異世界召喚に巻き込まれました

081★同郷の彼女達と、水晶越しに情報交換？８

　言いよどむ私に、彼女は丁寧に説明してくれた。

　「実際に、婚約したのは、ローレル伯爵、シーゼア伯爵、ミシュア伯爵よ」

　えっとぉ～？　神官様や神官戦士様の名前が無いわ？
　伯爵様達だけ？　どうして？　いいや、直接聞いちゃえ。　

　「あれ？　神官様達や神官戦士様達は？」

　「還俗してしないから、婚約も出来ないわね」

　あっ…そう…この世界の神官様達は、還俗が必要なんだ。
　じゃなくて………。

　「還俗って、どのくらい時間がかかるの？」

　「１年ぐらいかかるって聞いたわ」

　へぇ～…１年かかるんだぁ………。

　「マジですか？」

　「神官として働いている仕事の引継ぎが必要になるからね」

　「確かに」

　「それと、神官として受けたレーグラー……制約の解除をしなきゃいけないの」

　「ああラノベのテンプレ……レーグラーね」

　レーグラーかぁ………こっちって意外と、テンプレ多いのかな？
　いや、魔力とかある世界だから、そういうのも有りかな？

　「それから、契約していた主神との契約解除。契約の女神との制約も解除しなければいけないわ」

　「ふむ、けっこう面倒だな」

　今まで黙って彼女の説明を聞いていたアルス君の呟きに、私もコクコクしてしまう。

　「神官戦士も手続きの方法は一緒なのよ」

　「え～とぉ……還俗する為の期間、聖女の側には居れないの？」

　「うふふ、一緒に居れるけど、神官としての力を使えないから、戦力としての意味が無いの」

　「うっわぁ～…それって、残念」

　そっか、レーグラーを外すと戦力外になっちゃうんだ。
　その点では、ハルト君やジーク君、アルス君にダリューン君は、そういうの無いから戦力外とかも無いもんね。
　だから、私は数を増やす必要ない………ほっとするわ。

　「そうなのよ。でも、結婚するというか、婚約するなら還俗するしか無いのよ」

　「魔王討伐の後で還俗するっていうのは………」

　「結婚式が出来なくなっちゃうのよ。還俗ができないと………」

　「もしかして、正式な婚姻ってみとめられなくなっちゃうの？」

　「そうなの…貴族の結婚って面倒なのよねぇ………はぁ～………」

　黙って聞いていると、かなり面倒が多いことがわかるわぁ………。
　ある意味、力が強くて、ハルト君達と一緒で良かったかも………。
　お風呂とかで、貧弱な身体を彼女達と比べられなくてすむもん。
　じゃなくて、他に選択肢は無かったのかな？

　「だったら、神官様達じゃない人を選ぶっていうのは？」

　「アリア、魔力格差のコトを忘れてるでしょう？」

　「……？　…えっとぉ～…格差って？」

　それって何ですか？　格差？　魔力格差って？
　確かに、私の魔力って勇者達側………って、ソレのこと？

　困惑顔になったのがわかったらしく、彼女は苦笑いを浮かべて言う。

　「あのね、魔法使い様より神官様の方が、魔力があるの。それと、聖女の世話をする神官様達や神官戦士様達って、みぃ～んな夫候補なのよ。元からね」

　「えっぇぇぇぇ～………」

　まだまだ、異世界召喚に巻き込まれたとは理解していても、どこか他人事というか、現実味が薄い感覚の残っている私には、そのセリフ自体がとても衝撃で、次の言葉が出ない。
　そんな中、既にこちらの世界に適応し始めている彼女達は、確実に自分に有利なモノを選択している。
　そして、改めて私が、勇者選定されたハルト君達と居る意味を教えてくれた。