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101★ああ、懐かしき日本の食卓?
しおりを挟むシアの大盤振る舞いの言葉に、無自覚の魔力酔いを起こしていたライムは、ケタケタと笑いながら言う。
「あっじゃあ…
両方とも粉でお願い
くすくす………まんまでもイイけど
マヨネーズに混ぜても
良いのよねぇ
カラシマヨにワサビマヨ
肉にもあうのよねぇ………」
ルンルンしているライムの言葉に応じて、シアは粉のカラシとワサビを思い描いて、意識を集中する。
(うふふふ………今回は
料理ではないので
簡単に作りだせたわ)
軽いポンッという音が付きそうなほど簡単に出現した粉のカラシとワサビの革袋を手に取り、どちらも巾着状の口紐を解いて口を開く。
独特の香りをかぎ取り、ライムはニコッとする。
「うん、粉ワサビと粉カラシだね
それじゃさっそく練るね」
ライムの言葉に、シアもニコニコしながら言う。
「うん、よろしくぅ~………
私は上手に出来ないから………
くすくす………粉ワサビって
本物じゃないけど
便利なんだよねぇ~………
手軽に使えてさぁ~……
本物のわさびって
いちいち鮫皮おろし器で
すりおろさないと
使えないから
面倒なのよねぇ………
まぁその分美味しいけどね」
なんてコトをシアが言っている間に、ライムはカラシとワサビを取り分けて、魔法でぬるま湯を出して手早く混ぜる。
「はい、できあがりぃ~………
とはいっても、ちょっと待つ
そうね10分くらいが適当ね
その間に、出来たてのおでんを
取り分けましょうか」
言いながら、ライムが器や箸を出して、適当な量を乗せて分けて行く。
が、だいたい兄か父が鍋奉行状態で指示して、母がみんなの分を取り分けていたので、基本的に待っているだった前世を持つシアは素直にそのまま待っていた。
そうして、全員分、勿論コウちゃんやガッちゃんにも取り分け終わったところで、ライムは練ったカラシを、おでんを盛った器の端にちょいちょいっと付けて行く。
シアはというと、ライムが食べて良いよというのを、まるでご飯を待つ子犬のような仕草で待っていた。
ジオンとフリードは、ちょっと小首を傾げたものの、シアを習って待っていた。
そんな3人にちょっと苦笑いを浮かべてから、ライムはふっと左右に控えるコウちゃんとガッちゃんが、似たような姿で待っているコトに気付いて、更に苦笑いを深めた。
「それじゃ、食べようか
せっかくだから
温かいうちにね」
そう言うと、シアが改まって言う。
「それじゃ、いただきまぁーす」
嬉しそうにそういうので、ジオンとフリードもその行動に習って言う。
「「いただきまぁーす」」
ライムも、その懐かしい光景に笑みを浮かべながら言う。
「それじゃ、私もいただきます」
そんなライムに、やはりコウちゃんとガッちゃんが追随する。
「「いただきます」」
そうして、久しぶりの前世の日本での食事を思い出し、ジィーンとしながら、良く味の染みたおでんを食べるのだった。
そうこうする内に、懐かしさからビールやら日本酒やらを、シアはポンポンと錬金術?で出していた。
勿論、そこには洋酒も多数含まれていた。
なにせ、前世の年齢を考えれば、成人を超えていたので………。
そして、ドンチャン騒ぎへと移行したのは言うまでも無い。
魔力酔いにお酒の酔いも手伝って、ジオンやフリードどころか、ライムもコウちゃんやガッちゃんも、制限を忘れるのは致し方が無いコトだった。
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