召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

051★せっかく、色々と聞けると思ったのに………

  皇帝陛下の暴露にアラン様が、慌てるという姿を見て、私はなんか可愛いって思ってしまいました。
　だから、過去は過去でしかないって感じのコトを言ったんです。

　「紫音、私を信じて
　　くれるんですね」

　アラン様は、浮気を責められるかのような言い方をしてくれました。
　そして、甘くて蕩けるような微笑みを浮かべて、抱き込んでいた私の顔中に口付けをしてくれます。
　アラン様カンベンして下さい。

　皇帝陛下の前でなにをしてくれるんですか？
　これって、羞恥プレイですか？
　地味で影の薄い私に、一国の支配者の前で、いちゃつくなんてコト出来るわけ無いでしょう。

　ここは、さっさとこの話しを終わりにします。
　過去は気にしません…だって…もう…婚約しているし…皇帝陛下に…アラン様が惚気てくれたので、この婚約は破棄なんて出来ないってわかりますから………。

　「だって、子供の頃の
　　話しを怒る意味なんて
　　無いでしょう？」

　「私が愛しいと思ったのは
　　紫音が初めてです

　　紫音が私の初恋です
　　紫音の初恋は？」

　アラン様の閨のお勉強の話しから、フェードアウト出来たって思ったら………。
　なんて告白をしてくれるんです。
　皇帝陛下の目が、かまぼこになっていますよぉぉ～………。
　忘れたくて無視していましたけど………。

　この部屋には、侍従達や騎士達が、かなりの人数で居るんですよぉぉ～………今までの恥ずかしい会話を、彼らにぜぇ～んぶ聞かれているんです。
　アラン様ってば、貴方の過去を不問にしたのに、なに恥ずかしいコトを言って、私を追い込むんですか？

　地味で影の薄い私の初恋なんて、まんがかアニメかラノベのヒーローに決まっています。
　リアル（＝現実、三次元）より、二次元（マンガ、アニメ、小説、ゲーム）のヒーローや攻略者に決まってますよ。
　私の初恋は、某バスケマンガの影の薄い主人公です。

　姉がハマって、コミックスを全巻揃えていたマンガの地味で影が薄くって、体力も成績も一般人だけど、頑張り屋の彼が初恋ですね。
　でも、こんな場所で、そんな話しは出来ません。
　私にだって、女としての見栄があります。

　だから、うそ？に真実を混ぜていいます。

　「私の初恋って………
　　アニメの登場人物じゃ
　　アレだから……あれ？

　　私の初恋って………
　　アラン様……です

　　あぅぅ～っ…なんか
　　滅茶苦茶恥ずかしいです

　　…て言うか…アラン様
　　私に何を言わせるんですか
　　皇帝陛下の前でぇ～……」

　私の告白返しに、アラン様は、どこの乙ゲーの攻略者なんだって突っ込みたくなる程の極上の笑顔（スチルを超えた）をくれました。
　いやぁ～眼福です………ご馳走様でした。

　「そうか、アランと紫音は
　　一目惚れだったのだな

　　それも、初めての恋か………
　　私とアマーリエもそうだった」

　私とアラン様の告白に、ガッツリと皇帝陛下が食いついてくれました。
　このままいったら、この麗しい皇帝陛下の初恋話しを聞けるって、私は期待に胸を躍らせました。
　だって、ここには、マンガもアニメも小説もゲームも無い世界なんです。

　娯楽の少ない…オタクには…生き辛い…世界なんですよ。
　だったら、リアルで楽しみを見つけるしかないでしょう。
　そう思うと、美形の皇帝陛下の初恋話しなんて、たまらないじゃないですか……リアル乙女ゲームですよぉぉ～…。

　なんて、私が内心で盛り上がっているのに………。