朝起きるとミミックになっていた ~捕食するためには戦略が必要なんです~

めしめし

文字の大きさ
上 下
2 / 120
第1章 ミミックとして生きる

第2話 チュートリアル

しおりを挟む
(ミミックってどういうことだ?まさか僕がミミックになっているのか!?)



そういえば思い当たるふしがある。僕が唯一動かせるのは箱の開閉のみ。

これってミミックの口の開閉なんじゃ…。



「レベル1となりましたので、チュートリアルをご使用できます」



どこからともなく、声が聞こえてきた。

しかし、僕の頭はミミックのことで頭がいっぱい。

声には気づいていたが、反応ができずにいた。



「レベル1となりましたので、チュートリアルをご使用できます」



再度頭上から声が響く。この声は一体誰のものなんだろう。



「レベル1となりましたので、チュートリアルをご使用できます」



(あーもううるさい!)



ステータス画面を見ると端にチュートリアルの文字が記されている。僕はチュートリアルを選択し、チュートリアルと念じた。



「パンパカパーン、おめでとうございます!」



先ほどまでの淡々とした機械音声の声が、急にハイテンションになって僕の頭に直接響く。



「光君はレベル1となったので、このチュートリアルを使えるようになりました!このチュートリアルでは、プレイヤー達にこの世界について学んでもらいます。」



(ん?プレイヤーとか言ったか?それにこの世界って?)



「うん、そう。光くんはこの世界のプレイヤーだよ。」



僕の思ったことが、直接伝わっているようだ。一方的なコミュニケーションではないらしい。



「光君はビクトリアス・ファンタジアのプレイヤーの一人に選ばれました。はい、拍手ー」



頭に直接響くイラっとする態度と声、そもそもチュートリアルってこんなのだっけ?



「このチュートリアルでは、この世界の成り立ちや攻略方法、質問なんかに答えちゃいます。もちろん答えられないこともあるので、怒らないでね。」

「また、このチュートリアルはいつでも使用でき、次に進化するまで使えるので上手く利用してね。」



どうやら本当に異世界?に迷い込んだらしい。夢でもないようだ。



(何で僕がこんなことに?僕は死んでしまったの?)



「異世界と思っているようだけど、ちょっと違うかな?ここは僕たちが作ったゲームの世界。仮想現実ってやつ。それに光君は死んでもないよ。」



(は?何で僕がゲームの世界に?それに僕たちが作ったって)



「僕はこのゲームの制作者の1人。何人かでこのゲームを運営しているよ。ただ、ゲームといっても体感することはリアル。体が傷つけば痛いし、お腹も減るよ。」

「魂だけこちらのゲームの本体に移したような感じ。ホラ、スマホのSIMカードを入れ替えるのを想像してもらったらわかるかな?」



(じゃあ、僕の魂を入れ替えたってこと?でも何で僕が?それにミミックって)



「光君をミミックにインストールした理由?そうだなぁ、色々あるけどあげるとしたら名前?だって宝 光ってまさしくミミックっぽい名前しているじゃん。」



沸々と怒りがこみ上げてきた。

名前?本当に名前で選んだのか?



「制作者の1人が前々から目をつけていたらしいよ。アッ、僕じゃないよ。その人がずっと光君のことを推薦しててね。それで魂を移し替えたってわけ。」



このゲームの制作者の中にクソ野郎がいるようだ。

今にも爆発しそうな怒りを抑えるのがやっと。

感情に任せてチュートリアルを責めても、おそらく状況は改善しない。むしろ悪くなるだろう。



「そうそう、怒るのは分かるけどちゃんと聞いておいた方がいいよ。でないと一生この世界から抜け出せないからね。」



寒気がした…。ゲームから抜け出せない?



「このゲームには達成課題みたいなのがあって、それをうまく攻略すればゲームクリアになるってわけ。それがクリアされるまではずっとこの世界に残ってしまうかな。」



(達成課題?僕の課題は一体何?)



「それは今は秘密。追々教えるね。」



(僕の本体はどうなってるの?クリアに時間がかかると本体の方が死んでしまうんじゃ?)



「それも心配いらないよ。肉体と時間と精神の時間は全く別だからね。ここで何年過ごしたとしても、現実世界はダウンロードした時の状態なんだ。1秒たりとも時間は経過しないよ。」



(じゃあ、この世界で死んでしまったらどうなるの?ゲームオーバーになることだってあるんでしょ?)



「それ聞きたい?もうある程度分かっているでしょ?新しいスマホがSIMカードごと壊れたら、データって残ってないよね?」



つまり、死んだら終わりと…。何で僕がこんな目に!



「気の毒かとおもうけど、なってしまったものはしょうがないよね。他に質問はない?無かったらこの世界について説明するね。」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

宇宙人へのレポート

廣瀬純一
SF
宇宙人に体を入れ替えられた大学生の男女の話

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【改訂版】 戦艦ミカサを奪還せよ! 【『軍神マルスの娘と呼ばれた女』 2】 - ネイビーの裏切り者 -

take
SF
ノベルアッププラスへの投稿に併せて改訂版に改編中です。 どうぞよろしくお付き合いください!  数百年後の未来。人類は天変地異により滅亡寸前にまで追い込まれ、それまでに彼らが営々と築いてきたものは全て失われた。  わずかに生き残った人々は力を合わせ必死に生き延び、種を繋ぎ、殖やし、いくつかの部族に別れ、栄えていった。その中の一つがやがて巨大な帝国となり、その周囲の、まつろわぬ(服従しない)いくつかの未開な部族や頑なな国との間で争いを繰り返していた。 就役したばかりの帝国の最新鋭戦艦「ミカサ」に関する不穏な情報を得た皇帝直属の特務機関を統べるウリル少将は、一人のエージェントを潜入させる。 その名は、ヤヨイ。 果たして彼女は「ミカサ」の強奪を防ぐことが出来るのか。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...