61 / 120
第3章 ダンジョン攻略中編
第60話 ワニたちの秘策
しおりを挟む
いつの間にか僕たちはそれぞれ1つの種族を、担当するようになった。
特に申し合わせた訳ではない。
それぞれの種族が僕たちを倒すべき脅威と感じたのだろう。
ただ、関西弁のミミックはどこか信用ができない。
おそらく僕のように外部からのゲーム参加者であろうが、他にも色々と秘密がありそうだ。
悪魔族の反応も気になる。
関西弁のミミックを見つけた時の反応は、明らかに他の種族に対する反応とは違っていた。
まるで敵を見つけたかのように、猛烈な勢いで関西弁ミミックに攻撃をし始めたのだ。
もしかしたら、悪魔族がここを襲撃したのは彼が関係しているのかもしれない。
ただ、今は彼に悪魔族の相手を任せるしかない。
僕はワニ族、ハルクは人族と余分に敵を相手をする余裕が無いのだ。
大ワニが戦線に復帰したことにより、ワニ族の陣形が整い始めた。
ワニ達は僕の周りをぐるりと取り囲み、大ワニからの号令を待っているようだ。
もちろん僕もただ待っている訳はない。
僕は自分の周囲全体に落とし穴を仕掛け、穴に落ちたワニたちを一網打尽にするつもりだ。
ワニたちはじりっじりっと少しずつ僕との距離を詰めてくる。
大ワニはまだ近づきはするものの、号令を出そうとはしない。
僕は戦闘準備を継続したまま、一斉攻撃の瞬間を待ち続ける。
すでにワニたちは仕掛けた落とし穴の付近まで迫ってきた。
このまま号令もせず、一斉に襲いかかるつもりなのだろうか?
それならそれで構わない。
僕には罠の他にもいくつも攻撃手段があるのだ。
その時、大ワニが口を開いたかと思うと耳をつんざくような大きな声をあげた。
まるで部屋全体が震えるかのような大音量。
空気が震え、地面もかすかに揺れる。
至近距離からの大音量と強い音波で、僕の体も吹き飛ばされそうになった。
えっ、動けない!?
予想だにしない激しい雄たけびを間近で受けたためか、僕の体は麻痺したように動かなくなっていた。
しかも、ワニたちは動けない僕に向かって突進してこない。
僕を囲む20匹のワニたちは、その場で口を開けて何かを僕に向かって吐き出した。
炎の塊だ。
直接攻撃しかないと思っていたワニたちが、全員僕に向けて魔法攻撃を行ったのだ。
一匹ずつの攻撃自体は対した威力ではない。
僕が通常の状態ならさほどダメージは受けなかっただろう。
しかし、防御の出来ない状態での集中砲火はわけが違う。
無防備で攻撃を受けた僕は、思った以上のダメージを負ってしまった。
間髪入れずに、ワニたちは2発目、3発目と連続で炎魔法を繰り出してくる。
しかし、動けない僕にはどうすることも出来ない。
僕はワニたちの魔法攻撃を無防備で受け続けてしまったのだ。
しかし、これほどの攻撃を受けても僕の箱自体は傷一つついていない。
改めてメタルボックスの耐久性能に驚愕せざるを得なかった。
しかし、箱自体は無事でも僕本体は大きなダメージを受けている。
周囲は煙と砂埃が立ち上り、僕の姿を確認できないくらい真っ白になっていた。
それでもワニたちは攻撃の手を緩めることはない。
僕がいるであろうエリアに向かって、魔法攻撃をし続けたのだ。
何十発の攻撃を受けたのだろうか。
僕の意識はすでにうつろとなっていた。
箱自体に大きなダメージは無いが、爆発音と衝撃が箱の中にある僕の脳を何度も揺らしたのだ。
まるで急性のパンチドランカー状態。
頭がガンガンしてきた。
ん?体が動く。
ようやく麻痺が解けたようだ。
思いがけない苦戦を強いられてしまったものの、致命傷にまでは至らなかった。
こうしている間にも、魔法攻撃が僕目がけて飛んでくる。
一旦、避難して対策を立てないと。
