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34.助けるためには仕方ない

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「エレナ……?」

「お待たせ致しました。」

「また女が増えたか!」

「あなた達……私が相手になります。」

「エレナ?」

「レオ様はそのままお待ちください。私が相手をします」

エレナは力を見せなくても良いという視線をレオンハルトに送った。

レオンハルトもエレナの意図を察した。


「こいつも可愛い顔をしてるじゃないか。」
「凄んだところで俺達には関係ないからな」

その時2人の剣士が何かを飲み飲んだ。

「これで貴様らは終わりだ」

1人は筋肉増量。
もう1人はレオンハルトにも見えない速度でまわりこんだ。

禁忌とされる薬物をボルドーの私兵は使った。

「レオ様はあの子を……私は敵を殲滅しま……」

それは油断なのか?
レオンハルトと会えて平常心を失っていたから?

それに合わせて禁忌の力で身体能力が上がった剣士の1人がエレナの背後に回った。


「良い胸をしてるじゃないか」

普段なら魔力障壁をはるのだが、レオンハルトに会えた事での喜び。それを抑える気持ちで剣士の男に後ろに回り込まれた挙句、胸元に手を入れられてしまった。

剣士は耳元で囁いた。

「乳首立ってるじゃないか」

長年我慢してきた。
それが仇となった。

「んっ……」

全身から力が抜ける感じがした。
それをレオンハルトは見ている。
反対の手はショートパンツの隙間からクチュクチュと音を立ててエレナの膣の中に指が入った。

更に力の抜けたエレナ……

呆然と見つめるレオンハルトに対して、見て欲しくなかったという想いがあるが、身体は言う事を聞かなかった。

だが。
次にレオンハルトを見ると、レオンハルトの姿は見えなかった。


「✧✫✩▲▶▼▶●」

何を言ってるのか分からない。
だが、それはレオンハルトの声だった。

そして乳首を摘まれる事も。
気持ちよくも気持ち悪い膣の指の動きも無くなった。

「エレナに触れていいのは俺だけだ。」


いつの間にかレオンハルトに抱きしめられていたエレナ。
レオンハルトが剣士を蹴り飛ばして、身体に感じる触感がなくなった。

蹴り飛ばされた剣士は首がなかったが、それをやったのはレオンハルトだと認識は出来た。


「すまない。エレナ」


かなり強化された剣士。
それを容易く首をはねたレオンハルト。

「さすがレオ様です」

「悪いな。無性にむしゃくしゃしてるんだ」

エレナはキュンとした気持ちになった。
だが、それと当時に抱きしめられた嬉しさは、理性を狂わせるどころか、頭をスッキリとさせた。


「レオ様。ここは私が。」


いくら兵士が禁忌の薬を使ったとしても今のエレナの相手ではなかった。

「ルシール帝国魔法師団副団長エレナ・フィッシャー。舐めてもらったら困る。」


「「えっ???」」

その言葉に固まるレイナとヴィン……

そして頭を抱えるレオンハルト。


「てへっ……ダメ……でしたよね……?」


いや、エレナが抜けてるのは知っていたし、俺がエレナを呼び捨てにしていた事も軽率だった。
まぁいい。

とりあえず……


「こいつらを拘束する。」

俺は魔法でエレナに打ちのめされた男たちを拘束した。

幸い、意識は無い。
意識のない相手に名乗るというドジを犯したエレナ。少し可愛いと思うがそれをよそに俺は残りの剣士の身体を触った。

「魔力...身体能力が格段に上がってるな。エレナどう思う?」

「……はい...う、うん。いや……はい。レレレ..レオ……様……レオ…………さま……いや、レオ...レレ...レオ...」

「頑張って誤魔化そうとしても今更だぞ?」

「も...申し訳ありません。こほんっ...これはモーランド連合王国に伝わる禁忌とされる魔道具の1種です。」

その横ではポカンと口を開けたままのレイナ。
状況が理解出来ていないのだろう。

「禁忌?こいつは割と平常心を保ってたんじゃないか?」

「はい。魔力と身体能力が急激に上がりますが、ある条件を満たさなければ精神が崩壊してしまいます。」

「条件とは?」

「いえ、その……」

「エレナ?顔が赤いぞ?」


ボルドー軍には必ず女の兵士がいる。
それは禁忌の薬を使って異常に高まった性欲を処理する為の女。
女を抱く事で理性を保つことが出来るようになる。

魔力の溜められた精子を出す必要があるのだが、自分で出しても性欲は収まらない所が禁忌の1つとも言われている。もし女を抱くことができなかった場合、その者は気が狂いモンスターと同様になる。

男尊女卑のモーランドだからこそ使用されているものだった。

その薬は女には意味をなさない。
男だけのクスリなのだ。

そして、エレナは……
レオンハルトに会えた事。
男に触られた事。
そして、レオンハルトに抱きしめられたこと。

エレナの身体は火照っていた。
それを言葉に出してしまうことが恥ずかしい。

2人を見つめるレイナ。

だが、その時。
近くに倒れる魔導士の懐からヴィンが薬を抜き取った事に誰も気が付かなかった。

そしてようやく口を開いたのはレイナだった。

「ちょっと待ってください……?レオ……さんはいったい……」

「悪い。ヴィン、レイナ。もう1つ秘密だ。」

「えっ……?」

薬をこっそり抜き取った後に名前を呼ばれて驚くヴィン。

「秘密とはなんですか?」

「まて、それよりカエデの処置を優先しよう。エレナ見てくれ」

「はい……この人は魔力を使い果たしています。魔力がほとんど残っていません。このままだと残念ですが……」

「くそっ……何か手は無いのか?」

「それは……」

その時、レイナが耳元に顔を寄せて囁いた。

「レオさん...カエデ姉さんに魔力をあげてください!レオさんなら出来るはずです!」

「え?」

魔力をあげるって、セックスして良いって事だよな?
横たわる小柄な童顔美少女……
そしてその姿に見合わぬ大きなおっぱい……

やって……良いのか?

「レオ様……」

悲しそうな顔をするエレナ。
こいつ...俺の能力を知ってるのか?

「レオ様……助けてあげてください」

目を逸らしながらエレナは言った。

「レオさん。今日の事は後日教えてくださいね。ヴィン!あたし達は戻ろ!」

「あっあぁ。」

レイナの機転でヴィンはレイナと帰って行った。


俺達もカエデを抱いて宿へと戻った。

「レオ様……お部屋が狭いので私は外で待っています」

「あぁ、そうしてくれ」

いや、むしろ言わないでもそうしてくれ!

だけど、何をするのかを察しているエレナの寂しそうな表情が目に焼き付いていた。

だが、カエデを助ける為には仕方ない。



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