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第2章 ダンジョン攻略前編
第48話 ガイコツの目的
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ガイコツに命じられて立ち上がったハルクは、どこか悲しそうな表情をしていた。
初めて出会った時のようなうつろな表情ではない。
明らかに何かにショックを受けているような表情だ。
(おい、ハルク。しっかりしろ!)
僕はハルクの頭に直接メッセージを送ったが、伝わった様子はない。
ハルクは僕にゆっくりと近寄り、その太い腕を振り上げたのだ。
(お、おい)
ハルクは高く振り上げた拳を僕に向って振り下ろす!
ハルクは拳で空気を切り裂きながら、思い切り地面に叩きつけた。
ハルクの拳が床に突き刺さり、爆音とともに破壊された床石が宙を舞う。
間一髪避けた僕だったが、その衝撃で後方に倒れてしまった。
倒れた僕にハルクはゆっくりと歩み寄り、同じように拳を振り上げる。
(や・やばい)
僕は急いで起き上がり攻撃を避けようとしたが、完璧に避けきれず箱の角にハルクの拳が触れてしまった。
チッ
箱に軽く触れただけにも関わらず、僕は回転しながら吹き飛ばされる。
地面をバウンドしながら数メートルほど、飛ばされた。
一体なぜこうなったのだ?
「君がゾンビどもと戦っている間、僕はハルクにずっと話しかけていたんだよ。」
ガイコツが僕らの戦いを傍観しながら話し始めた。
「君だろ?私が作った記憶を消去したのは。彼にかけた呪いまで消してくれたよね。」
ガイコツの冷たい声が部屋に響く。奴の声には何か圧のようなものを感じる。
「まぁ、おかげでより強力なスキルをかけられたがね。もうどうしようもないよ。私を殺すしかないかな。」
そうだ、その手があった。
ハルクと戦う必要はない。
術者を倒せば呪いは解消される。
RPGのお約束のようなものだ。
しかし、なぜ敢えてそれを言う?
何か裏があるのか?
「裏なんてないよ。そのままの意味さ。」
!?
僕の考えがわかるのか?
「スキル【意思疎通】の応用さ。もちろん全部が分かる訳じゃないがね。君もゲームに引き込まれてしまった人なんだろ?私もそうなんだよ。」
!?
奴も僕と同じ?
「君はミミックだけど、私はリッチ。魔法が得意なアンデット系モンスターさ。」
ガイコツ改めリッチは、フードを取って僕にその白い頭骨をさらした。
「全く困ったもんだよ。まさか私がこんな醜いモンスターになるなんてさ。」
リッチの話は続く。いつの間にかハルクも近くで座っている。
「チュートリアルが言っていただろ?元の生活に戻るには10階層を攻略するしかないって。そのための重大な鍵になるアイテムが7階層にあるんだよ。」
ここでも7階層の話が出て来たな。一体7階層には何があるんだ?
「7階層はね、階層全体が宝物庫になっているんだ。あたり一面が金銀財宝ばかりなのさ。だから最終目的地を7階層にしている冒険者も多いんだよ。」
フロア全体が宝物庫…。考えられない。
「もちろん良いことばかりじゃないよ。冒険者を狙うモンスターたちが罠を張り巡らせていたり、財宝を巡る戦いは常に起こっている。おそらくダンジョン内で一番戦闘が激化しているエリアなんじゃないかな。」
なるほど。それでリッチは人間タイプを集めて7階層を攻略しようとしてたんだ。
「そういうこと。宝箱を開けるには人間タイプの方が便利だからね。ただ、攻略はちょっと違うかな。
私はお目当てのアイテムだけ取れればそれで満足なんだよ。それが10階層攻略の鍵となるしね。」
「1度7階層に挑戦したんだけど、ボロボロにされて逃げ帰ってきたんだよ。十分な力が無いとあのフロアではやっていけないと思うよ。」
でもそのために、多くの人を犠牲にしただなんて。
「それって君が言う?君もいっぱい人を食べてるから一緒だよね。
というか私の基礎スキルって相手を殺して使役することで始めてスキルを獲得出来るんだ。そんな風にこの世界を作ったのは創造者なんだよ。かなり性格が悪いと思うな~。」
僕もリッチも生き延びる為には仕方が無かったってことか。
彼のここまで来た苦労が、僕には手に取るように分かる。
「さあ、もう話はおしまい。私は君の持っているレアアイテムや、君のスキルにも興味がある。殺して奪うとしようか、」
リッチはフードをかぶり直し、ハルクに立って僕と戦うように指示をした。
ハルクは立ち上がり、ゆっくりと僕の方へ歩き始めた。
おそらくリッチは僕を逃がしてくれそうもない。
僕を倒し使役してそのスキルごとレアアイテムも奪うつもりだ。
そこまで僕に話してくれたのはリッチには負けないという自信があるはず。
たとえやつが格上でも、黙ってやられてやるつもりはない。
10階層を攻略して元の世界に戻るのは僕だ!
