〔仮〕悪役令嬢は婚約破棄で自由を謳歌する

０１７★１２公侯家面々ｓｉｄｅ３

　（たしか、ボローウズ伯爵家は
　　王家派だからな
　　また、現ボローウズ伯爵は
　　宮廷魔術師長だ‥‥‥が

　　いかに、多彩な魔術の才能や
　　魔力を持とうと

　　言って良い言葉と
　　悪い言葉があることを

　　あの坊主には、身を持って
　　思い知らせくれるわ）

　そう内心でこころに決める私達の前で、セシリア姫は毅然とした態度で、傲岸に言い放って居た。

　「黙りなさいっ‥‥たかだか
　　伯爵家の三男坊風情が‥‥‥

　　ラグーナ公爵家本家直系の
　　公爵令嬢たる、このセシリア・
　　ファウス・ラグーナに

　　対等な口が利けるとでも
　　思っているの？

　　思い上がりも甚だしいコト
　　所詮は伯爵家の三男ね

　　無教養もいいところだわ」

　セシリア姫の言葉に、伯爵家の３男坊風情がと言われて当然だ思う私達とは違い、血筋で大きく義姉に劣るというのに、アンリと名付けられた、履き違え者が憤りのままに言い放つ。

　「貴様こそ発言を弁えろっ
　　魔力無し風情が‥‥‥

　　ラグーナ公爵家が長男
　　アンリ・ツゥバイ・ラグーナが
　　ラグーナ公爵家の次期継承者として
　　ここに宣言する

　　セシリア・ファウス・ラグーナを
　　公爵令嬢の身分を剥奪し
　　ラグーナ公爵家から追放する」

　その宣言を聞いた瞬間、私達は怒り狂ったが、セシリア姫は鼻でその地位剥奪、追放宣言を嗤って、第１王子に言い放つ。

　「あらあら、聞きましてヒューズ殿下
　　わたくしの言ったコトを踏まえた
　　見事な宣言ですわ
　　お花畑な殿下とは大違いですわね」

　と、まっとうな形式も何も無い、無意味な破棄宣言を嘲笑う。

　（ほぉ～‥‥‥そうくるか
　　セシリア姫はなんぞ
　　目論見があるようだな

　　しかし、そのまま好きに
　　義弟に言わせておくのか？）

　そう思う私達の前で、セシリア姫は義弟のアンリ・ツゥバイ・ラグーナを見据えて、傲岸に言い放った。

　「直系でもない愚弟風情が
　　黙りなさい

　　お前風情が４公爵筆頭の
　　ラグーナ本家を継げると
　　本気で思っているとは‥‥‥

　　たかだか、分家からの本家に
　　入り婿した男が後妻に娶った
　　下賤女から生まれ子が

　　建国からの由緒正しい
　　我が、ラグーナ公爵家の
　　当主になれると思うなど

　　思い上がるのも甚だしいわね

　　ソレぐらいなら、分家筆頭の
　　当主を据えた方が正しいわ

　　だって、筆頭家は１２公侯家から
　　きちんと嫁をもらっているもの

　　それに貴方やお父様とちがって
　　ラグーナ公爵家の義務である
　　近衛騎士団の団長になっているわ

　　誰が、真実の当主に相応しいか
　　一目瞭然だもの

　　未だに騎士の資格すら無い愚弟が
　　何をおごっているのかしらねぇ

　　分家筆頭は、建国から続く
　　由緒正しいラグーナ公爵家の
　　血筋を正しく守っているわ

　　筆頭家でも無い分家の男が
　　血筋も判らない下賤女に産ませた
　　貴方みたいな野良犬とは違うわ

　　‥‥‥と、それはさておき
　　ヒューズ殿下、こんな愚弟ですら
　　身分を履き違えているとは言え
　　真っ当に、形式にのっとった
　　破棄宣言が出来ますのにねぇ‥‥‥」

　と、履き違えた愚弟をこき下ろし、ついでに父親にも資格が無いことをのたまった後、第１王子をおっつめにかかる。

　（本当に、今日のセシリア姫は
　　ラグーナ公爵本家の姫らしい
　　お姿と返答をなさる

　　在りし日の、華やかで猛々しい
　　アリシア姫を見るようだ）