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召喚されちゃいました
323★勘違いお姫様の御一行様ってもの凄く迷惑です
しおりを挟むフレデリカさんは、私を振り返り説明してくれました。
それを聞いて良かったって思ったわ。
私達と違って転移の魔法陣を使わないで避難するなら、さっさと行動しないと間に合わなくなるもの。
これって、以前に聞いたことのある『津波からの避難は、みんなてんでこ(家族でも別々の場所に居たら全員が集まったりしないで、各自が別々に避難する)』と同じですよね。
これって、下手に合流しようとすると避難が間に合わないから………。
合理的?効率的?な方法ですよね。
なんて、ちょっとパニックを起こしていた私は、周りの異様な雰囲気に気が付きませんでした。
本来なら、私とフレデリカさん達と、護衛の騎士達以外は居ない筈の廊下に別の集団が居たコトに………。
その集団は、着飾った若い女性と侍女達と護衛の騎士達でした。
それに対してフレデリカさんが、かなりイラッとした雰囲気で護衛の騎士達を睨みつけています。
その雰囲気に、やっと私は気が付きました。
侍女達や護衛騎士達に守られた着飾った女性は、たぶん貴族、それも上位貴族の娘か、もしかしたら、側妃達の親族の可能性があると思います。
そうすると、私に因縁を付けるというか、絡みますよね。
モブでチビでブスでデブ……じゃなくってぽっちゃりの私は、確実に嫌味と言うか嫌がらせとか色々とされますよね。
この緊急避難の最中に、そんなめにあいたくないです。
チキンハートというかメンタル豆腐な私は、侍女さん達の影に隠れます。
それでやり過ごして、アラン様との合流場所にさっさと行きたいわ。
なんて思っていたら案の定というか絡まれました。
この辺りを侍女達や騎士様達と歩いている時点で、私の身分を察して欲しいってダメなんでしょうか?
「そこの侍女、こちらの姫君は
アンジェリーナ皇妃殿下の姪で
アレンドラ王国第1王女イレーネ殿下です
どきなさい」
あらま、皇妃(仮)の身内ですかぁ~困りますね。
他国の王族ですって言われても、アルファルーラ帝国ではどんな扱いをするかなんて知りませんし、どう対処したら良いのでしょうか?
それ以前に、ここは、アラン様の宮なのにどうして他国の王族が、堂々と居るんでしょうか?
アラン様が、許可しない限り入れない場所ですよね?
それ以前に、皇帝陛下の皇宮に近いこの場所に、他国の王族が何故居るんでしょうか?
アラン様も、皇帝陛下であるお義父様も、先代皇帝陛下であるお義祖父様も、他国の王族がアルファルーラ帝国を訪問しているなんて言ってませんでしたよ?
いったい、何しに来たんでしょうか?
私が、うにうにと首を傾げて考えていると、フレデリカさんが………。
あっこれ完全に怒っているって理解(わかる)声で話し始めました。
そっと、その表情を見て思ったのは………美人の切れ顔メッチャ怖いでした。
「近衛騎士、いったい何をしているのです
ここは、陛下の弟君であり
帝都騎士団の団長である
ランドール殿下の宮です
そして、私は、陛下の唯一の皇女であり
ランドール殿下の正妃シオン殿下を
案内しているんですよ
何故、ここに、属国の王女を入れたのですか?
どのような権限で?
とにかく邪魔です
直ぐに下がらせなさい
貴方達の処分は追ってさたされるでしょう」
「皇帝陛下の皇妃である………」
切れたフレデリカさんの言葉に、属国の王女の侍女が言い返します。
が、それを途中でぶった切るフレデリカさんは、マジで怒っていますよ。
「黙りなさいっ
属国の者がシオン殿下の邪魔をするなぞ
言語道断です
さっさと退きなさい
近衛騎士達、この宮から
この慮外者達を速やかに追い出しなさい」
近衛騎士達に、フレデリカさんは、属国の王女や侍女の身分をわきまえない態度と言葉に怒り、魔族の襲撃からアラン様の居る場所へと急いで私を連れて避難したいという焦燥でかなりきつく命令しています。
「なんですって、たかが侍女風情が………」
それなのに、まだ言い返す王女にとうとう近衛騎士様が切れましたよ。
「控えろ属国の王女風情が
先々代皇帝陛下の皇女だった
コンクパール伯爵夫人の許しも無く
声を掛けるなぞ、無礼だぞ」
うっわぁ~何か大事になりそう(ガクブル)。
でも、魔族の襲撃中なんだから、さっさと避難したいわ。
予定より遅かったら、アラン様が戦闘放棄して迎えに来そうだもの。
ここは、気合と根性と度胸です。
インベントリから扇を取り出して顔を隠して、出来るだけ冷たく傲岸に、私は言いますよ。
「フレデリカ
属国の王女風情など捨て置きなさい
私はランドール様のもとに行きたいわ」
良し、何とか言い切ったわ。
後は、この迷惑な人達を無視して、転移の魔方陣がある場所に行くだけですね。
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