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第2章 ダンジョン攻略前編
第42話 ガイコツの住処
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ガイコツが潜んでいるかもしれない部屋はさほど遠くは無かった。
ハルクの記憶を頼りに、ひたすら進んでいく。
動物的直感によるものか、彼にはマップ機能は必要ないらしい。
まるでいつもの通学路を進むが如く、複雑なダンジョンも立ち止まることなく一直線に進んで行ったのだ。
ハルクが立ち止まったところは、行き止まりへ向かう一本道。
一番奥の壁にこぢんまりとしたドアが設置されている。
通路は他の場所よりも臭気が充満し、道幅も狭い。
空中に浮かぶ胞子で視界が悪く、霧のように霞んでいる。
罠を仕掛けるにはおあつらえの環境だな。
この通路には間違いなく沢山の罠が仕掛けられているに違いない
このエリアが僕の縄張りだとしても、同じようなことをするだろう。
慎重に行かねばならない。
そう思った時だった。
ハルクは無防備に通路を進み始めたかと思うと、急に立ち止まった。
まるで相撲をするかのように四股立ちとなり、脚を高く上げ、しばらく保持した後強く上げた脚を振り下ろした。
爆発するような炸裂音がダンジョン中に響き渡る。
壁が震え、大地が揺れる。
彼の足は床を踏み抜き、踵が地面にめり込んだ。
彼は四股で地震を引き起こしたのだ。
えっ!?何してるの…!!
振動に反応して作動する数々の罠。
無数の槍が飛び、地面が割れ、吊り天井が作動し、様々な罠がハルクに向かって襲いかかった。
ハルクは罠に一切動じず、ドアを目がけて突進する。
罠をその身に受けようが、物ともしないようだ。
罠を破壊しながらドアまで走り抜けた。
僕は罠がなくなった通路をハルクを追いかけて進む。
しかし、スピードに乗ったハルクには追いつけない。
僕の様子を気にすることもないハルクは、スピードに乗ったままドアに向かって体当たりをした。
さすがにそれはまずいだろ!?
単身突撃をしたハルクを追いかけて、僕は急いでドアに向かった。
部屋に入ると、すでにハルクは戦闘中だった。
20畳くらいの大きさの部屋で、ハルクは狼型のモンスターたちに囲まれていた。
石造りのかび臭い部屋で、辺りに動物の骨などが散乱している。
部屋の奥にはドアが設置されており、その部屋の前には一回りほど大きな狼型のモンスターがいる。
おそらくやつらのボスだろう。
ハルクが狼たちに近づこうとすると、奴らは距離をとり一定の距離をキープする。
ハルクの攻撃は空を切り、残りの狼どもがハルクの腕や足に噛みつく。
僕は狼に向かって【重力Lv2】を使用。
狼たちの周りに見えない重力の渦が生じ、やつらの動きを遅くする。
ハルクは後方にステップバックしようとする狼の前足をつかみ、頭上高く持ち上げ、地面に向けて叩きつけた。
狼の頭は鈍い音を立てながら地面に四散した。
狼たちは距離を取ろうとするも、今までのように素早くは動けない。
追撃しようと狼に向かうハルク。
その時、ドアを守る大きな狼が耳をつんざくような叫び声をあげた。
激しい音波がビリビリと部屋全体を揺らす。
すると先ほどまでスローペースだった狼たちは、何事も無かったかのように素早く動き始めたのだ。
僕の【重力Lv2】がキャンセルされた!?
