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召喚されちゃいました
007★召喚された少女達【ランドールside】
しおりを挟む召喚によって、突然別の世界へと呼び出されたコトで、3人とも呆然と魔法陣の中にへたり込んでいる。
その中の1人に、私の瞳は惹き付けられるが、私の今の立場上、感情のままに動くコトは出来ないので、そのまま事態を見守るコトにした。
2人の少女は、見たところどうやら互いの知り合いらしい。
その少女とは別に、少し離れた場所で1人へたり込んでいる少女は、まるっきり他人らしいな。
その3人と6人の皇子達がどう動くか、観察しよう。
現皇帝陛下からの言葉もあるからな。
さて、指示されたように、動けるかな?
また、召喚された少女達は、どのような反応をするだろう。
上に立つ者としての知識や矜持は、持ち合わせているのだろうか?
代々召喚によって呼び寄せる少女達の出身地域はほぼ決まっているから、それなりの教育を受けているはずだが………。
と、私が黙って観察していると、黒髪と茶髪の少女達は、呆然としつつも今の自分の状況を理解している言葉を口にする。
が、同じように召喚された、いま1人の少女を振り返るコトはなかった。
そんな中、現皇帝陛下の第1皇子が、黒髪の少女に声を掛けて手を取る。
ソレを見て、私はマズイっと思った。
そう思う内に、第2皇子が茶髪の少女の手を取って立ち上がらせていた。
そのまま、第3皇子が、最後少女の手を取るかと思ったのだが………。
そんなコトはなく、第4皇子も、第5皇子も、第6皇子も、完全に1人の少女を無視して、最初の2人の少女へとかしずいてしまった。
本来なら、第3皇子が手を取るべきであるのに………。
いや、第1皇子は、1人目の少女の手を取ったりせずに、3人に向かって『立ち上がってください』と、言うべきだった。
まったく、あの6人の皇子達は、今まで何を習って来たのか?
花嫁召喚で、1番やってはいけないコトをして、罪悪感のカケラもないようだ。
現皇帝陛下が、末弟の私に行けと言った意味がよくわかる。
いや、召喚された少女達は、私の花嫁候補でもあるのだから、ある意味で幸いなのかも知れない。
なんと言っても、1番魂の美しい少女を無視したのだから………。
まして、1番魔力適性が強く、伸びしろのある少女に、見向きもしなかったからな。
精神的にも、鍛錬していないコトがまる判りだ。
だが、私としては嬉しい限りだ。
さて、無視された少女はどうするのかな?
そう思って見ていれば、1番美しい魂を持つだけあって、異世界に召喚されたというのに、ソレを認識しても、慌てず騒がす、冷静沈着に状況を観察している。
なんて、素晴らしい少女だろう。
今すぐにでも、声を掛けたいところだが、立場上あの6人の皇子達が離れてからしか、私は声を掛けられない。
私の出生は秘密とされ、6人の皇子達は知らないのだから………。
そんなジレンマの中、2人の少女達はそれぞれ自分の手を取った皇子に、媚びを含んだ不平不満を口にする。
3人目の少女を無視して………。
思いやりという言葉が無い。
あれでは、皇妃など無理だな。
そして、皇子達も皇太子にはなれそうもないな(困)
1番やっては、いけないというコトをして、ソレを自覚すらしていない。
過去に、他国で2人の少女を異世界から召喚し、片方だけをちやほやしている間に、もう1人は忽然と消えて………。
他国から入っていた間者の妻となり、後年、召喚した国を属国としたという話しは、花嫁召喚の前に、何度も口が酸っぱくなるほど言い含められていたはずなのに………。
そのいま1人の少女には、軍事的な才能があり、参謀として夫を支えて、召喚して自分をないがしろした国を隷属させたと、教えられたはずだが………見事に、同じコトをやらかしてくれた(怒)
まぁお陰で、私は毅然として、2人の少女と皇子達の話しを聞き、自立しようとしているらしい少女に公然と声を掛けられるのだが………。
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