召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

084★建築様式が違う建物がありますね

　アラン様の腕の中で、私は、フレデリカにお礼を言うのを忘れていたって気が付きました。

　うわぁ～い失敗したわ。
　この場合、後からお礼を言っても変じゃないかな？
　アラン様に聞いてみよう。

　私は、アラン様の腕の中から、話しかけた。
　馬に乗ったままでも、会話可能なように守護魔法が掛かっていたので……こんな状態でも楽に会話できます………流石です…アラン様…。

　私達の周りを護衛している騎士達に、聞こえるかもしれないと思ったので、ファーストネームのランドール様って呼びかけますよ。
　そのぐらいは、私だって気を使います。
　
　「ランドール様に
　　魔法を教えてもらうコトや

　　フレデリカに
　　命令してくれたコトについて
　　お礼言いましたが

　　私、魔法を習うって
　　言ったのに

　　フレデリカに
　　お礼を言ってませんでした

　　帰ってから、お礼を
　　言っても良いですか？」

　そんな私の言葉に、アラン様はさらりと当然のように言う。

　「紫音、フレデリカは
　　私達に仕えている
　　人間なんです

　　気が向いたときに
　　お礼を言っても
　　大丈夫ですよ

　　言わなくても
　　別に問題は
　　ありませんからね

　　どちらにしろ、静香は
　　魔法をフレデリカに
　　習ったら

　　礼を言うでしょうから………」

　アラン様の機嫌の良い声から、本当に大丈夫だってわかり、ほっと息を吐き出しました。
　そんな私に、アラン様が話し掛けてきます。

　「静香、馬を止めますよ」

　宣言通りに、乗っていた馬を道路の端に寄せて止まりました。
　それに連動して騎士達も止まりました。
　なぜ、馬を停めたのかがわからなくて、私は首を傾げます。

　「どうかしたんですか？」

　私の問いかけに、アラン様はにっこりと笑って説明してくれます。
　その姿もカッコイイです、アラン様。

　「ほら、ここから
　　周りの建物に比べると

　　建築様式の違う
　　大きな建物が
　　見えるでしょう」

　アラン様が、そう言って指差す方向に、どっしりとした大きな建物が見えます。
　周りの建物と、明らかに建築様式が違うってわかります。
　中世の砦？　否、規模が違うから、お城って言った方が良いですね。
　塔が、あちらこちらから、にょきにょきって出で居ますよ。

　これは、周りの居住するための建物群とは違い、戦う為の建物ですよね。
　だったら、それは、近衛騎士団でも皇宮騎士団でもない、帝都騎士団の本部の建物でしょう。
　だって、戦う為のモノがちゃんと入っていますから………。

　「はい、見張りようの塔に
　　旗が翻っていますね

　　もしかして、アラン様の
　　帝都騎士団本部の
　　建物ですか？」

　「その通りです」

　「それでは
　　帝都内の高位貴族街と

　　その他の貴族街の
　　境目辺りに１つと

　　高級商業区と
　　商業区に１つ

　　職人街、市場
　　下町部分に１つ

　　帝都を囲む城壁の
　　出入り口に

　　各一つづつっていう
　　感じにあるんですか？

　　たぶん、大きさは
　　色々だと思いますけど？

　 他に、帝都に入る街道を
　　閉鎖できる砦とか城とかが

　　街道の本数分はあるのでは
　　ないでしょうか？

　　この国アルファルーラ帝国の
　　最終防衛ラインを守る
　　最強の騎士団が

　　ランドール様の
　　帝都騎士団なんでしょう？」

　と、ラノベなどのテンプレ知識で、聞いてみる。