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26.初依頼

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「おう、レオ!」

ギルドを出ようとするとヴィンがギルドに入ってきた。

「お、おう……」

レイナの事もあるし、勝手に気まづく思ってしまう。

その後ろには……

「レオさん、おはようございます」

幼なじみの2人組のパーティーなのだから、レイナが居るのは当然だよな。

「ああ、おはよう。依頼か?」

「いや、俺たちは今日は換金して武器を新調しようと思ったんだよ」
「そうか。」


ヴィンは俺の耳元に顔を近づけた。

「なんかよ、レイナが口紅つけてオシャレになったんだよ!俺の事を意識してくれてる感じなんだよな!!」
「あ、おう、良かったな」

「ヴィン!換金してきて」
「わかったよ、レイナ待ってろ」

ヴィンが換金に行くとレイナが近寄ってきた。

「あの...魔力がなくなったので、今日もお邪魔していいですか?」
「え?」
「ダメですか?レオさんが褒めてくれたからお化粧もしてみたんです!」

「あ……あぁ」

そっか、離れたら魔力は消える……
ん?なら、今日来ても意味無くないか?

でも、断るに断れず……

「では、夜に!……あっ、私も銀のキツネ亭でお食事をしますね!」


換金を終えたヴィンが戻ると、レイナとギルドを出ていった。

俺と約束をして嬉しそうにニコニコのレイナ。
そのニコニコを見て、勘違いし嬉しそうなヴィンを見送った……


俺は……どうしたらいい?
経験が無かったから、こうゆう複雑な関係って慣れて無さすぎる。

めんどくさい事が起こらないようにだけ気をつけなきゃな……

それから俺も換金が終わったし、ブリングルスの街でも見て回ってみようと思う。

換金できたお金はサラリーマンの3ヶ月分の給料くらいになったし、暫くはモンスター退治もしなくて良さそうだしな

素材としてはオークも高かったが8層以降にで出てきたモンスターの魔石が高く売れたようだ。
そりゃ、冒険者を目指す人間が多くなる訳だな……

そして、もう1つ気を付けないと行けない事……


こっちを見てるククル。

初めから10層にたどり着いたのだから、怪しまれてるんだろう……
ましてや、テストも普通の結果だったし。

ヴィンとレイナも冒険者歴1ヶ月。
まだ、1層や2層でしか行動していなかったようだし、10層まで行けたのは、俺が居たから。

まぁ、怪しむよな……普通。

現に無理して5層まで行ってレイナも死にかけた訳だし。

万が一にも皇子とバレてしまったら、みんなの接し方が変わってしまう。
堅苦しくされるのも嫌だし、最悪エルヴィン兄上の勢力がこの街にも伸びないとは限らない。

俺を担ぎあげて対抗しようとなんてされたら、それこそ自由を失ってしまうし……

俺の事を調べあげられても困るから、大人しくしておこう……ククルの視線を感じながらギルドを後にした。



帝都はコンクリートのような素材で建物が作られていた。魔法で長年かけて作っていったことが分かる。
だが、ブリングルスの街は木造建てが多かった。
大工のような職人がいるんだろう。

特に変哲もないファンタジーの街。
娯楽施設もない。

2時間ほどで街を見終わってしまった……
途中の防具屋にヴィンとレイナが居たが、レイナが服を選んでいる時にヴィンは外で暇そうにしていた。

そこは一緒に見て、似合いそうとか言ってあげたらいいのに。
ヴィン、そうゆう所だぞ!
まぁ、前世の俺はそこまでたどり着けなかったんだが。
2人に見つからないように防具屋を離れた。

2人の邪魔をしないように……
と、思ったけど、思った事と行動のギャップは自分でも理解しているつもりだ。

街も見てしまったし……
暇だ……

結局俺はギルドに戻った。

暇なら依頼をするしかない。

適当にモンスター退治の掲示板を見ていると、ククルが案の定近付いてきた。

「レオさん、そちらはDランク以上の依頼ですよ?まだFランクなので、こっちです!」

ククルに案内された掲示板は近くの薬草採取やダンジョン1層のモコうさぎの肉とか簡単なものばかり。
500リラ。日本円と同じ単価で500円くらいの犬の散歩の依頼もあった。

「物足りないですか?」

「え、いや」

「物足りないですよね?」

「いや、十分だ」

俺が手に取った依頼。

「協会の地下の掃除ですか...埃っぽいだけですよ?やめた方が……」

「それを受付が言ったらダメだろ...」

「そうですけど...モンスター退治ならEランクへの近道にもなりますよ?」

「まだ、駆け出しだからな。過信せずにやるべきだろ?」

「う~ん、正論なんですけど、なんか違いますよね~」

「何が言いたい?」

「いえ、何も……」

「なら、これにするな」


そのまま教会へ向かうと、シスターが地下室に案内してくれた。

学校の体育館くらいの大きさだが、使っていなかったのか、かなり埃や蜘蛛の巣があった。

「これから教会では孤児の受け入れを行おうと思ってまして、その準備のために依頼をしたのです」

「なるほどな。教会って孤児を受け入れる余裕があるのか?」

「それは、第1皇女のソフィア様が地方の教会に支援をなさってくれて、孤児の受け入れをするようになったんです。」

「姉……ソフィア様が?」

「はい、素晴らしいことです。」

ソフィア姉さんが行ってる活動か。

気合を入れて掃除するか!!

「シスター、上でまっててくれ」

「お願いします」


シスターが上に上がった事を確認してから
クリーン綺麗にする

俺の魔力量なら体育館くらいでも、一瞬で綺麗に出来る。

それにこれは聖属性だから、俺は1時間ほど仮眠を取ってシスターの元に向かった。


「終わったぞ」
「えぇ??」

慌てて地下に行ったシスターは驚いていた。

1時間……早すぎたか?

やっちまった。

教会を後にして、夕方まで時間を潰してからギルドに報告に行った。


「お帰りなさいませ」
「ククル、終わったぞ」
「えっ??」
「結構時間が掛かったな」
「いえ、あの。依頼書……」

俺は依頼書を見ると2日の期間が書かれている事に気が付いた。

「早すぎます……」
「頑張ったからな……掃除は得意なんだ」
「得意でこんなに……あっ……」
「どうした?」
「明日、掃除の依頼があるので受けてくれませんか?5000リラです」
「あぁ、いいぞ!」

誤魔化すために承諾した事が、さらに面倒になるとは思ってなかった。


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