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073★謎の神殿前で、ちょっと休憩

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 シアと手を繋ぐフリードを先頭に、謎の神殿に向かった。
 その十数分後、一行は何の障害も無く、シアが転移で跳ばされた謎の神殿に、無事到着していた。

 「ここが、私が飛ばされた
  謎の神殿です」

 その言葉に頷いたライムは、シアに声を掛ける。

 「シアは、とりあえずここで休憩ね

  息が上がっているわよ
  冒険の基本は、基礎体力よ

  私は、コウちゃんとガッちゃん連れて
  この目の前の謎の神殿の構造と外観を
  確認してくるわ」

 ちょっと呼吸の上がっていたシアは、ライムの言葉にホッとしながら答える。

 「はぁ~い」

 そのシアの返事を聞いて頷いたライムは、両肩に神獣2匹を乗せたまま、フワッと浮き上がり、謎の神殿の確認に向かった。
 シアは、自分の体力が無い為に、ライムと一緒に確認探索へ行けなかったコトを、ちょっと残念そうにしていた。
 そんなシアに、ちょっとだけ側から離れていたフリードが言う。

 「まま、あっちに座るのに丁度良い
  石が並んでいるよ

  ジオンも一緒に来て、ライム達が
  この神殿を確認する間、休もうよ」

 フリードの言葉に、シアは嬉しそうに答える。

 「あら、本当に丁度良い石が
  並んでいるわね
  ジオンも一緒に座りましょう」

 シアにそう声を掛けられて、ジオンは素直にシアから示した隣りへと座る。
 本当なら、外敵に備えて立っていた方が良いのだが、シア(=主)が望んだので、座ったのだ。
 また、呪縛の鎖で声と行動制限をされているので、そういう制限の掛かっていないフリードの感覚を当てにしているのだ。
 だから、ジオンはフリードへと視線を送る。
 その視線の意味を理解し、フリードはジオンに答える。

 「この周囲に、魔獣の気配は無いから
  ゆっくりしていても大丈夫だよ

  もし居たとしても、あのライムと
  コウとガッが仕留めるさ

  ライムは、絶対にままのコト
  気に入ってるもん

  ままって、庇護欲そそるから
  絶対に、危険に晒すなんて無いよ」

 フリードの言葉に、ジオンは頷いて、深い息を吐き、緊張を緩める。
 いざという時の為に、休むコトも必要だから‥‥‥。

 「はぁ~‥良いなぁ~ライムは‥‥‥
  私も、ああいう体力欲しいぃ~‥‥

  いや、その前に装備も必要だよねぇ
  あぁ~‥あの天使シリーズって

  こっちでは、どうやったら
  手に入るのかなぁ?」
 
 (前世ん時は、お兄ちゃん達が
  あれこれやってくれたから‥‥‥

  そういえば、レベリングも
  お兄ちゃん達や従兄弟達と
  その息子の甥っ子達で‥‥‥

  うわぁ~‥私ってば、楽しすぎて
  ゲーム内容をほとんど覚えて無い)

 ガックリと肩を落とすシアの姿に、慰める為の声を持たないジオンは、フリードを見て肩を竦めて見せる。

 「ままの身体は、長年盛られた
  毒で弱っているんだから‥‥‥

  食事だってまともに食べさせて
  もらってなかったでしょ‥‥‥

  フリード、繭の中にいる時に
  ボクやジオンを、ままの為に買った

  あの人達に、ままが生い立ちのコトを
  喋っていたの‥‥きちんと聞いていたよ

  だから、しばらくは養生しないとね
  宿屋を1ヵ月借りてくれたのは

  せめて、そのぐらいは養生しなさい
  ってねいう意味だと思うよ」

 フリードの言葉に、シアはちょっと苦笑いを浮かべる、そんなシアに、ジオンは頭を軽く撫でて、ポンポンと叩く。
 そんなジオンの不器用な慰めに、シアはちょっとクスッと笑ってしまう。

 (いくら自業自得な部分があっても
  ジオンの方が大変なのに‥‥‥

  流石、幻の攻略対象者よねぇ~‥‥‥
  本質は、とても優しいんだねぇ~‥

  女神の愛し子の《神子》を
  狂わせて解体したコトにも
  何か意味があるのかな?

  まぁ‥それで、私はフリードと
  出会えたからOKだけどね)

 「ありがとう、フリード、ジオン
  そうね、しばらくは養生するわ

  この神殿は逃げないものね
  あぁ~早くジオンのソレを
  何とかする方法‥‥‥

  あっ‥‥ライム達が帰って来た」

 その姿を見付けて、シアは嬉しそうに立ち上がる。
 ジオンもライムの帰還を喜んで立ち上がったシアを見て、ちょっ苦笑いしながら立つ。
 当然、フリードもサッと立ち上がって、シアの隣りに居て、その腕に抱き付いていた。









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