召喚されたのに、スルーされた私

召喚されちゃいました

１６９★大変なコトを聞きました

　思わず小首を傾げて、アラン様を見ていると………。
　アラン様は、私に見せつけるようにして、カットしてあるフルーツを、口に入れています。
　そして、私の顎をクイッと持ち上げてくれました。

　こっこれは、恋愛マンガに良く出る壁ドンに続く技、顎クイッじゃないですかぁ～………美少女なヒロインのみに許される。
　それを、デブス……げふんげふん……いやいや、ぽっちゃりモブな私にするんですかぁ～アラン様ぁ～（赤面）。

　やぁ～めぇ～てぇ～私のＨＰをガンガン削るのは………（涙）。
　これから、お父様の処に行くのに、超が付くほど緊張する相手なのに………皇帝陛下の前で失敗したくないのにぃ～………（号泣）。

　アラン様、わたしが悪ぅございました（大泣）。
　謝ります、もう２度としません、ですから、口移しの求愛給餌は、勘弁して下さい（号泣）。
　私が半べそかいているのに、アラン様はイイ笑顔なままで、私に口付けてくれます。

　口を開きたくなくても、アラン様が怖いから、カットフルーツをいただきましたよぉぉぉ～（号泣）。
　黙って、メロンをもぐもぐしていたら、アラン様がそれはイイ笑顔で言います。

　「静香、私は、貴女が愛おしいんです
　　食事中に食べるコトをおろそかにして

　　体力を落とすなんてコトは
　　絶対にさせたくありません

　　ですから、静香が、食べるコトに
　　意識を向けていないと判断したら
　　何時でも口移しで食事をさせますよ

　　お互いの愛を確かめる求愛給餌ですから
　　私も静香も楽しいと思います

　　では、真面目に、食べて下さいね」

　アラン様が差し出すスプーンも、お肉やサラダ、果物の刺さったフォークも、私は、大きく口を開けて食べました。

　もちろん、アラン様がちぎったパンも、あーんして食べました。
　アラン様が、私に差し出すものは、なんでも口に入れましたよ。
　お陰で味が判りませんでした………さっきまでは、美味しいって感じていたのにぃ（泣）。

　一心に食べたコトが良かったのかアラン様は、紅茶のカップをそのまま差し出してくれました。
　どうやらお許しが出たみたいです。
　私好みの飲みごろの紅茶なので、クイーッと一息に飲み干しましたよ。
　
　「静香、貴女の好きな
　　チョコレートですよ」

　アラン様は、何時もの蕩けるような笑顔でそう言うと、色々な一口チョコレートがのった皿を差し出してくれました。
　どうやら完全にお許しが出たみたいです。

　ほっとした私は、丸いチョコレートを取って、アラン様に差し出します。
　だって、怖かったし恥ずかしかったので、ちよっと仕返しをしても良いよねという気持ちでやりました。

　すると、私の予想とは違って、アラン様は、嬉しそうに笑って口を開けてくれましたよ（ちくせいイケメンめ）。
　だから、私は、そっとアラン様のお口にチョコレートを入れましたよ。

　お互いの愛を確かめる求愛給餌なら、私からもやった方が良いと思ったのと、少しでもアラン様に媚びておこうという打算の合わせ技でした。
　私は、アラン様が、笑っていたので油断してしまいました。

　アラン様は、チョコレートを溶かして、私に濃厚なベロチューをかましてくれましたよぉぉぉ～………（号泣）。
　某サイトのＲ１８の恋愛小説のワンシーンのようでした（恥）。

　デブス……いやいや、ぽっちゃりのモブが、ヒーローとやって良いモノじゃ無いと思うんですよぉ～（大泣）。
　アラン様には、色々とエロいコトをされまくりましたけど、それって恋人関係だったら、普通にあるコトですよね。

　それなのに、今日は、顎クイッに溶けたチョコレートを口移しで食べるなんて、恋愛マンガや恋愛小説のヒロインがヒーローにされる行為じゃないですかぁ～もう私は、完全にオーバーヒートですぅぅ（赤面＆恥）。
　それなのに、アラン様は………。

　「静香、そんなに恥ずかしがって
　　頬を染めるなんて………

　　これは、一般的な
　　求愛給餌のひとつですよ

　　婚約式と婚約披露の
　　パーティーの時には
　　かならずする行為ですよ

　　早く慣れて下さいね

　　それと、静香からも
　　私にこれをして下さい

　　婚約式の練習です」
　
　何故かうっすらと漆黒のオーラを纏ったアラン様が、とぉ～ってもイイ笑顔で説明して下さいました。
　思わず私は、何時も部屋に控えている侍女のフレデリカさん達を見回しました。