再び素早い動きで翻弄しようとする狼たち。
ボス狼も彼らの陣形に加わった。
ボス狼が鳴き声を上げる度に、狼たちは攻撃パターンを変え始めた。
まるで統率された軍隊のように、連携のとれた狼たちは的確に僕たちの隙を突いてくる。
僕も毒針やパチンコなど飛び道具系のスキルで応戦するも、全てかわされてしまった。
ハルクの攻撃も同様だ。
力任せにぶん殴ろうとするも、ハルクの攻撃は空を切る。
僕たちが攻撃を仕掛ける前に、すでに狼たちは動き始めているのだ。
ガイコツ戦に向けて魔力を温存したかったけど仕方がない。
僕は狼に舌で攻撃しようとしたが、後方に避けられてしまう。
僕はその狼の移動距離に対し、【暴食】を発動。
狼は僕に移動距離を食べられて、僕の目の前に引き寄せられた。
驚く狼を舌で巻きつける。
身動きが取れなくなった狼をぐしゃっと舌でひねり潰した。
常識では考えられない【暴食】の効果を見て、動きが一瞬止まってしまったボス狼。
その隙を突いて、ハルクの平手打ちがボス狼にまともにヒットした。
目にも止まらぬスピードで吹き飛ばされるボス狼、壁に激突し壁に深々とめり込んだのだ。
ボス狼を失った狼どもはもはや敵ではない。
【重力Lv2】で再度動きを遅くし、一匹ずつ仕留めたのだった。
5匹の狼と1匹のボス狼の死体を確認した僕たちは、部屋の奥にあるドアに向かって進み始めた。
ドアを開けようとした瞬間、背後から物音が聞こえた。
振り返るとそこには狼が立っていた。
頭が潰れ、頭蓋から脳が飛び出しながらも、僕たちに向かって歩いてくる。
すると、死んだはずの狼全員が起き上がって向かってきたのだ。
その中には頭すらない狼や、胴体が真っ二つになっている狼もいる。
常識的に考えても生きているはずがないのだ。
ボス狼も首があらぬ方向に曲がっている。
しかし、おかしなことに狼たちからは出血が見られない。
傷つき、頭蓋が飛び出ていても血が一滴も出ていないのだ。
僕は即座に理解した。
彼らはみんなゾンビだ。
ガイコツはゾンビを製造していたのだ。
理由は分からないが、ゾンビを作るには血抜きが必要。
そのために、必要以上に血を流させていたのだ。
ということは、この扉の向こうに人間たちのゾンビもいる!?
僕はガイコツと戦う前に、新たな試練に遭遇してしまった。
ハルクの記憶を頼りに、ひたすら進んでいく。
動物的直感によるものか、彼にはマップ機能は必要ないらしい。
まるでいつもの通学路を進むが如く、複雑なダンジョンも立ち止まることなく一直線に進んで行ったのだ。
ハルクが立ち止まったところは、行き止まりへ向かう一本道。
一番奥の壁にこぢんまりとしたドアが設置されている。
通路は他の場所よりも臭気が充満し、道幅も狭い。
空中に浮かぶ胞子で視界が悪く、霧のように霞んでいる。
罠を仕掛けるにはおあつらえの環境だな。
この通路には間違いなく沢山の罠が仕掛けられているに違いない
このエリアが僕の縄張りだとしても、同じようなことをするだろう。
慎重に行かねばならない。
そう思った時だった。
ハルクは無防備に通路を進み始めたかと思うと、急に立ち止まった。
まるで相撲をするかのように四股立ちとなり、脚を高く上げ、しばらく保持した後強く上げた脚を振り下ろした。
爆発するような炸裂音がダンジョン中に響き渡る。
壁が震え、大地が揺れる。
彼の足は床を踏み抜き、踵が地面にめり込んだ。
彼は四股で地震を引き起こしたのだ。
えっ!?何してるの…!!
振動に反応して作動する数々の罠。
無数の槍が飛び、地面が割れ、吊り天井が作動し、様々な罠がハルクに向かって襲いかかった。
ハルクは罠に一切動じず、ドアを目がけて突進する。
罠をその身に受けようが、物ともしないようだ。
罠を破壊しながらドアまで走り抜けた。
僕は罠がなくなった通路をハルクを追いかけて進む。
しかし、スピードに乗ったハルクには追いつけない。
僕の様子を気にすることもないハルクは、スピードに乗ったままドアに向かって体当たりをした。
さすがにそれはまずいだろ!?
