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016★12公侯家面々side2
しおりを挟むドヤ顔で宣言する第1王子に、セシリアの父親と義母を除く、12公侯家の面々は思った。
(やりおったな、馬鹿王子め
これでは、セシリア姫の立場が
無いでは無いか‥‥‥うん?
何時もの癇癪が出ると思ったが
何だ? 何かが何時もと違う)
そう思うセシリアの父親と義母を除く、12公侯家の面々の前で、優雅に扇を開き、さも呆れたという風情で見下すように言う。
「はぁ~‥‥‥流石、赤点王子ね
残念ねぇ‥‥‥ヒューズ殿下
貴方と私との、この婚約は
クリスタリア王国の王と
お父様が決めたコトよ
その程度の中身もない
薄っぺらで軽ぅ~い宣言で
この婚約が破棄されるとでも
お思いなんですの?
ご自分の身分も名も含まない
宣言には、なぁ~んの意味が
おありなのかしらねぇ
そういう宣下をするならば
そぉ~ねぇ~‥‥‥最低でも
『クリスタリア王国の~‥‥‥』
『第1王子として』とか
『継ぐ者として』とか
『王太子として』とか
っていう条文が入らなければ
なぁ~んにも、その宣言には
意味が無いのですわよ
というか、どうしてそんな
はしたない、下賎な女が
わたくしの婚約者の隣りに
張り付いているのかしら?
たしか男爵令嬢よねぇ
たかだが、男爵令嬢ごときが
私の婚約者に擦り寄るなんて
身の程知らずも良いところね
これは、ヒューズ殿下の父君
クリスタリア王国の国王と
私のお父様、ラグーナ公爵家当主
アルバトロス・ロック・ラグーナが
王家と取り交わした約定なのよ」
その誘導が入っている言葉の中に含まれる意味に、私達は唐突に気付いてしまった。
(‥‥‥まさか‥‥‥本当に?
セシリア姫は‥‥‥)
その瞬間、私達はゾクリッとしたモノを感じ、つい無意識に他のセシリアの父親と義母を除く、12公侯家の面々の表情を窺う。
そんな中、第1王子が唸るように声音で、セシリアをさげすむように言い放つ。
「血統だけの魔力無し風情が‥‥‥」
そのセリフを聞いた瞬間、私達ば自分の中の血が沸騰し、煮え繰り返るような激しい憎しみを覚える。
魔力豊かで将来有望な、これから華咲かそうという蕾みの綻び始める娘を、守護の《結界》を維持する為に‥‥‥。
その身の内に内包する魔力を搾り取られ、魔力無しと誹られる中で夭折するのが、判っていて誓約により差し出すしかない我々を前に、搾取する王家を継ぐ立場の者が、ソレを言うか‥‥‥。
怒りで目の前が真っ赤になる我々の前で、無作法にバルト公爵家次男キアラ・バルトが吼える
「ほんとぉーに、こんなヤツが
同じ4公爵家の直系かと思うと
ゾッとする
魔力も無いくせのに
ヒューズ殿下の破棄宣言を軽んじ
学園で殿下に次いで魔力のある
キャルロット嬢を見下すとは
身の程知らずにもほどがあるぞ
伏して謝れっ‥‥魔力無しっ」
私は、思わずバルト公爵へと視線を向けてしまう。
バルド公爵と後継者の長男クリストファーが、恥ずかしさの中に呆れ果てたという表情でいる。
その中で、バルト公爵婦人はアタフタしてるのがなんともいえない笑いを誘う。
(育て方を間違えたようだな
次男とは言え
4公爵家の直系があれでは
廃嫡しかなかろうなぁ‥‥‥)
そう思う私の目の前では、まだ茶番が続いていた。
「いかに、ヒューズ殿下の
婚約者でも言いすぎですよ
ラグーナ公爵令嬢」
(さて、どう反応するか‥‥‥‥
セシリア姫は何時もと違うが‥‥‥)
そんな中、バルド公爵に同情したのか、バルド公爵家次男のキアラの発言を綺麗にスルーする。
ついでに、どうみてもついでの追随のような、ありきたりのな言葉を言うネスドもスルーする。
そんな不遜な態度が気に入らないと、魔力が自慢のボローウズ伯爵家三男ファイ・ボローウズが、言い放つ。
「血筋しかない魔力無し風情が
ヒューズ殿下に楯突くとは
良い度胸だな
殿下に楯突くというコトは
王家に楯突くも同じだぞ
魔力無しのクズが‥‥‥」
その発言を聞いた瞬間、確かに私や妻、いや、あのクズ夫婦を除いた12公侯家は、確かにボローウズ伯爵家をいびってやろうとこころに決めたのだった。
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