召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

２８８★アラン様、本音がダダ漏れですよ

　アラン様の言うコトも確かだと思いますが、日本人としての私には、曖昧な部分を残しておきたいんです。
　それと、出る釘は打たれるとかって良くある話しだと思いますしね。

　所詮、日本もこの帝国も男性優位の世界なんですよ。
　生意気な女って思われない様にするコトも、保身として必要なコトだと思います。
　でも、口にするのは無難な答えです。

　「この世界で有効かどうかは、私達が判断します
　　ですから、思いついたコトは全部話して欲しいんですよ
　　私達としてはね」

　アラン様との会話って、ああ言えばこう言うの典型的なやりとりですね。
　どう言ったら、私のお願いを聞いてもらえるのかな？

　「でも、私みたいな………」

　「静香、私みたいなとか、私なんてとか、自分を卑下する言葉は
　　使わないようにして下さい

　　貴女は、私の最愛の番です
　　私は、貴女を守りたい

　　でも、静香が静香自身を傷付ける行為を止めるコトは
　　出来ないんです

　　異世界で貴女に、何があったかは判りません
　　でも、ここには、貴女を傷付けようとする人間はいませんよ

　　私を含めて貴女に愛情を持っている者達のみを
　　貴女の周りに置いてあります

　　静香は、皇帝の唯１人の皇女なんですよ
　　貴女を傷付ける行為をする者から、私達は必ず守ります

　　だから、私なんかというような哀しい言葉は使わないで下さい
　　今度使ったら………くすくす…楽しみですね……私としては」

　アラン様ってば、漆黒の魔王様のオーラが駄々漏れしていますよ（怖）。
　そうですか、私みたいなとか私なんてって言葉は禁止ですか（マジで）。

　失敗したら、確実にお仕置きフルコースに一直線ってコトですね（号泣）。
　ついでに、私の独り言を止めてくれる気が更々無いってコトも、はっきり実感しましたよ。

　私の思い付きをしっかりと有効活用する気が満々なんですね（マジか）。
　何時でも、アラン様達にとって有効なコトを思いつけるとは思いませんが………それで可能性に賭けるってコトでしょか？

　ここは、下手な考え休むに似たりってコトで、聞いてみましょう。

　「アラン様、私には、この帝国に有効なコトを
　　そんなに簡単に思いつくとは思えないんですけど………」

　私の否定的な言葉に、アラン様はイイ笑顔で答えてくれます。

　「ソレを判断するのは、私達に任せて下さい

　　静香は、異世界の常識と法則や知識に従って物事を考えます
　　それとまったく違う、常識と法則と知識を私達は持っています

　　まぁ大半は、お互いにさほど変わりは無いと思いますが………

　　それでも、基本が魔法ありきの世界常識と
　　魔法と言う存在が無い、静香の世界の常識とは
　　かけ離れていると思います

　　また、静香の世界の科学という存在にこころ魅かれます

　　静香も気が付いていると思いますが
　　私達は、アラビア数字と数式を使っています
　　因数分解なども………

　　これらをもたらしたのは、異世界からの花嫁達ですよ
　　グラムもキログラムもセンチもメートルなどの単位もね

　　とてもシンプルで使いやすいですね
　　このように、静香達にとっては当たり前なコトも私達には
　　画期的なコトなんですよ

　　だから、思ったら直ぐに話して下さいね

　　だからと言って私は、静香の知識やその頭脳だけを
　　欲しているなんて思わないで下さいね

　　私は、これ以降何もしなくて良いとも思っているんですよ

　　色々なコトが出来てそれにかかわるというコトは
　　私との時間が減るというコトです

　　また、静香の思い付きを有効活用する為に
　　私の仕事が増えますからね

　　皇太子としての立場では、色々な提案が欲しいと思います

　　が、私としては何もしないで部屋に引き篭もり
　　本を読む、刺繍をする、着物を縫う、料理を作る
　　などしていて欲しいですね

　　他の男に会わせたく無いと思う、こころの狭い嫉妬深い
　　困った性格なので………」