僕は【落とし穴】を使用し、僕自身を床下へと落下させた。
一旦簡易シェルターに逃げ込み、対策を練るためだ。
魔法攻撃の煙や粉塵が僕の隠れ蓑となっている。
僕が元居た地点に、絶え間なく魔法攻撃が続けられている。
一旦攻撃外に避難できたおかげで、僕の気持ちは落ち着いた。
さっきまで続いていた頭痛もなくなった。
そろそろ僕が反撃する番だ。
僕は【テレポート】を使用し、ワニの囲いの外に移動した。
僕が背後にいることにも気付かず、ワニたちは僕がいるであろう地点に攻撃を繰り返していた。
僕は【隠密Lv5】を使用。気配を消しながら、背後からワニたちに近づいた。
ワニたちの真後ろに立っても、彼らは全く気付く様子はない。
僕は大きく口を開け、3匹まとめて平らげた。
音も無く僕の口に吸い込まれるように消えていく3匹。
おそらく自分が食べられたことにも気付いていないだろう。
3匹のワニが消えたことにも、周りのワニたちは気付いていないようだ。
僕は【テレポート】で別の対角線に移動し、同じようにワニの背後に気付かれないように近寄った。
こちらのエリアのワニたちも、僕の接近に気付いていないようだ。
バクッ。
またしても僕は3匹まとめてワニを平らげた。
ちょうどその時、大ワニがワニたちに攻撃停止の合図らしきものを送った。
ワニたちの攻撃はピタッと止み、ワニたちは白煙が収まるのをただじっと待っていた。
白煙は収まったが、そこには僕の姿はない。
当然だ。僕は彼らの背後にいるのだから。
咄嗟に後ろを振り返るワニ。
しかし、彼が最後に見たのは、彼を飲み込もうとする僕の口だった。
僕に気付き、再度ワニたちに指示を送る大ワニ。
残念ながら、【テレポート】で移動を繰り返し、ワニを一口で食べ続ける僕にはどんな陣形も無意味だった。
いくらワニたちが陣形を変えようが、その背後に突如現れる僕。
ワニたちの数はみるみる減っていき、残り3匹と大ワニが1匹だけとなった。
特に申し合わせた訳ではない。
それぞれの種族が僕たちを倒すべき脅威と感じたのだろう。
ただ、関西弁のミミックはどこか信用ができない。
おそらく僕のように外部からのゲーム参加者であろうが、他にも色々と秘密がありそうだ。
悪魔族の反応も気になる。
関西弁のミミックを見つけた時の反応は、明らかに他の種族に対する反応とは違っていた。
まるで敵を見つけたかのように、猛烈な勢いで関西弁ミミックに攻撃をし始めたのだ。
もしかしたら、悪魔族がここを襲撃したのは彼が関係しているのかもしれない。
ただ、今は彼に悪魔族の相手を任せるしかない。
僕はワニ族、ハルクは人族と余分に敵を相手をする余裕が無いのだ。
大ワニが戦線に復帰したことにより、ワニ族の陣形が整い始めた。
ワニ達は僕の周りをぐるりと取り囲み、大ワニからの号令を待っているようだ。
もちろん僕もただ待っている訳はない。
僕は自分の周囲全体に落とし穴を仕掛け、穴に落ちたワニたちを一網打尽にするつもりだ。
ワニたちはじりっじりっと少しずつ僕との距離を詰めてくる。
大ワニはまだ近づきはするものの、号令を出そうとはしない。
僕は戦闘準備を継続したまま、一斉攻撃の瞬間を待ち続ける。
すでにワニたちは仕掛けた落とし穴の付近まで迫ってきた。
このまま号令もせず、一斉に襲いかかるつもりなのだろうか?
それならそれで構わない。
僕には罠の他にもいくつも攻撃手段があるのだ。
その時、大ワニが口を開いたかと思うと耳をつんざくような大きな声をあげた。
まるで部屋全体が震えるかのような大音量。
空気が震え、地面もかすかに揺れる。
至近距離からの大音量と強い音波で、僕の体も吹き飛ばされそうになった。
えっ、動けない!?
