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第4章 7階層攻略編
第83話 ハルク復活!?
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久しぶりに夢を見た。
僕が人との距離を置く前の頃の夢だ。
僕の思い出したくない黒歴史の一つ。
どうして今更見るんだろう…。
僕はゆっくりと目を開けた。
視界は良好。
聴覚や触覚も問題ない。
僕とハルクに刺さっていた槍もいつの魔にか消えている。
箱の傷はそのままだが、問題はないだろう。
ハルクは僕を守るように覆いかぶさっている。
ハルクの傷は癒えてはおらず、血が僕の開いた口の中に滴っていた。
僕は間接的にハルクの血を摂取していたのだ。
その時、僕にふいにある考えが浮かんできた。
ハルクも転生者なんじゃ…。
夢に出てきた不良高校生、あいつがひょっとしてハルク?
でも今はそんなことを考えている暇はない。
ハルクは重傷を負っている。
まずは治療してあげないと。
【癒しの光】
僕は僕の持っている最大の回復魔法をハルクに使った。
ん?…回復効果がいつもと違う。
いつもよりも傷の回復が早いのだ。
そういえば、アップデートしていると言っていたな。
僕の能力が強化されているのかもしれない。
後でステータスをチェックしてみよう。
【癒しの光】を使用し続けるとハルクの傷口は完全に塞がった。
ハルクの体中にあった擦過傷なども、きれいに消えてしまったのだ。
これでもう安心。
意識を失っているハルクを待つだけだ。
グ~。
安心したら途端にお腹が空いてきた。
ハルクが起きるまでの間、腹ごしらえをしようか。
幸いにもここは宝物庫だ。
財宝やミミックがそこら中に散乱している。
まずは、この部屋の物を食べるとするか。
僕は部屋に散乱している財宝や宝箱を食べ続けた。
金や銀、硬貨、宝石、剣や盾などの装備品など、この部屋にある全ての物を食事対象としたのだ。
食事中に何体ものミミックにも襲われたが、奴らは僕の敵ではない。
僕は彼らをも食べ返した。
しかし、一向に僕の空腹感が満たされることがない。
僕のお腹?は鳴るばかりだ。
ハルクの様子はどうだ?
もうそろそろ意識を戻しても良いころだが。
僕は一旦食事をやめ、ハルクの元に向かった。
ハルクは先ほどと変わらず、その場に倒れている。
ピクリとも動いていないのだろう。
彼は一ミリも動くことなく同じ姿勢を取り続けていた。
よっぽど疲れていたのだろう。
彼は僕を守りながらここまで来たのだ。
彼の友情には本当に頭が下がる。
もう少し寝かせてあげたいところだが、そろそろ動かないとリュウや他の敵に見つかるかもしれない。
僕はうつ伏せに寝ているハルクの背中を揺すってみた。
反応がない。
ハルクはずっとうつむいたまま、動く気配すらないのだ。
それに、体も冷えている。
宝物庫の温度は他の階層よりも若干寒いのだ。
このままにしておけば、風をひいていしまうかもしれない。
(おい、ハルク。そろそろ出発しよう!)
僕は再度ハルクを揺すってみた。
やはり何の反応もない。
これはおかしい。
(おい、ハルク!)
僕はハルクを強めに揺すってみた。
しかし、ハルクからの反応はない。
僕の舌にハルクの体の冷たさが伝わってくる。
まさか…。
僕はハルクの手を握ってみた。
ハルクの指は硬直しており、まるで鉛感を握ったみたいに一切の柔らかさがない。
背中と比べ、手は氷のように冷たくなっていた。
僕はうつ伏せになっているハルクをごろんと転がし、ハルクを仰向けにさせた。
ハルクの目はしっかりと開いていた。
しかし、瞳孔がしっかりと開いており瞬きひとつしない。
呼吸も無く、口は半開きとなったままだ。
手足だけではない、全身が明らかに硬直している。
ハルクのようでハルクではない。
それが僕がハルクの顔を見た時の印象だ。
ハルクは死んでいる。
ハルクは僕を守って死んでしまったのだ。
彼はもう還ってはこない。
僕はその事実を受け入れられずにいた。
短い間だったが、ハルクとは濃密な時間を過ごした。
敵味方に分かれて戦ったこともあった。
ハルクは僕を助け、僕もハルクを助けた。
お互いの意見がぶつかることもあったが、ハルクはずっと僕を支え続けてくれた。
リュウとの闘いも、ハルクは自分の身を犠牲にして助けてくれた。
ハルクはこの世界で出来たたった一人の友人なのだ。
もっと話したいことがある。
ハルクと一緒にもっと戦いたかった。
しかし、もうハルクはいない。
クロコもリリアもいない。
僕はまた独りぼっちになったのだ。
・・・・。
いや、待てよ。
僕のスキルの一つにネクロマンシーがある。
クロコの時と同じように、これでハルクを復活させればいいじゃないか。
幸いにも十分血を出し尽くしたようだ。
これなら【死者使役】が使用出来るだろう。
ゾンビとなってしまうが、この際仕方がないだろう。
例えゾンビとなっても、僕とハルクの絆は変わることはないはずだ。
僕はハルクに向かって【死者使役】を使用した。
僕とハルクは黒い光に包まれる。
クロコの時と同じだ。僕はこのままハルクの精神世界へと移動するのだ。
ビー!ビー!
甲高いビープ音が響き、僕らを包んでいた黒い光はかき消された。
「【死者使役】が拒否されました。エラーコード#771を参照ください。」
なんだ、エラーが起こったのか?
