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121★ちょっとタガが外れたようです

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 シアの言葉に、元来高い身体能力を有するフリードは、身体を動かすコトが好きなで、ルンルンでホーンラビット狩りを楽しんだ。
 そして、何故かフリードに妙な対抗心を出したジオンが、だったら自分はホーンウルフを狩ると宣言したのだった。

 勿論、透過の術で姿を消していたフジにミスティーにリムは、ただ黙って付いてきただけじゃつまらないと、遊び半分だが、ジオンの為にホーンウルフのひと群れを、威圧と土魔法などを使って防護壁付近まで追い立てて来たのだった。
 ちなみに、そのひと群れは12頭だった。

 それを、ジオンは心臓のひと突きで12頭を討伐したのだった。
 ちなみに逃がさずに12頭獲ったのは、意外と毛皮が綺麗なモノが多かったためである。

 シアにホーンウルフの毛皮を選ばせてやりたいという下心から、ひと群れを討伐したのだった。
 ジオンは、シアが好んだモノを残して、依頼分のホーンウルフをギルドに出す予定だったのだ。

 仮に、シアが『どれも、毛皮が良くて選べない』と言ったならば、更に討伐を続けただろうことは確かだった。

 そんなジオンに、フリードも何となく対抗心が出て、毛皮の美しいホーンラビットを8匹ほど追加で獲っていた。
 ついでに、群れから外れたらしい地駆鳥も1羽を獲っていた。

 フリードとジオンが妙に頑張っちゃっていたので、その間ちょっと暇になったシアは、足元周辺を探索して見つけた、藍鈴草を採取していた。
 ちなみに、この藍鈴草はポーションの効能を底上げできるので、1本でも高い値段がつく代物だった。

 ちなみに、この藍鈴草は、少し空間の撓みがあるところに存在している為、通常は視認されにくいモノだったりする。
 要するに、目に見えない状態の為、そこここに存在していても、中々採取できない薬草だったりする。

 当然、普通の冒険者が採取しようとしても、容易に見つかるモノではないのだが………。
 神子であるサファイアを抱えるシアには、その空間の撓みに隠れた藍鈴草を、そのまま視認できたりするのだった。

 (確か、藍鈴草も採取依頼あったような………まっいっか
  あとで、私が自分でポーション作ってもイイし
  それはそれで楽しそうだもんね

  つーことで、状態の良さそうな藍鈴草をもう少し採取しておこうっと
  インベントリの中に入れておけば、状態維持できるしね)

 シアはフリードとジオンの気が済むまで、自分の足元にある薬草を、ただなんとなく採取するのだった。

 シアが幾種類かの薬草を採取している間に、ジオンがホーンウルフのひと群れ12頭と、ファングボアを1頭、ホーンラビット2匹を獲っていた。
 フリードはというと、ホーンラビット10匹と、トライプラーグを3頭と、地駆鳥を1羽を獲っていたのだった。

 ジオンとフリードが、2人して側に戻って来たので、シアは声を掛ける。

 「そろそろ戻らないと、指定時間に間に合わなくなから………
  充分、討伐依頼以外も獲れたから戻りましょう」

 シアの言葉に異存は無いジオンが頷く。

 「ああ、そうだな………その…悪かった
  久々に身体を動かしたら楽しくなっちまった………」

 そう言って頭を搔くジオンに、シアはクスッと笑って言う。

 「ずっと拘束されていたんですもの…仕方ないわね
  でも、帰る時間を考えたら、そろそろ門に向かわないと………」

 と言うシアに、フリードもちょっと耳をタレさせて言う。

 「ごめんなさい、まま
  自由に動く身体に、なんか楽しくなっちゃって………」

 ジオン同様、ある意味で自由の無かったフリードも理性のタガが外れたコトを反省してうな垂れていた。

 「いいのよフリード、あなただって自由と無縁だったんだから
  身体だって、手にしたばかりなんだし………
  でも、そろそろ戻りましょうね」

 「はぁ~い」

 「ああ、そうだな」

 ということで、シアは冒険者ギルドへと向かうのだった。
  







***本日のシア達の獲物内約***

 ・ホーンラビット(額に灰褐色の1本ツノがある大型のウサギ)
  中型犬並みの大きさ・色は多彩・斑や縞有りもいる
  ツノが薬になる・ツノの色によって価値が変わる
  毛皮は、手触り良く、鮮やかな色や模様があると、貴族に高く売れる
  通常のホーンラビットの毛皮は、角と同様の灰褐色
  一般市民の冬用衣類になるコトが多い
  見習い向きの討伐対象
  ※フリード10匹+ジオン2匹討伐

 ・ホーンウルフ(額にオフホワイトの1本ツノを持つ見た目森林狼)
  通常固体は、ツノがあるだけの森林狼
  群れのリーダー格になると、馬並みの体躯を持つ
  通常固体の毛皮は、よくあるウルフカラー
  ただ、黒味が強いものから全体が白色系のモノまで多彩
  極まれに、純黒や純白の固体も発見されるコトがある
  通常固体で、1頭なら見習いを卒業したばかりでも討伐可能
  特殊固体は、上級冒険者でもてこずるシロモノ
  ※ジオン12頭討伐

 ・ファングボア(鋭利で巨大な牙を持つイノシシ)
  通常固体は成体で子牛ほど、巨大化しても牛並み
  だか、特異体になると、年を経るごとに大きくなり続ける特徴がある
  成長に際限がない
  大きくなるほど美味しくなるが、肉は硬くなる
  通常固体なら、見習いでも討伐が可能
  ※ジオン1頭討伐

 ・トライプラーグ(見かけはトラ柄の狸?)
  大きさは大型犬並みで、かなり凶暴
  爪や牙がライトオレンジで、お守り輝石として人気が高い
  爪や牙の色が濃いほど高く買い取ってもらえる
  通常、肉は特殊処理しないと食べられないが、上手に処理されれば
  クセはあるが、かなり美味いので愛好家が存在している
  毛皮は断熱効果が高く、冒険者の敷物に好まれる
  ※フリード3頭討伐

 ・地駆鳥(見た目はダチョウに似ている飛べない鳥、脚力ともの凄い)
  ダチョウを更に大型化したような地上を走り回る鳥
  通常は群れで移動して生活している
  肉は上手に処理すれば、かなり美味しくなる
  中級家庭なら普通に手が届く肉
  ※フリード1羽討伐
  
 ・宵待草(見た目は暗褐色のクリスマスローズ)
  ポーションを作る為に必要な薬草のひとつ
  ※シアは、常態の良いモノを32本ほど採取


 ・藍鈴草(見た目は鈴蘭、花の色が藍色)
  全ての薬草効果の底上げをする霊薬草
  空間の歪みや捩れ部分に生えている為、通常視認不可能なモノ
  採取困難な代物で難易度がべらぼうに高い
  ※シアは、常態の良いモノを30本ほど採取

 ・白月草(見た目は、小型の白百合)
  ポーションを作る為に必要な薬草のひとつ
  単体でも消毒効果を持つ
  ※シアは、常態の良いモノを30本ほど採取

 ・銀月草(見た目は、銀色のコスモス)
  ポーションを作る為に必要な薬草のひとつ
  アンデット系を寄せ付けない聖属性の霊薬草
  聖水にも用いられる
  ※シアは、常態の良いモノを30本ほど採取

 ・金月草(見た目は、金色の小菊)
  ポーションを作る為に必要な薬草のひとつ
  すり潰して肌に塗り込むと虫除け効果がある
  ※シアは、常態の良いモノを30本ほど採取







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