朝起きるとミミックになっていた ~捕食するためには戦略が必要なんです~

めしめし

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第4章 7階層攻略編

第75話 族長vsミミック

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(逃げると勿体ないってどういうことだ?)

僕は禍々しい殺気を帯び始めたリュウに聞き返した。

(そのままの意味や。族長今弱ってるやろ?
倒して食ってしまえばええやん。ごっつ強うなるで~!
それに、ついでにお宝も奪ってしまおうか。
前、盗り損ねたやつあんねん。)

(前、取り損ねた!?)

やはり、魔神の宝玉を奪って逃げたのはリュウ!?

(あの時反撃されるとは思ってなかってん。
俺のメタルボックスも壊されたしな。
あれ、めちゃアバターポイント高かったやろ?
ポイントなくなってしもうたんや。)

(そんな大事なこと何で黙ってたんだ?)
僕はリュウが今まで、黙っていたことに深い憤りを覚えた。

(何でって、聞かれんかったやろ?まぁ、聞かれても言わんかったやろうけど。
アバターポイントとアイテム稼ぐために、宝箱探してたら光が現れたんや。
俺と同じメタルボックス使用してて、笑いが抑えきれんかったで。)

(リュウ、君は僕を利用するために…?)

(生き残るためには、しゃーないやろ。
どうにかして光を、獣人の所へ連れて行こうと考えていたところに嬢ちゃんが来た。
やっぱり運命ってあるんやな。)

僕らはみんなリュウに騙されていたのだ。
お調子者で変わった奴だったが、友達になれるかもって思ってたのに。

(おっ、大将立ち上がったで、相手したってや。)

族長はふらつきながらも、地面に転がっている大剣をとり僕の方へと向かってきた。

クロコは大きく口を開き、火炎の玉を族長に向かって発射した。
1発、2発、族長の体にまともにヒットするも、族長は全く止まる様子はない。

ある程度距離が縮まったところで、族長は歩みを止め、その場で大きく息を吐き始めた。

来る。

息を吐ききると同時に、族長は爆発的なスピードで僕に向かってきた。
両手で大剣を肩越しに構え、突進しながらその剣を僕に向かって振るう。

間一髪その斬撃をかわした。

勢いあまった大剣が地面に激突すると、爆発音と共に床が弾けたのだ。
大理石?で出来た床が砕け、破片が辺り一面に飛び散った。

これはとても受けられない!
しかも僕は、獣神の宝玉が異次元収納に保管したままだ。
獣神の宝玉のレアスキルどころか、補正効果すらも受けられていないのだ。
補正効果のない僕は非力なミミックにしか過ぎない。
ハルクより力が勝る彼に、パワー勝負で太刀打ちできるはずがないのだ。

彼に勝つにはレアスキルを使うしかない。

僕は族長に向かって【重力操作Lv5】を発動。
族長の足を止めようとした。

族長の体に重力の壁が押しかかる。
しかし、大声をあげながら気合を入れる族長。
僕の【重力操作】がかき消されてしまった。

動揺する僕に、族長の体当たりがまともにヒットする。
僕の体は数メートルほど飛ばされて、地面を三回転程転がされた。

大剣を構え直し、再度突進してくる族長。
僕は後方に逃げながら暗黒魔法【ブラックランス】を使用し、黒い3本の槍を族長に向かって発射した。

しかし、表面を傷つけただけで族長に刺さらず、地面に落下する3本の槍。
間合いに入った族長は、その大剣を振り下ろした。

懸命にかわす僕だったが、今度は完璧にはかわしきれない。
族長の剣がまるでチーズを切るように、メタルボックスの側面の一部を斬り裂いた。

懸命に逃げる僕。しつこく追いかけ回す族長。
ただ、その距離が少しずつ縮まってきた。

ガン。

族長と相対しながら後方へ逃げる僕。
ただ、この戦い方は障害物だらけの宝物庫では命取りだった。
僕は宝物庫に山積みにされている財宝にぶつかり、後方へ倒れこんだ。
もちろん、その隙を逃す族長ではない。
僕に向かって大剣を振り落ろそうとした。

ガブッ。

僕に止めをさそうとする族長の右足首に、クロコが噛みついた。
クロコの強力な咬合力で、族長のアキレス腱を噛みちぎったのだ。
大剣を振り下ろそうとしていた族長の手が止まり、族長は自身の右足に視線を移した。
族長のふくらはぎから踵にかけて、大量の血がほとばしる。
次の瞬間族長は、ためらうことなくその大剣をクロコの脳天に突き刺したのだ。

ビクッと一瞬痙攣のように体を揺らしたクロコだったが、そのまま動かなくなった。

再度僕に視線を移そうとする族長。
しかし、族長が見た方向には僕の姿は無かった。
僕は族長の足元に潜り込み、族長の左足に向かって大きく口を開けていた。
僕は族長の左足を【暴食】で平らげた。
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