くっもう一度だ。
僕は再度、【死者使役】を実施した。
しかし、同様にビープ音が聞こえ、エラーコード#771が表示される。
僕はエラーコード#771の内容を確認した。
「#771【死者使役】はプレイヤーには使用できません」
僕が人との距離を置く前の頃の夢だ。
僕の思い出したくない黒歴史の一つ。
どうして今更見るんだろう…。
僕はゆっくりと目を開けた。
視界は良好。
聴覚や触覚も問題ない。
僕とハルクに刺さっていた槍もいつの魔にか消えている。
箱の傷はそのままだが、問題はないだろう。
ハルクは僕を守るように覆いかぶさっている。
ハルクの傷は癒えてはおらず、血が僕の開いた口の中に滴っていた。
僕は間接的にハルクの血を摂取していたのだ。
その時、僕にふいにある考えが浮かんできた。
ハルクも転生者なんじゃ…。
夢に出てきた不良高校生、あいつがひょっとしてハルク?
でも今はそんなことを考えている暇はない。
ハルクは重傷を負っている。
まずは治療してあげないと。
【癒しの光】
僕は僕の持っている最大の回復魔法をハルクに使った。
ん?…回復効果がいつもと違う。
いつもよりも傷の回復が早いのだ。
そういえば、アップデートしていると言っていたな。
僕の能力が強化されているのかもしれない。
後でステータスをチェックしてみよう。
【癒しの光】を使用し続けるとハルクの傷口は完全に塞がった。
ハルクの体中にあった擦過傷なども、きれいに消えてしまったのだ。
これでもう安心。
意識を失っているハルクを待つだけだ。
グ~。
安心したら途端にお腹が空いてきた。
ハルクが起きるまでの間、腹ごしらえをしようか。
幸いにもここは宝物庫だ。
財宝やミミックがそこら中に散乱している。
まずは、この部屋の物を食べるとするか。
僕は部屋に散乱している財宝や宝箱を食べ続けた。
金や銀、硬貨、宝石、剣や盾などの装備品など、この部屋にある全ての物を食事対象としたのだ。
食事中に何体ものミミックにも襲われたが、奴らは僕の敵ではない。
僕は彼らをも食べ返した。
しかし、一向に僕の空腹感が満たされることがない。
僕のお腹?は鳴るばかりだ。
ハルクの様子はどうだ?
もうそろそろ意識を戻しても良いころだが。
僕は一旦食事をやめ、ハルクの元に向かった。
ハルクは先ほどと変わらず、その場に倒れている。
ピクリとも動いていないのだろう。
彼は一ミリも動くことなく同じ姿勢を取り続けていた。
よっぽど疲れていたのだろう。
彼は僕を守りながらここまで来たのだ。
彼の友情には本当に頭が下がる。
もう少し寝かせてあげたいところだが、そろそろ動かないとリュウや他の敵に見つかるかもしれない。
僕はうつ伏せに寝ているハルクの背中を揺すってみた。
反応がない。
ハルクはずっとうつむいたまま、動く気配すらないのだ。
それに、体も冷えている。
宝物庫の温度は他の階層よりも若干寒いのだ。
このままにしておけば、風をひいていしまうかもしれない。
(おい、ハルク。そろそろ出発しよう!)
僕は再度ハルクを揺すってみた。
やはり何の反応もない。
これはおかしい。
(おい、ハルク!)
僕はハルクを強めに揺すってみた。
しかし、ハルクからの反応はない。
僕の舌にハルクの体の冷たさが伝わってくる。
まさか…。
僕はハルクの手を握ってみた。
ハルクの指は硬直しており、まるで鉛感を握ったみたいに一切の柔らかさがない。
背中と比べ、手は氷のように冷たくなっていた。
僕はうつ伏せになっているハルクをごろんと転がし、ハルクを仰向けにさせた。
ハルクの目はしっかりと開いていた。
しかし、瞳孔がしっかりと開いており瞬きひとつしない。
呼吸も無く、口は半開きとなったままだ。
手足だけではない、全身が明らかに硬直している。
ハルクのようでハルクではない。
それが僕がハルクの顔を見た時の印象だ。
ハルクは死んでいる。
ハルクは僕を守って死んでしまったのだ。
彼はもう還ってはこない。
僕はその事実を受け入れられずにいた。
短い間だったが、ハルクとは濃密な時間を過ごした。
敵味方に分かれて戦ったこともあった。
ハルクは僕を助け、僕もハルクを助けた。
お互いの意見がぶつかることもあったが、ハルクはずっと僕を支え続けてくれた。
リュウとの闘いも、ハルクは自分の身を犠牲にして助けてくれた。
ハルクはこの世界で出来たたった一人の友人なのだ。
もっと話したいことがある。
ハルクと一緒にもっと戦いたかった。
しかし、もうハルクはいない。
クロコもリリアもいない。
僕はまた独りぼっちになったのだ。
・・・・。
いや、待てよ。
僕のスキルの一つにネクロマンシーがある。
クロコの時と同じように、これでハルクを復活させればいいじゃないか。
幸いにも十分血を出し尽くしたようだ。
これなら【死者使役】が使用出来るだろう。
ゾンビとなってしまうが、この際仕方がないだろう。
例えゾンビとなっても、僕とハルクの絆は変わることはないはずだ。
僕はハルクに向かって【死者使役】を使用した。
僕とハルクは黒い光に包まれる。
クロコの時と同じだ。僕はこのままハルクの精神世界へと移動するのだ。
ビー!ビー!
甲高いビープ音が響き、僕らを包んでいた黒い光はかき消された。
「【死者使役】が拒否されました。エラーコード#771を参照ください。」
なんだ、エラーが起こったのか?
くっもう一度だ。
僕は再度、【死者使役】を実施した。
しかし、同様にビープ音が聞こえ、エラーコード#771が表示される。
僕はエラーコード#771の内容を確認した。
「#771【死者使役】はプレイヤーには使用できません」
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