　特に、フレデリカさんを見詰めるとにこにこ笑って、力強く頷いてくれましたよ（涙）。
　もちろん、他の侍女さん達も同じでした。

　他に、アラン様の侍従さん達も居たのですが………反応は同じでした（号泣）。
　マジですか？
　これって、所変われば品変わる？の一種なんでしょうか？

　でも、コレを人前でやるのぉ？………本当に、本当に？
　そうは思うけど、みんなの反応見ると………やっぱり、どうどうと求愛給餌するようですね（涙）。

　ここは、郷に入ったら郷に従うしかないのでしょうか？
　恋人どころかボーイフレンドすらいない私ですが、結婚式には夢がありました。
　結婚式にですよ。

　結婚には、さっぱりくっきり憧れていません。
　だって、私は、２次元の男しか興味の無いオタクなので………。

　あのまま日本で生活していたら、オタク友達と一緒に、喪女？干物女？負け犬？になっていたはずです。

　異世界召喚されて、アラン様に出会ったからある苦悩だと理解（わか）っているんですが………。
　それでも、日本に居た頃のコトを考えてしまいます。

　そう乙女心としては、女の子の憧れのウェディングドレスを着る為に、教会で結婚式を挙げたいと思っていたんです（ぽっ）。

　もちろん、妄想ですよ。
　ウェデングドレスも結婚式場もハネムーン先も、ネットでいくらでも見れますから………。

　予算を決めて結婚式の内容をチェックして遊んだりしていましたね。
　そんなコトをし始めた原因は、知り合いになった同人サークルのお姉さま達に………。

　『貴女達の夢の結婚式とハネムーンを
　　ネットで調べて教えて欲しいの

　　夏コミの新刊の参考にしたいから
　　それとアンケートもよろしくね』

　　って頼まれたコトなんですけど………。

　オタク友達と盛り上がって調べたし、会話も面白かったわ。
　低予算、普通予算、ガッツリ予算で調べると楽しいって思ったもの。

　でも、牧師様または神父様とみんなの前で誓いの口付けをするのは、恥ずかしいから、誓いの言葉だけで済む神前結婚の白無垢の花嫁衣装にしようかな？って思っていました。

　もちろん、神前結婚や仏前結婚も調べましたよ。
　そんなチキンな私には、人前で濃厚なベロチューしながら、口移しで何かを食べさせ合うなんてキツイですぅぅ～どんな無理ゲーよぉ～（号泣）。
　だから、私は、思い切ってアラン様に言います。

　「アラン様、沢山の人の前で
　　求愛給餌をするのは

　　とぉ～っても恥ずかしいので
　　その部分をカット出来ませんか？」

　私の発言にアラン様は、微かに見える程度だった漆黒のオーラをくっきりと見える濃さに変えてしまいました。
　うっ怖い……逆らった認定されて、一気にお仕置きに移行するのかしら？　
　でも、ダメもとでも良いから試してみないと………なんて思ったのは失敗だった？
　なんて思っていたら、アラン様にまた濃厚なベロチューをされちゃいました。
　その後に、アラン様は、にっこり笑って言いました。

　「異世界召喚された花嫁は
　　全員がこの儀式を

　　『恥ずかしいから嫌だ』

　　と、言ったと本に書いてありました

　　でも、実際には、全員が
　　この儀式を行いました」

　マジ？こんな恥ずかしいコトを、本当に人前でしたんですか？
　パスしちゃダメな儀式なんですか？
　キラキラ皇子様達にお持ち帰りされた美少女の彼女達なら、絵になるから良いでしょうけど………。

　デブスいやいやぽっちゃりでモブな私が、超絶美形で皇太子のアラン様と結婚するコトだって、かなり無理があると思っているのに。
　主に視覚の暴力というか、お笑いになっていると思うんですよ。

　私とアラン様のツーショットって………それなのに、求愛給餌をするんですか？
　絶対に、やりたくないです。

　アラン様の宮の中なら、ホームなので平気ですけど………。
　それ以外の場所って、アゥエィというか敵地な感じなので嫌です。
　でも、はっきりと言えない私は小心者です。

　「えっ？　かならずするモノなんですか？」

　「ええ、かならずします
　　でもね、花嫁からの求愛給餌を
　　省いても良いんですよ

　　異世界からの花嫁は
　　習慣が違いますからね

　　だから、静香は、何時ものように
　　瞳を閉じて、私の口付けと
　　求愛給餌を受け入れれば良いんですよ

　　こうやって………ねっ簡単でしょう？」

　アラン様ってば、にっこり笑って濃厚なベロチューと求愛給餌を、これでもかって繰り返してくれましたね（号泣）。
　ベロチューから感じる快感で大半の意識が飛んでしまい、恥ずかしいと感じる意識が働きませんでしたよ（茫然自失）。

　確かに、この状態なら羞恥心は湧きませんね。
　でも、儀式が終わった後にドバーッと恥ずかしさが湧いてくるのは確実ですね。
　ここはもう、人生あきらめが肝心だと思って………涙をのみます。
　こうやって、説得されたんですね。
　私達以前に異世界召喚された花嫁達も………。

　うふふ所詮は、皇子様ですね。
　アラン様は、次期皇太子だけあって、立派な俺様なんですよ。
　でも、私も我がままを言っているから、おあいこだと思うコトにします。

　それに、このまま逆らっていたら、どんな説得をアラン様にされるかわかりませんもの。

　「だったらアラン様
　　羞恥心が働かないくらいの
　　濃厚な口付けをお願いします

　　でも、気絶しないくらいに………」

　清水の舞台から飛び降りるイメージで、私は自爆しました。