23 / 378
召喚されちゃいました
010★さて、では私も私の姫に声を掛けよう【ランドールside】
しおりを挟むあのバカ皇子達について、私の騎士団員(皇子達を監視する役目を与えた者達)も離れたし、やっかいな貴族達もついて行った。
そして、あの少女は、2人の少女と皇子達の話しの内容に意識が向いている。
あれで行くと、逃げる気まんまんですね。
そうそうに、もう見切りをつけられてしまったというコトでしょう。
まったく、あの属国となって衰退し、今は亡国となった国のようになってしまうのはゴメンですよ。
クスクス………まったく、私の魂の番は、とても冷静沈着で賢い、それでいて、そういうコトを知らない無垢な魂の美しさが………。
じゃなくて、これは逃げられた大変なコトになりますね………いや、逃がしませんけどね。
そう思って、周囲を見回せば、2人の少女を連れた皇子達に着いて行かない者達が、結構残っているじゃないか………釣られなかったか、残念だ。
ちっ、あの少女の周りに神官達と魔法使い達が………やはり、魂の美しさがわかるか………。
だが、私の方が自然に声をかけられる。
とは言え、あの少女は今、前を行く少女と皇子達の話しに夢中だ。
だが、少女と視線さえ合わせられれば………。
ふむ、一応の基礎知識を与える為………と、いうよりは、あの姿が気に入らなかったようだな。
だから、相手は異世界の少女だというのに………。
それを、我々の勝手で攫ってきたという認識が薄いのだな。
あの少女達には、そちらの常識の中で美しいという姿をしているだろうに………。
だが、ふふふふ………あのバカ皇子も、たまには役に立つな。
あの少女も、周囲の者達の髪型を確認したくなったようだな。
これなら、ごく自然なカタチで声を掛けられる。
私は、周囲をそぉーっと伺う少女の横に、すいっとさり気なく並ぶ。
周囲をそっと伺い見ていた少女が、隣りに並んだ私を視認してびっくりした表情をする。
うっ……可愛すぎますよ…その表情……クラクラする。
真っ直ぐな瞳が、私を映している。
それだけで、私の心臓はトキメキにバクバクしていますよ。
まったく、視線だけで私はメロメロですよ。
じゃなくて、この機会に声を掛けねば………。
そして、この少女の名前を知りたい。
私は少女に並んで、落ち着いた声音で声を掛ける。
「姫、私は、帝都騎士団団長の
ランドールと申します
名前を聞いてもよろしいですか?」
その言葉と同時に、私は無詠唱で音を遮る障壁を張る。
そう、遮音壁を張ったのは、少女の名前を他の者に聞かせたくなかったからだ。
もし、不用意に真名を名乗られた時の為だ。
皇子達はそういう気遣いをせずに、あの2人の少女に名乗らせてしまった。
お陰で、側に侍っている貴族達から、警護についている騎士達も、少女達の真名を聞いてしまっている。
まったく、頭痛がするコトしかしない。
皇帝陛下の話しを、本当に真面目に聞いていたのか?まったく。
真名を取られた少女達は、皇子達の関心が薄れたら、貴族達にいいようにされる危険を背負ってしまったではないか(怒)
これも、報告しなくてはな………じゃない、今はこの少女だ。
出来るだけ、親しみやすいようにと思いつつ、少女をみれば、その魂の美しさにクラクラして、ごく自然に微笑みを浮かべて声を掛けられた。
「姫、私は、帝都騎士団団長の
ランドールと申します
名前を聞いてもよろしいですか?」
私が名乗ると、少女は頬をうっすらと染める。
きっと、無視されたコトに傷付いて、寂しかったんでしょうね。
立場上、なかなか声を掛けられなくてすみませんと、心の中で謝りつつも少女の様子を観察する。
と、少女が私の問いに応えてくれる。
「綾瀬 紫音(あやせ しおん)です」
が、しかし敵もさるものですね、明らかに偽名だと判る名前を口にしてくれました。
やっぱり、あのバカ皇子達がやらかしてくれたお陰で、警戒心がバリバリになっているようですね。
これなら、遮音壁は必要なかったですね。
私、信じてませんよ的な雰囲気と、魂の揺らぎが見えましたからね。
嘘…と、いうか…たぶん、本来の名前と似た名前を口にしたんでしょう。
ここは、ちょっとクギをさしておきましょうか?
まったく、可愛いですよ、私の姫は………。
どうやって、名乗らせて上げましょうか?
いやいや、やりすぎはいけませんよね。
ここは、ストレートに言ってあげましょう。
だから、私は爽やかに見える微笑みを浮かべて言う。
「良い名前ですね
周りに人がいなくなったら
本当の名前を教えて欲しいものです
その時は、私も、フルネームを
名乗りましょう
よろしいですね? 姫」
私の言葉に、紫音と名乗った彼女の瞳は、動揺でゆらゆらと揺れる。
いやぁ~……魅力的過ぎて、今すぐにでも抱えて、いじりまわしたいと思いましたよ、本音で………。
びっくり眼の紫音に、私は本能のおもむくまま、濃厚な口付けをしたいと思ってしまいました。
ソレがバレたのでしょうか?紫音は立ち止まってしまいました。
そのままだと、注目を集めてしまいますから………と、自分に言い訳して、私は欲望のままに紫音を抱き上げてしまいました。
ただし、お姫様抱っこしたら、そのまま濃厚な口付けをしてしまいそうだったので、子供を抱くように立て抱きにしましたよ。
いや、残念ですが、そうしないと見境をなくしそうだったので………。
番という概念があり、そういう夫婦や同性のペアを見かけますが、そういう衝動を感じたコトが無かったので、判りませんでしたが、紫音が出現した時に、本能の部分でソレを知りました。
ああ、私の魂の番が、現れた………と。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
5,600
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる