上 下
36 / 129

035★隠し通路、封鎖させてもらいます

しおりを挟む


 神官達や神官戦士達に邪魔されまくったけど、私は騎士達に守られて、なんとか誓約の神殿の廊下へと抜け出すコトが出来た。
 重いやたら豪奢なドレスに四苦八苦しながら、私はチラリッと後ろを振り返る。

 その視線の先には、多くの騎士達の背中が見える。
 もちろん、参拝者達は今日は訪れるコトは出来ないので、誓約神殿の祭壇の間から、出入り口へ向かって立っている騎士は、ひとりだだった。

 (あぁ‥‥‥ああして
  私を捕縛しようとする
  神官達や神官戦士達を

  廊下へと出れないように
  しているのね、助かるわ

  じゃなくて、そういえば
  この誓約の神殿って

  かなり激ヤバでマズイわぁ

  誓約の祭壇の間までの
  出入り口って‥‥‥

  色々な控え室や
  神官達の居室

  幾つもあったんじゃ
  なかったっけ?)

 私はその事実を思い出しながら、前ひとり後ひとりと左右に2人づつで完全護衛する騎士達に感謝しつつ、私に出来る限りの速度で歩く。
 が、流石に婚約式用の迷惑なくらい豪奢で重いドレスの為、競歩のようには行かない。

 せいぜいが、騎士達の普通の歩みくらいでしかない。
 まぁ、そのお蔭で、護衛の騎士達はしっかりと前後左右を警戒しながら歩けるのだから‥‥‥。

 (どこかに、緊急時の
  非常口になっている
  隠し通路を封鎖する

  魔石が嵌った石柱が
  この通路のどこかに
  あるはずなんだけど

  アレって、いったい
  どこだったかしら?)

 抜刀した騎士達に守られながら歩く私を、見詰めるものは幸い居ない。
 もちろん、歩行を邪魔するような者も居ない。
 もしここで私達の進路を邪魔する者が居たら、それは敵よね。
 神官や神官戦士、または、王の手先というコトだろう。

 誓約神殿の祭壇の間を出て、見事な彫刻を施された左右の石柱を確認しながら歩いていたセシリアは、手に持っているある場所の鍵となる扇が微かに脈動するのを感じて、無意識に足を止める。

 「ちょっと、立ち止まっても?」

 私が立ち止まると同時に、すぐさま私の状態を視線だけで確認する。
 そして、私の言葉に、足を痛めたと勘違いした騎士が、心配そうに問いかけてく。

 「セシリア姫
  もしや、おみ足を
  痛めましたか?」
 
 私の歩く速度が、自分達騎士の通常歩行に近い速度だった為、そう思ったらしい。

 「いいえ、多少キツイですが
  足は大丈夫です

  すみませんが、左右の石柱を
  調べていただけませんか?

  青い魔石と赤い魔石が

  嵌っている柱がこの辺りに
  存在するはずなんです」

 私の言葉に、前を歩いていた騎士が残り、残り5人が左右の石柱へと走る。
 護衛騎士として残った騎士が、私に問いかけて来る。

 「セシリア姫
  石柱に嵌る魔石が
  どうかしたのですか?」

 その質問に、私はあっさりと答える。

 「はい、この誓約の神殿は
  控え室や神官達の居室から

  外へと通じる隠し通路が
  幾つも存在するのです

  それは、緊急時用に
  作られたモノです

  そこから、神官達や
  神官戦士達が、私達より
  先に外に出られます

  このままでは、外に先回り
  されてしまいますので

  対緊急時用の防護対策で
  勝手に、居室や控え室から

  外へと通じる、隠し通路を
  使えなくする為の仕組みが

  組み込まれている、魔石が
  あるはずなんです

  確か、赤い魔石が封鎖
  青い魔石が封鎖解除です」

 なんで、セシリア姫がそんなコトを知っているのか?という疑問はあれど、護衛を騎士達は、無事に逃がすコトだけを考える。
 そんな中、セシリアの背後を守っていた騎士が、声を上げる。

 「赤い魔石ありました」

 同時に、左手側前を守っていた騎士も、反対側の石柱の前で声を上げる。

 「こちらには
  青い魔石が有ります」

 セシリアは、ホッとした表情になり、赤い魔石が嵌っていると言われた方に、迷わず進む。
 なまじ誓約の神殿はやたらとデカイので、左右の石柱までかなりの距離があったりする。

 なんとか石柱へとたどりつき、セシリアは赤い魔石を見付けた騎士に聞く。

 「どこかしら?」

 「こちらです、セシリア姫
  お腹辺りの高さに魔石は
  嵌ってます」

 そう言って騎士が触るが、何の変化も無い。
 私は、その赤い魔石にソッと手のひらを当てて、火属性の魔力を注ぎ込む。
 スゥーと魔力が吸い込まれ途端、あちらこちらで、ゴトッガタッという音が響く。

 「良かったぁ
  上手くいったわ

  この赤い魔石が
  封鎖するのは
  隠し通路だけなのよ

  まぁ、隠し通路が
  封鎖されても
  悪いことをしていなければ
  そのままでも良いでしょう

  封鎖を解除したければ
  私が今したように

  あちら側の青い魔石に
  水属性の魔力を注げは
  解除されますわ」










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

処理中です...