僕はハルクの右足目がけて魔眼スキル【石化】を使用。
パチパチと音を立て、石がハルクの足からくるぶしにかけて覆った。
バランスを崩すハルクに、側面から回り込み【体当たりLv7】で攻撃を仕掛ける。
ハルクに当たる瞬間に【重力操作Lv2】で自分の重さを5倍にした。
大きな音を立て、僕の全力の攻撃がハルクにヒット。
しかし、まともに当たったものの、ハルクは全く意に介していないようだ。
ハルクは僕を片手で持ち上げ、壁に向かって投げつけた。
激しいGを感じながら、壁が高速で僕に迫る。
僕は【方向転換Lv8】を使用。
チュートリアルから学んだ、【方向転換】の別の使い方だ。
すると物理の法則を無視し、壁に向かって飛ばされていた僕の体は急に方向転換!
投げたハルクの方へ、僕の体は加速しながら戻っていったのだ。
ぶつかる瞬間に【鉄壁Lv3】を使用。
炸裂音を響かせて、僕の体はハルクの顔面にぶち当たった。
運動保存の法則を無視した僕のカウンターアタックに、流石のハルクも膝をついたのだ。
僕の攻撃はハルクにも通用する。
この時はそう思っていた。
初めて出会った時のようなうつろな表情ではない。
明らかに何かにショックを受けているような表情だ。
(おい、ハルク。しっかりしろ!)
僕はハルクの頭に直接メッセージを送ったが、伝わった様子はない。
ハルクは僕にゆっくりと近寄り、その太い腕を振り上げたのだ。
(お、おい)
ハルクは高く振り上げた拳を僕に向って振り下ろす!
ハルクは拳で空気を切り裂きながら、思い切り地面に叩きつけた。
ハルクの拳が床に突き刺さり、爆音とともに破壊された床石が宙を舞う。
間一髪避けた僕だったが、その衝撃で後方に倒れてしまった。
倒れた僕にハルクはゆっくりと歩み寄り、同じように拳を振り上げる。
(や・やばい)
僕は急いで起き上がり攻撃を避けようとしたが、完璧に避けきれず箱の角にハルクの拳が触れてしまった。
チッ
箱に軽く触れただけにも関わらず、僕は回転しながら吹き飛ばされる。
地面をバウンドしながら数メートルほど、飛ばされた。
一体なぜこうなったのだ?
「君がゾンビどもと戦っている間、僕はハルクにずっと話しかけていたんだよ。」
ガイコツが僕らの戦いを傍観しながら話し始めた。
「君だろ?私が作った記憶を消去したのは。彼にかけた呪いまで消してくれたよね。」
ガイコツの冷たい声が部屋に響く。奴の声には何か圧のようなものを感じる。
「まぁ、おかげでより強力なスキルをかけられたがね。もうどうしようもないよ。私を殺すしかないかな。」
そうだ、その手があった。
ハルクと戦う必要はない。
術者を倒せば呪いは解消される。
RPGのお約束のようなものだ。
しかし、なぜ敢えてそれを言う?
何か裏があるのか?
「裏なんてないよ。そのままの意味さ。」
!?
僕の考えがわかるのか?
