

第92話 新ミミックの強さ

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馬鹿を倒せば付きまとわれない。
それならシンプルでいい。

すでに戦闘態勢になっている馬鹿に向き直り、同じように戦闘態勢を取った。
見ればみるほど、馬鹿の宝箱は奇抜だ。
真紫で染められた宝箱に白字で「夜露死苦」とペイントされてある。
宝箱の大きさは僕と同じか、やや大きいくらいだろう。

一体どんな闘い方をするのだろうか?
ここまで来れるくらいだから、ある程度は強いのだろう。

僕と馬鹿とのにらみ合いが続く。
しかし、ずっと睨んでいても仕方がない。
そういや、馬鹿の名前を知らないことに気が付いた。
まずは、名前を聞いて状況を変えてみよう。

(君の名前を教えてくれ)

予想外の質問だったのだろうか?
馬鹿の動きが一瞬止まった。

(あれー、兄貴、俺っち名前を言ってなかったっけ?
俺っちの名前はタケルだ。)

タケル。日本名だ。やはり彼もプレイヤーなのだ。
海外からのプレイヤーは見たことがない、このゲームは日本限定なのだろうか?
戦う相手のことが確認できたので、まずは僕から動いて見よう。

僕は彼に毒針を吹きかけ、同時に暗黒魔法【ブラックフォグ】を使用。
僕たちの周りに黒い霧が現れる。
同時に僕は気付かれないようにメタルブーメランを投げつけていた。
ブーメランを直接狙うのではなく、戻ってきた時に当たる角度に調節していた。

真っ暗な視界の中でも僕の毒針をわずかに動いてかわすタケル。
かわしたところに僕の投げたメタルブーメランが、後方から襲いかかった。

完全に意表をついた攻撃。
これはかわせまい。

しかし、タケルはブーメランすらわずかに動くだけでかわした。
どうやらタケルは防御が得意らしい。

これならどうだ。
僕は【岩石投げLv1】を使用。
僕の目の前に直径1mほどの岩石が現れる。

僕はタケルに向かって岩石を投げつけた。
余裕を持ってかわすタケル。

しかし、僕の狙いはただ岩石を投げるだけでは無かった。
僕は魔眼スキルのうちの一つ【爆発】でタケルの目の前で岩石を破壊する。
割れた岩石の破片を全て、【物理無視LV6】を使用しタケルを狙って方向転換させた。

運動保存の法則を無視し、動きを帰られた無数の岩石の破片がタケルに襲いかかる。
しかし、僕の狙いが分かっていたかの如く、タケルは余裕で全ての破片をかわしたのだ。

それならこれはどうだ。
僕は岩石をかわし続けているタケルに向かって、直接【タックル】で突進。
もちろんタックルが当たるとは思っていない。
僕の本命はかわされたところに、肉眼では見えないほど細いワイヤーで彼を巻きつけることだった。

しかし、ワイヤーすらもかわすタケル。
ブラックフォグで視界が悪くても、タケルには攻撃が全て見えているのだ。

逆にバランスを崩した僕に、今度はタケルが攻撃を仕掛けてきた。
タケルは舌を僕に向かって振り下ろす。
特に何のひねりもない、舌での攻撃だ。
僕はかわすと同時に、僕も舌攻撃をしようと攻撃態勢をとった。

バシッ

かわしたと思った舌が僕の箱に直撃。
えっ、なんで?
僕は困惑していた。
確実に攻撃をかわしたはずだった。なぜ当たったんだ?

動揺する僕にタケルは再度舌攻撃をしかけてきた。
僕は攻撃をかわそうと試みるも、ことごとく僕にヒットするのだ。
一体どうやっているのだろう。
タケルの攻撃自体は単純だ。
僕に向かって舌を振り回しているだけなのだ。
しかし、その単純な攻撃がなぜかかわせない。

ダメージ自体はほとんどない。
タケルの攻撃は僕にとっては軽すぎるのだ。

僕は【鉄壁LV7】でヒットしたタケルの舌をはじき返すと、態勢を崩したタケルに魔眼スキル【雷撃】で防御不能な攻撃を行った。
しかし、タケルもすぐさま【電撃】を返す。
お互いの魔眼スキルで、【雷撃】を相殺した。

どうやら普通の攻撃では当たらないらしい。
僕は【ブラックホールLv3】+【相互理解Lv3】+【暴食Lv3】を組み合わせた。
レアスキル3つの同時使用は、激しく僕のSPを奪い取る。

これが今の僕の最大の攻撃だ。
タケルのまわりにブラックホールが無数に現れる。
多方向から同時にタケルに向かって吸引をし始めた。

激しく振動するタケルの箱。
なんとか今は僕の攻撃を耐えてはいるが、そう長くは持たないだろう。
タケルはその場に留まって僕の攻撃を耐え続ける。

激しい吸引攻撃にさらされているタケルは、舌を大きく伸ばしたかと思うと自分の箱を舌で巻きつけた。
一体何をするつもりだ。
僕はタケルの動きを警戒した。

次の瞬間、タケルの体が消失した。
なんとタケルがその場からいなくなったのだ。

僕は辺りを見回してタケルを探したが、彼の気配は一切感じられない。
完全にその場からいなくなってしまったのだ。

僕がタケルを探してキョロキョロと周りを見回すと、急に僕の背中に刃物を突き当てられた感覚を感じた。
なんとタケルが僕の背中に剣を突き付けていた。
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