単身突撃をしたハルクを追いかけて、僕は急いでドアに向かった。
部屋に入ると、すでにハルクは戦闘中だった。
20畳くらいの大きさの部屋で、ハルクは狼型のモンスターたちに囲まれていた。
石造りのかび臭い部屋で、辺りに動物の骨などが散乱している。
部屋の奥にはドアが設置されており、その部屋の前には一回りほど大きな狼型のモンスターがいる。
おそらくやつらのボスだろう。
ハルクが狼たちに近づこうとすると、奴らは距離をとり一定の距離をキープする。
ハルクの攻撃は空を切り、残りの狼どもがハルクの腕や足に噛みつく。
僕は狼に向かって【重力Lv2】を使用。
狼たちの周りに見えない重力の渦が生じ、やつらの動きを遅くする。
ハルクは後方にステップバックしようとする狼の前足をつかみ、頭上高く持ち上げ、地面に向けて叩きつけた。
狼の頭は鈍い音を立てながら地面に四散した。
狼たちは距離を取ろうとするも、今までのように素早くは動けない。
追撃しようと狼に向かうハルク。
その時、ドアを守る大きな狼が耳をつんざくような叫び声をあげた。
激しい音波がビリビリと部屋全体を揺らす。
すると先ほどまでスローペースだった狼たちは、何事も無かったかのように素早く動き始めたのだ。
僕の【重力Lv2】がキャンセルされた!?
再び素早い動きで翻弄しようとする狼たち。
ボス狼も彼らの陣形に加わった。
ボス狼が鳴き声を上げる度に、狼たちは攻撃パターンを変え始めた。
まるで統率された軍隊のように、連携のとれた狼たちは的確に僕たちの隙を突いてくる。
僕も毒針やパチンコなど飛び道具系のスキルで応戦するも、全てかわされてしまった。
ハルクの攻撃も同様だ。
力任せにぶん殴ろうとするも、ハルクの攻撃は空を切る。
僕たちが攻撃を仕掛ける前に、すでに狼たちは動き始めているのだ。
ガイコツ戦に向けて魔力を温存したかったけど仕方がない。
僕は狼に舌で攻撃しようとしたが、後方に避けられてしまう。
僕はその狼の移動距離に対し、【暴食】を発動。
狼は僕に移動距離を食べられて、僕の目の前に引き寄せられた。
驚く狼を舌で巻きつける。
身動きが取れなくなった狼をぐしゃっと舌でひねり潰した。
常識では考えられない【暴食】の効果を見て、動きが一瞬止まってしまったボス狼。
その隙を突いて、ハルクの平手打ちがボス狼にまともにヒットした。
目にも止まらぬスピードで吹き飛ばされるボス狼、壁に激突し壁に深々とめり込んだのだ。
ボス狼を失った狼どもはもはや敵ではない。
【重力Lv2】で再度動きを遅くし、一匹ずつ仕留めたのだった。
5匹の狼と1匹のボス狼の死体を確認した僕たちは、部屋の奥にあるドアに向かって進み始めた。
ドアを開けようとした瞬間、背後から物音が聞こえた。
振り返るとそこには狼が立っていた。
頭が潰れ、頭蓋から脳が飛び出しながらも、僕たちに向かって歩いてくる。
すると、死んだはずの狼全員が起き上がって向かってきたのだ。
その中には頭すらない狼や、胴体が真っ二つになっている狼もいる。
常識的に考えても生きているはずがないのだ。
ボス狼も首があらぬ方向に曲がっている。
しかし、おかしなことに狼たちからは出血が見られない。
傷つき、頭蓋が飛び出ていても血が一滴も出ていないのだ。
僕は即座に理解した。
彼らはみんなゾンビだ。
ガイコツはゾンビを製造していたのだ。
理由は分からないが、ゾンビを作るには血抜きが必要。
そのために、必要以上に血を流させていたのだ。
ということは、この扉の向こうに人間たちのゾンビもいる!?
僕はガイコツと戦う前に、新たな試練に遭遇してしまった。
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