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060★なんか、壁がどんどん削られている気がします

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 あまりの恥ずかしさに固まっているのを良いコトに、そのまま浴室へと運ばれました。

 浴室内に入ると、ジーク君にお姫様抱っこされたままの私に、みんながお湯を優しくかけてくれます。
 それも、魔法で………。

 何時の間に、そんな器用なまねを覚えたんですか?
 私が目を見開いて、口をぱくぱくしていると………。
 アルス君が説明してくれました。
 
 「ここの浴室には、シャワーが無いだろう?」

 そう言えば、シャワーが無いから、私は髪を洗うのを諦めたんです。
 浴槽からお湯を汲んでは髪を洗ってすすぐという作業を、疲れた身体でする根性が無かったから、私は今日は髪を洗わないって決めたんです。

 そうですね、思いつきませんでした。
 シャワーが無いなら、シャワー代わりの魔法を使えば良いんですよね。
 そんなコトさえ思いつかなかった私は、ダメな女です。

 身繕いに魔法を思いつかない私の女子力は、かなり低いですね………ガックリ。
 うなだれている私を抱いたまま、ハルト君は浴槽に入りました。
 全身を暖かなお湯で包まれた私は、ほぅーつと息を吐き出しました。

 「はぁ~あったかい……生き返るわぁ~」

 「「「「アリアのご機嫌が直って良かった」」」」

 「…えっ?」

 「オレ達のプロポーズのセイで、眉間にしわがよったままだった」

 「……う…そ…」

 「本当だよ」

 「今は、お風呂に入ったお陰で消えているけどね」

 「どう僕達と一緒にお風呂に入るのは?」

 「そんなに、イヤじゃ無いだろう?」

 「あっ…うん…でも、恥ずかしいの」

 「うん、アリアが恥ずかしがっているのはわかるよ。でも、慣れてね」

 「えっとぉ~………」

 「これから、ボク等と一緒に行動するコトに慣れてもらうからね」

 「…え?」

 「僕達が、魔王討伐の旅に出るとわかっている?」

 「うん」

 「旅の間に、宿に泊まってお風呂に入るとき、アリアはオレ達の誰かと一緒に入るんだよ。攫われる危険があるから……相手は…人間や人間以外だけどね」

 「あっ……」

 うわぁ~……すっかり忘れていたわ。
 そうだよね、ここって………嗚呼、危険がいっぱいだわ。
 もう、ここはみんなに守ってもらわないと、貞操の危機に生命の危機もあるんだよね。
 聖女の力があるって言っても、所詮は平和で温い日本から来た私は、危機管理が弱いみたいです。

 「そうだよ。今日から、一緒に寝ようね。最初は緊張で眠れないかもしれないけど、慣れるしかないからね」

 「………」

 「当分の間、おトイレは、結界を張って、ドアの外で待っていてあげるけどね」

 「………」

 「旅行中に、宿以外の場所でする時を考えると、危険だから………慣れようね」 
  
 「………」
 
 「ハルト、アリアを膝から降ろして、斑に温まるのは不味いから」

 「ああそうだな。アリア、眼を開けてさっき食堂で、ミルクをもらって来たから、お湯に入れておいたんだ」

 「匂いは、風魔法で飛ばしてあるよ」

 目を開けると確かに、お湯は白く染まっていた。
 その為、お互いの裸を見なくてすみました。
 いえ、見られなくてほっとしました。








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