召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

049★お兄様？お父様？どっち？

　真っ赤になってジタバタしている私に、アラン様は黒い微笑みを浮かべて言います。

　「可愛い可愛い静香
　　そんなに慌てなくても
　　大丈夫ですよ

　　いざとなったら
　　乙女の泉から溢れるものは
　　私が………してあげますよ」

　「うえぇ～ん…ごめんなさい
　　もう…２度とロリコンとか
　　特殊趣味の人とは言いません

　　だから…もう…弄らないで…
　　アラン様に…触られると…

　　もう…気持ち良くって
　　おかしくなってしまいますぅぅ～

　　皇帝陛下に…ぬ…下着を…
　　ぬ…濡らしたままで
　　会いたくないんです」

　「大丈夫ですよ
　　代えの下着は用意しています

　　だから、イッても良いんです
　　さぁ～イきなさい」

　真っ黒な微笑みを浮かべて、アラン様は酷いことを言います。
　ヤンデレ属性の攻略者もＳ気質の攻略者も、乙女ゲームのＴＶ画面で楽しむモノなんです。
　リアルじゃ経験したくありません。

　なんて泣いていたら、アラン様に深い口付けを受けて、気がついたら、サラッとした肌と新しい下着を身に着けていました。
　
　「下着を代えるときに
　　綺麗に拭いておきましたよ」

　うわぁぁ～ん…また…恥ずかしいコト…されちゃった。
　こうなったら、さっさと寝る（現実逃避）為にも、さくっと皇帝陛下と謁見しましょう。
　なんて、決意したのに、立て抱っこでアラン様に運ばれながら、謁見の間（紅真珠の間）を目指しています。

　ちなみに、アラン様を守るように、イケメンの騎士達が、前後左右を固めています。
　アラン様って本当に、皇弟殿下だったんですねぇ～………。

　扉の前で止まったので、てっきり降ろされると思ったんですが………。
　扉の前に居た騎士様達に、扉を開けてもらい、立て抱っこされたまま室内に入りました。
　私がアラン様の腕から解放されたのは、皇帝陛下の前に行ってからでした。

　Ｓ気質のアラン様は、羞恥プレイがお好きなのかしら？
　なんて思って、私は、こころをおちつかせようとしました。

　それなのに、アラン様は良い笑顔で、私を抱きこんで頬に口付けしてから、皇帝陛下に騎士としての礼（たぶんそうだと思います）を取りました。
　すると、皇帝陛下は、クスクス笑って、アラン様に話しかけます。

　「アラン、父である私に
　　臣下の礼は必要ないと
　　いつも行っているだろう

　　それに
　　お前が立ったままだと
　　見上げるために首が
　　痛くなる

　　お前の花嫁を
　　抱いたままで良い
　　さっさと座れ」

　「ありがとうございます
　　父上」

　２人のやりとりに、私は、首を傾げます。
　兄弟なの？親子なの？わからないわ。
　でも、黙っているほうが良いわね。

　なんて思っていたら、本当にアラン様ってば、私を抱いたままソファーに座ってくれました。

　マジですか？相手は、皇帝陛下なんですよ。
　異世界人の私を、ヒザにのせて座るなんてありえない。

　それなのに、皇帝陛下は、アラン様と私を見て優しい微笑みを浮かべて言います。

　「良かった
　　その様子なら
　　年内に孫を腕に
　　できそうだな」

　「父上
　　異世界よりの花嫁召喚に
　　立ち合うように
　　命令していただいたお陰で

　　私は魂の番である紫音を
　　腕にできました
　　ありがとうございます」

　「良かった
　　あれらと違って
　　お前の魔力量は
　　桁違いに多い

　　それ故に閨ごとを
　　楽しむ相手も
　　いなかったからなぁ～
　　不憫だと思っていてな」