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034★12公侯家面々side14
しおりを挟むそして、我ら12公侯家の当主達は思う。
我らに姫を降ろせば、確実に自分の孫が、次の生贄の姫となる娘を産む。
そのコトを嫌った、あの偽王妃(本来は空位なので、12公侯家にとってどこまでも側室でしかない)が、国王に強請ったのだろうことは容易にわかった。
本当に愚かな国王だ。
何故、側室になぞ、王家の1番大事な秘事をしゃべったのだ。
話してはならないというのに‥‥‥。
否、我が妹を王妃としていたのに、何故、妹が逝った後に、代々の国王に習って、王妃の座を空座にしなかったのだ。
いや、新たに我ら12公侯家から姫を娶り、正妃にしなかった。
力が足りない時、国王は我ら12公侯家から姫を娶り、新たな正妃をたてねばならないというのに‥‥‥。
過去には、3人の正妃を娶ったという国王も居るのに‥‥‥。
第1王子と仮婚約の誓約を結ばせた、セシリア姫が既に居たのだから、空座のまま維持するべきモノを‥‥‥。
今にして思えば、たった5歳の幼子(おさなご)なのに、この国の守護たる《結界》を軽々と維持していたのだ。
その膨大な魔力に、何故我らは思い至らなかったのだ。
そして、その頃から、セシリア姫は、擬態し始めていたようだな。
国王とあのゴミグス夫妻を、我ら12公侯家の人間達を全て欺(あざむ)き、建国の折よりの誓約を破棄する機会を狙っていたのだな。
母であるアリシア姫を、穢す計画を立てた国王と、実行したゴミクズ男に復讐する為に‥‥‥。
その計画を立てて、セシリア姫に指示したのは、アーダベルトだったのだろうなぁ~‥‥‥。
今にして思えば、あのゴミクズ男と近衛騎士団内では、同等の地位にいただけの男だったのに‥‥‥。
ある時を境にして、アーダベルトはほんの僅かの期間で、近衛騎士団の団長にまで駆け上がっていた。
その上で、ゴミクズ男と国王を謀(たばか)り、アリシア姫とセシリア姫を守っていたのだな。
もしかしたら、一緒にセシリア姫を犯したとされる男達を殺せば、次の男達が、国王より送り込まれる可能性を考慮していたのかも知れない‥‥‥いや、あの国王とあのゴミクズ男ならやるだろう。
とことんまで追い込み、アリシア姫を辱(はずかし)め、屈辱と怒りと悲しみと苦しみの中で死ぬように、そして、ラグーナ公爵家を手にいれて、その権力と財力を自由にする為に‥‥‥。
そうだ、全てがおかしいと思っていたのだ。
我ら12公侯家以外に、アリシア姫があのゴミクズ男達に穢されたという噂が、カケラも貴族達に流れていなかったコトに‥‥‥何故とどうして思えなかった。
アーダベルト、お前は、セシリア姫の身体を使って、アリシア姫の噂が、貴族達の間に流れないように、意識阻害の魔術を掛けていたんだな。
それと、セシリア姫が暗殺されないように、守護の魔術も‥‥‥。
幼少期から1度も、セシリア姫の為に医術者が呼ばれたコトは無いのだから‥‥‥。
それなのに、痩せぎすではあるが、健康で何の障害も無く育っていたのだから‥‥‥。
きっと、アーダベルトは、他にも色々と動いて、魔術を掛けていたのだろうな。
だから、お前は、アリシア姫とほぼ同時に逝ったのだな。
残りの寿命を、全て魔力に変えて使ったのだろう。
セシリア姫は、お前の真実の娘だったのだな。
じゃなくて‥‥‥。
何故国王は、あのたかだか伯爵令嬢でしかない、建国からの誓約を負わない、あの側室に王妃座を与えたのだ。
皆、そう言っていた。
(いや、妹が逝った時には
第1王子の婚約者として
既に、セシリア姫が
選ばれていたから
空座を埋める為に、
新たな王妃を
我ら12公侯家から
娶る必要が無いと
建国からの誓約を軽んじ
勝手に、自分の都合の良い
判断をしたのだろうな)
どこまでも、身勝手な判断をしてくれると憤る。
生贄の姫と真実愛し合った国王は、子供を生ませるコトを嫌がる。
愛する姫の寿命を削るから‥‥‥。
だが、最愛の姫は、女として愛し合い、愛する国王の子供を生むことをこころの底から願う。
ただし、それは命と引き換えの子だ。
ゆえに、子を残す正妃は、必ず若くして死ぬ。
そして、姫の命と引き換えの結果、王子として生まれれば、まさしく賢王と呼ばれるほどの国王なる。
また、姫で生まれた場合は、我らの元に降り、魔力量の多い姫達を多数もたらしてくれる。
そうやって、王家と我らは、このクリスタリア王国を守る《結界》を、己の身内の悲しみと義務と責任で、あがなってきたというのに‥‥‥。
それを、今代の国王と偽王妃と第1王子は、見事に放棄してくれた。
他の子爵家出身の側室の生んだ姫も王子も、未だに我らとの婚約をしていない。
あの馬鹿な国王は、あの側室にも話しているのだろう。
ならば、我らも誓約に従う義務はもはや無い。
セシリア姫が、建国からの長き誓約を破棄し、我ら12公侯家を解放してくれたからな。
今まで、我ら12公侯家が流した血涙を、嘲笑していた、我ら以外の貴族達と、王家と宮廷魔術師達と神官達に、この国を守る為の守護《結界》を維持してもらうべきだろう。
我らは、その監視をすれば良いだけのこと。
幸い、王家には王子も姫も居るしな。
我ら12公侯家と血縁関係に無い貴族達には、今まで対価(のうのうと代々の生贄の犠牲の上に胡坐をかいていた分)として、未払い分をきっちりと納めてもらうとしようか‥‥‥。
(くっくくく‥‥‥やっと‥‥‥
やっと、この辛い血の涙で
愛する姉や妹や娘‥‥‥を
12公侯家の姫達を
クリスタリア王国を守護する
守護《結界》の犠牲に
しなくても良いのだ
もう姫が生まれたと
涙する必要は無くなった
その責は、誓約を破った王家と
私達12公侯家と縁戚以外の
貴族にあるのだからな
国王にたぁ~んと
側室との間に子を
作ってもらおうか‥‥‥
第1王子には
下級貴族の娘を複数
娶ってもらわねばな
姫の相手は誰が良かろうか?
まだ王家には
あの偽男爵令嬢以外にも
王子も姫も居るしな‥‥‥)
などと、これから先のコトを考える私から、少し離れたところでは、バルト公爵達が動き出していた。
どうやら私と同じように、侍従に色々と命令しているようだな。
だが、こんなゴタゴタは、既に自由になったセシリア姫に知らせる必要はない。
我ら12公侯家を誓約から解放してくれたのだから、これから先は我らがこの国の面倒を見よう。
我らが血統の姫達が維持した国だからな。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
12公侯家面々sideは、ここでほぼ終わりです。
たぶんかなぁ~り、先にちょこっと出るかな?程度になります。
次からは新しい展開にする予定です。
人物紹介が欲しいという要望がありましたので、どこかに入れたいと思います。
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