「スキル【意思疎通】の応用さ。もちろん全部が分かる訳じゃないがね。君もゲームに引き込まれてしまった人なんだろ?私もそうなんだよ。」
!?
奴も僕と同じ?
「君はミミックだけど、私はリッチ。魔法が得意なアンデット系モンスターさ。」
ガイコツ改めリッチは、フードを取って僕にその白い頭骨をさらした。
「全く困ったもんだよ。まさか私がこんな醜いモンスターになるなんてさ。」
リッチの話は続く。いつの間にかハルクも近くで座っている。
「チュートリアルが言っていただろ?元の生活に戻るには10階層を攻略するしかないって。そのための重大な鍵になるアイテムが7階層にあるんだよ。」
ここでも7階層の話が出て来たな。一体7階層には何があるんだ?
「7階層はね、階層全体が宝物庫になっているんだ。あたり一面が金銀財宝ばかりなのさ。だから最終目的地を7階層にしている冒険者も多いんだよ。」
フロア全体が宝物庫…。考えられない。
「もちろん良いことばかりじゃないよ。冒険者を狙うモンスターたちが罠を張り巡らせていたり、財宝を巡る戦いは常に起こっている。おそらくダンジョン内で一番戦闘が激化しているエリアなんじゃないかな。」
なるほど。それでリッチは人間タイプを集めて7階層を攻略しようとしてたんだ。
「そういうこと。宝箱を開けるには人間タイプの方が便利だからね。ただ、攻略はちょっと違うかな。
私はお目当てのアイテムだけ取れればそれで満足なんだよ。それが10階層攻略の鍵となるしね。」
「1度7階層に挑戦したんだけど、ボロボロにされて逃げ帰ってきたんだよ。十分な力が無いとあのフロアではやっていけないと思うよ。」
でもそのために、多くの人を犠牲にしただなんて。
「それって君が言う?君もいっぱい人を食べてるから一緒だよね。
というか私の基礎スキルって相手を殺して使役することで始めてスキルを獲得出来るんだ。そんな風にこの世界を作ったのは創造者なんだよ。かなり性格が悪いと思うな~。」
僕もリッチも生き延びる為には仕方が無かったってことか。
彼のここまで来た苦労が、僕には手に取るように分かる。
「さあ、もう話はおしまい。私は君の持っているレアアイテムや、君のスキルにも興味がある。殺して奪うとしようか、」
リッチはフードをかぶり直し、ハルクに立って僕と戦うように指示をした。
ハルクは立ち上がり、ゆっくりと僕の方へ歩き始めた。
おそらくリッチは僕を逃がしてくれそうもない。
僕を倒し使役してそのスキルごとレアアイテムも奪うつもりだ。
そこまで僕に話してくれたのはリッチには負けないという自信があるはず。
たとえやつが格上でも、黙ってやられてやるつもりはない。
10階層を攻略して元の世界に戻るのは僕だ!
僕はハルクの右足目がけて魔眼スキル【石化】を使用。
パチパチと音を立て、石がハルクの足からくるぶしにかけて覆った。
バランスを崩すハルクに、側面から回り込み【体当たりLv7】で攻撃を仕掛ける。
ハルクに当たる瞬間に【重力操作Lv2】で自分の重さを5倍にした。
大きな音を立て、僕の全力の攻撃がハルクにヒット。
しかし、まともに当たったものの、ハルクは全く意に介していないようだ。
ハルクは僕を片手で持ち上げ、壁に向かって投げつけた。
激しいGを感じながら、壁が高速で僕に迫る。
僕は【方向転換Lv8】を使用。
チュートリアルから学んだ、【方向転換】の別の使い方だ。
すると物理の法則を無視し、壁に向かって飛ばされていた僕の体は急に方向転換!
投げたハルクの方へ、僕の体は加速しながら戻っていったのだ。
ぶつかる瞬間に【鉄壁Lv3】を使用。
炸裂音を響かせて、僕の体はハルクの顔面にぶち当たった。
運動保存の法則を無視した僕のカウンターアタックに、流石のハルクも膝をついたのだ。
僕の攻撃はハルクにも通用する。
この時はそう思っていた。
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