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055★自棄で結婚を口にしたら、エライことになりました5

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 私の質問に、ハルト君は、黒い微笑みを浮かべたままで淡々と答えてくれる。
 
 「夫の数プラス1人か2人って…というのが、変な言葉だけど…相場らしいよ」

 ハルト君も切れているらしい………。
 そうだよね、シスコンでオカンなほど妹達を愛しているんだもん。
 こっちの理不尽な常識に、イラッとこないはず無いよね。
 なんて思いながら、自分の為に情報収集を………と思って再度質問する。

 「それで、いくと5人から7人の子供を生むってコト? それって、出産回数が多いよね。すっごく大変だと思うんだけど」

 私の質問に、ハルト君は予想外の答えをくれた。

 「この国は、双子の生まれる確立が30%~40%みたいなんだ」

 それって、3回の出産のウチ、確実に1回は双子ってコトですね。
 確か、ヨーロッパ系では、日本人より双子の生まれる率が15%くらいだったから、それを遥かに越えているわね。
 人口維持の為に、種族的にそうなったってコトかしら?
 なんて、私が考えていると、ジーク君が捕捉説明をしてくれる。

 「だから、出産3~4回で、5人って感じらしいんだ。だから、女の子を産むまで、夫を変え続けるんだって……」

 うん…なるほどね…運が左右しても、その回数よね。
 でも、出産回数が少なくても、沢山産むってコトに変わりは無いわね。
 私がそんなコトを思っていたら、アルス君が、真っ暗なコトを口にしてくれた。

 「それで人口が増えても、男だろ。女性を手に出来なかったら、次代を残すことも無く終わるってコトも多いって………」

 その言葉に、考えたく無いコトを考えさせられた。
 赤い国を超えてるこの国で、女の私は、ハルト君もジーク君もアルス君もダリューン君も出来れば全員確保するべきなんだって………。
 でも、口から出たのは、ありきたりな言葉。

 「…うっ……この国って……」

 ジタバタしている私に、ダリューン君が、優しいイケメン王子様の笑顔に黒いオーラをまとって言う。

 「だから、女性は多数の夫と結婚するんだよ」

 なんか、私はの頭の中には、赤ずきんちゃんがオオカミに『お前を食べるためさ』って言っているシーンが浮かんでしまった。
 それを瞬きで追い払って、ダリューン君に言い返す。

 「えっぇぇぇ~………でも、子供目当ての結婚なんて………。10年ぐらい結婚して出産してから、別の夫達ともう10年でいっぱいなんじゃないの?」

 私の質問に、王子様の顔をポイッと捨てて、鬼畜っぽい笑顔で答える。

 「ここの一般市民の寿命って、だいたい200年あるらしいよ。それと、10年で5人は産めないって、20年から30年で夫を変えるんだってさ」

 マジですか? それって、子供を産める時間が増えるってコトですよね。
 人生の半分……いやいや……日本人で大体普通なら50才前後までアレはある。
 人生80年で………それだから、120年は確実にアレがあるはず。

 日本なら、上がったあとでも、ホルモン投与して受精卵を入れるなら、60代の出産は確実に出来る。
 確か事例もあったわ。

 それで換算すると、女性ホルモンと治癒魔法を併用するなら、150年前後は出産できることに………。
 旦那を変えて、女の子を出産する為に頑張るなら、最大で5回ぐらい売り買いされる可能性があるわね。

 冗談じゃ無いわ…絶対にイヤ……おちつけ私…私は聖女よ。
 そう聖女よ、そして、4人は勇者よ。
 大丈夫、私は、売られたりしないわ。
 暗くなっちゃダメ………ここは、違う話題をふることにすれば良いわ。

 「それなら、人口減少は無いんじゃないの?」

 私の質問に、黒いままのアルス君が笑って答えてくれる。

 「アリア、ここって、通常時でも、魔物に襲われて死ぬんだよ。風邪が流行っても死ぬ世界だよ。日本みたいに全員が保険に入って、定期健診受けて病院に行けるわけじゃない。出産で死ぬ、産褥で死ぬって普通に有りだよ。それに怪我と病気と栄養失調って………」

 うっ…聞きたくない……ここって、医療制度も病院もろくに無いってコト……。
 本当に異世界に召喚されたのね。
 ここでは、運が無ければ死んでしまう世界………。







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