召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

086★アラン様の問い１

　ちなみに、討伐に何度も出ている騎士は、貴族の令嬢や貴婦人に絡まれる存在なんだそうです。
　護衛として、四六時中一緒に居る騎士は特に………。
　ついでに、貴族の令嬢達に、羞恥心は無いに等しいそうです。
　まぁ～………それも、当然だと思いますけどね………。

　着替え（基本的に、お姫様が着るドレスは、自分独りで着れるような甘いモノじゃ無いから）も入浴（長い髪は、洗うと水分を吸って重くなりますし、洗うのは大変です。私も腰を超えて長いので洗うのも乾かすのも大変です）も侍女の皆さんがするわけですから………。
　赤ちゃんや幼児に、羞恥心が無いのと一緒ですね。

　その常識に、苦悩しているのが私です。
　いやまぁ～アラン様に悪戯されながらの入浴ですが、身体と長い髪を洗って、乾かしてもらって手入れされてって………やってもらうと、すっごく楽なんですよ。

　アラン様は、夫になる存在なんで、ベッドを一緒にして色々とＲ１８なコトをされているので、色々と世話されてもなんとか耐えられます。
　が、侍女達にされるのは………ちょっと、否、かなり苦痛ですね。

　ドレスの着付け、お化粧、髪を結い上げる等は、お願いしたいけど、それ以外は、独りでするか、アラン様にしてもらいたいって、思っちゃうんですよ。
　いまの所は、アラン様がしてくれるので、精神的にも実際的にも楽ですけど………。

　なんて、色々と考えてグルグルして百面相をしていたそうです。
　アラン様は、私の意識が浮上したとみて声を掛けてくれました。
　
　「では、質問してみましょう」

　私は、アラン様の微妙な言葉に首を傾げます。

　「はい？」


　「近衛騎士団の仕事と
　　皇宮騎士団の仕事の
　　違いは？」

　唐突なアラン様の質問に、きっと私は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていたと思います。
　それでも、ラノベ好きなオタクとして、ファンタジー小説最高って思って、色々と読んでた知識を総動員して答えます。

　「えぇ～とぉ～……

　　近衛騎士団は
　　皇帝陛下を始めとする
　　皇族の警護が主な仕事で

　　それに、要人警護も入る
　　って感じでしょうか？

　　帝都が魔物のスタンピートや
　　戦争で落とされそうになったら

　　比較的安全な辺境部へと
　　避難させる時の誘導や警護を
　　司る騎士団でしょうか？

　　だから、魔物討伐より
　　帝国内の地図を網羅し

　　各地方の騎士団から
　　上がってくる情報を分析し

　　それを元に皇族方や要人達を
　　何処に避難させるかを

　　考える部署でもあるんじゃ
　　ないでしょうか？

　　もしかしたら
　　帝国内の情報を扱うのが
　　専門の部署かも？」

　「正解ですね」

　私の答えに、アラン様は大きく頷いてくれました。
　だから、つい私的な見解も付け加えて答えてしまいます。

　「あと、わざと見目麗しくて
　　弱そうな、見掛け倒しに近い
　　騎士を取り揃えて

　　儀仗用（ぎじょうよう）の
　　騎士に見えるように

　　他国を韜晦（とうかい）
　　しているとか？

　　半数は、獰猛とも言える
　　強い騎士で

　　残りは頭脳派で
　　騎士としての実力は

　　一応基準を満たしている
　　程度なのでは？

　　どちらにしろ
　　皇族の警護の最低人数は

　　１０人前後だから
　　大丈夫って感じですか？」

　私の答えに、アラン様は蕩けるような表情でしみじみと言います。

　「紫音は
　　呆れる程賢いですね」

　アラン様の発言に、周りにいた護衛の騎士達も頷いています。
　もしかして、彼らは、私の身長が低いから、かなり子供だと思っていたりして………。
　でも、そう思ったら、アラン様は、騎士達にロリコン疑惑を持たれているかも知れないですね。
　だからって、陛下に認められて、正式に婚約した私には関係無いですけど………。　

　「そうですか？

　　物語に書いてあったコトを

　　ちょっと変えて言っている
　　だけですけど？」