朝起きるとミミックになっていた ~捕食するためには戦略が必要なんです~

めしめし

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第2章 ダンジョン攻略前編

第21話 縄張り

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石段を降りきると、そこは1階層と同じような洞窟風のフロアだった。
辺りは薄暗く、ひっそりと静まりかえっている。

僕はステータス画面でマッピングを確認する。
僕がいる辺りがマップに書かれていた。

ここでもこのマップは使えるようだ。
僕はマップをウインドウに表示し、ゆっくりと探索を始めた。

チュートリアルからも「まずは縄張りを確保するように」と言われたのを思い出していた。
その時は納得したが、今考えると腑に落ちない。
時間をかけて縄張りを作るよりも、すぐに3階への階段を探し降りた方が早いのでは無いのか。
おそらく強くなってから下の階へ向かえということなのだろうが、今の僕ならそう簡単にはやられないだろう。

真っすぐ進んでいると、僕の目の前に大きな池が現れた。
幅30mはあるだろうか?
池の向こう岸には通路が続いている。

どうやらこの池を超えないと奥の通路には進めないらしい。
どう考えても僕が泳いで池を超えられるとは思えない。
僕は別の通路へと向かおうとした。

バシャァ

水しぶきをあげて、2匹の巨大ガニ?が池の中から現れた。
体長は僕の体の3倍はあるだろう。
左右の手に大きなハサミがついている。
あのハサミで攻撃されるとひとたまりもないだろう。
巨大ガニはゆっくりと僕の方へと近づいてきた。

僕は【鑑定Lv5】でカニの特徴を調べた。

【マッドクラブ】

Lv 12
HP(体力):2500
MP(魔力):1200
SP(スキルポイント):1000
筋力:2500
耐久:5000
知力:350
器用:1100
俊敏:1600
運:800

スキル:ハサミLv8 力をためるLv3 逃げ足Lv4  ※※※ ※※※

なかなか強い。
さすがは一階層とは敵の強さも違う。
それでもまだまだ僕の敵ではないだろう。

僕は近づいてくるマッドクラブに向かって【とらばさみLv4】を使用!
マッドクラブの足元に3つのとらばさみを設置。
マッドクラブの足をとらばさみがしっかりと捕らえた。

しかし、とらばさみに挟まれても全く止まる気配のないマッドクラブたち。
ハサミの射程距離まで近づくや否や、僕に大きなハサミを振り下ろす。
間一髪避けたものの、もう一匹のハサミが僕に襲いかかった。

ヒットするギリギリのところ、僕は【体当たりLv6】を使用。
カニたちの脇をすり抜け、僕は池を背にして再びマッドクラブと向き合った。

先手必勝あるのみ。
僕はマッドクラブに向けて毒Lv5 を付与した弓矢を発射した。

キイィン
弓矢がまともにヒットするも堅い甲羅に阻まれ、矢は刺さらずに地面に落下。
その間にマッドクラブたちは僕との距離をつめてきた。

再度ハサミを振り回す二匹のマッドクラブ。
まともにヒットはしなかったものの、ハサミが僕の体の一部をかすめる。
僕はじりじりと池の方へと追いつめられていった。

【身体強化Lv1】
僕は覚えたてのスキルを使用。
僕の体に力が沸いてくるのを感じた。
舌を伸ばし、鞭のように振り回す。

ヒュッ、ヒュツ
勢いに乗った僕の舌は、振るう度に空気を切り裂くような音が鳴り渡った。
無防備に近づくマッドクラブに僕の舌がまともにヒット。
思った以上の威力!
マッドクラブは大きな音を立て、その場に倒れてしまった。

もう一匹のマッドクラブが僕に向けてハサミを振り下ろしてきたが、僕はそのハサミに横から舌を打ち付ける。
バランスを崩したマッドクラブは、勢い余ってハサミが地面に突き刺さった。
僕は動きの止まったマッドクラブに舌をしならせて、マッドクラブの胴体に何度も舌の鞭を振るう。

たまらず後退するマッドクラブに、僕はチャンスとばかりに追いかけた。
逃げるマッドクラブの足元に【とらばさみLv4】を使用。
とらばさみに挟まれたマッドクラブは、後退する速度が一瞬止まってしまった。

僕はすかさず舌に【斬撃Lv2】を使用し、止まったマッドクラブの数本ある左足を切り裂いた。

グィィ!
マッドクラブはバランスを崩しながらも、後退を継続する。
もう一匹のマッドクラブが僕を後ろから追いかけてくるも、僕の勢いを止めることはできない。

僕の力は2階層でも通用する。
2階層での最初の餌になるのはこいつらだ。

僕がマッドクラブにとどめを刺そうとした瞬間、急に視界が真っ暗になった。

ガッシャーン
大きな音と衝撃が僕の体中に響く。

落とし穴だ。
僕はおそらく奴らが用意した落とし穴に落とされた。
上からマッドクラブたちが僕を覗き込んでいる。
僕はやつらを追い詰めていたようで、実は誘い込まれていたのだ。

幸いにも落とし穴の深さは大したことは無いようだ。
これならすぐに抜け出せるだろう。
僕が穴から抜け出そうとした瞬間、マッドクラブのハサミが僕の方へ伸びてきた。

ガシッ

僕はハサミで挟まれ、そのまま持ち上げられる。
やつらの頭よりも高く持ち上げられた僕は、驚きのあまり一瞬何も考えられなかった。

このまま叩きつけられる?
地面に激突される前になんとかしないと。

しかし、マッドクラブがとった行動は僕の予想を超えていた。
やつは僕を池に向かって投げ込んだのだ。

ミミックって泳げたっけ?
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