予想だにしない激しい雄たけびを間近で受けたためか、僕の体は麻痺したように動かなくなっていた。
しかも、ワニたちは動けない僕に向かって突進してこない。
僕を囲む20匹のワニたちは、その場で口を開けて何かを僕に向かって吐き出した。
炎の塊だ。
直接攻撃しかないと思っていたワニたちが、全員僕に向けて魔法攻撃を行ったのだ。
一匹ずつの攻撃自体は対した威力ではない。
僕が通常の状態ならさほどダメージは受けなかっただろう。
しかし、防御の出来ない状態での集中砲火はわけが違う。
無防備で攻撃を受けた僕は、思った以上のダメージを負ってしまった。
間髪入れずに、ワニたちは2発目、3発目と連続で炎魔法を繰り出してくる。
しかし、動けない僕にはどうすることも出来ない。
僕はワニたちの魔法攻撃を無防備で受け続けてしまったのだ。
しかし、これほどの攻撃を受けても僕の箱自体は傷一つついていない。
改めてメタルボックスの耐久性能に驚愕せざるを得なかった。
しかし、箱自体は無事でも僕本体は大きなダメージを受けている。
周囲は煙と砂埃が立ち上り、僕の姿を確認できないくらい真っ白になっていた。
それでもワニたちは攻撃の手を緩めることはない。
僕がいるであろうエリアに向かって、魔法攻撃をし続けたのだ。
何十発の攻撃を受けたのだろうか。
僕の意識はすでにうつろとなっていた。
箱自体に大きなダメージは無いが、爆発音と衝撃が箱の中にある僕の脳を何度も揺らしたのだ。
まるで急性のパンチドランカー状態。
頭がガンガンしてきた。
ん?体が動く。
ようやく麻痺が解けたようだ。
思いがけない苦戦を強いられてしまったものの、致命傷にまでは至らなかった。
こうしている間にも、魔法攻撃が僕目がけて飛んでくる。
一旦、避難して対策を立てないと。
僕は【落とし穴】を使用し、僕自身を床下へと落下させた。
一旦簡易シェルターに逃げ込み、対策を練るためだ。
魔法攻撃の煙や粉塵が僕の隠れ蓑となっている。
僕が元居た地点に、絶え間なく魔法攻撃が続けられている。
一旦攻撃外に避難できたおかげで、僕の気持ちは落ち着いた。
さっきまで続いていた頭痛もなくなった。
そろそろ僕が反撃する番だ。
僕は【テレポート】を使用し、ワニの囲いの外に移動した。
僕が背後にいることにも気付かず、ワニたちは僕がいるであろう地点に攻撃を繰り返していた。
僕は【隠密Lv5】を使用。気配を消しながら、背後からワニたちに近づいた。
ワニたちの真後ろに立っても、彼らは全く気付く様子はない。
僕は大きく口を開け、3匹まとめて平らげた。
音も無く僕の口に吸い込まれるように消えていく3匹。
おそらく自分が食べられたことにも気付いていないだろう。
3匹のワニが消えたことにも、周りのワニたちは気付いていないようだ。
僕は【テレポート】で別の対角線に移動し、同じようにワニの背後に気付かれないように近寄った。
こちらのエリアのワニたちも、僕の接近に気付いていないようだ。
バクッ。
またしても僕は3匹まとめてワニを平らげた。
ちょうどその時、大ワニがワニたちに攻撃停止の合図らしきものを送った。
ワニたちの攻撃はピタッと止み、ワニたちは白煙が収まるのをただじっと待っていた。
白煙は収まったが、そこには僕の姿はない。
当然だ。僕は彼らの背後にいるのだから。
咄嗟に後ろを振り返るワニ。
しかし、彼が最後に見たのは、彼を飲み込もうとする僕の口だった。
僕に気付き、再度ワニたちに指示を送る大ワニ。
残念ながら、【テレポート】で移動を繰り返し、ワニを一口で食べ続ける僕にはどんな陣形も無意味だった。
いくらワニたちが陣形を変えようが、その背後に突如現れる僕。
ワニたちの数はみるみる減っていき、残り3匹と大ワニが1匹だけとなった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【改訂版】 戦艦ミカサを奪還せよ! 【『軍神マルスの娘と呼ばれた女』 2】 - ネイビーの裏切り者 -
take
SF
ノベルアッププラスへの投稿に併せて改訂版に改編中です。
どうぞよろしくお付き合いください!
数百年後の未来。人類は天変地異により滅亡寸前にまで追い込まれ、それまでに彼らが営々と築いてきたものは全て失われた。
わずかに生き残った人々は力を合わせ必死に生き延び、種を繋ぎ、殖やし、いくつかの部族に別れ、栄えていった。その中の一つがやがて巨大な帝国となり、その周囲の、まつろわぬ(服従しない)いくつかの未開な部族や頑なな国との間で争いを繰り返していた。
就役したばかりの帝国の最新鋭戦艦「ミカサ」に関する不穏な情報を得た皇帝直属の特務機関を統べるウリル少将は、一人のエージェントを潜入させる。
その名は、ヤヨイ。
果たして彼女は「ミカサ」の強奪を防ぐことが出来るのか。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる