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052★自棄で結婚を口にしたら、エライことになりました2
しおりを挟むそして、ダリューン君に手を握られたままの私の手を、こんどは、ハルト君がひょいっと取り返して、私に話しかけてきた。
「アリア…馬車の中で、約束しただろう。君を守るって、だから結婚しような」
「…………」
ハルト君と私は、そんな約束していませんよね?
何か、無理やり私に対する権利? を主張していませんか?
シスコンを、完璧にこじらせていますね。
私は妹に見えますか?
でも、拒否するのも………嗚呼…もったいない。
だから、今度も黙ってしまう………はい、小心者なんです。
だって、2人に、返事を返していないのに、ハルト君に返せません。
ここは、平等に、無かったことにします。
それなのに、ジーク君も私の手を取って言いました。
「君をずうーっと愛していたい。うれしいなぁアリアから、申し込まれるなんて、生涯幸せに暮らそうね。結婚しようね」
「…………」
何か悪いものでも食べたんでしょうか?
気配りの出来る優しい王子様のジーク君が、私に無理難題を言ってきます。
私は、乙女ゲームをやらないので、実際に見たコトはありませんが………。
そう、これでは、まるで、乙女ゲームのスチルのようなシーンです。
王子様って呼ばれるイケメンに、プロポーズされるなんて………。
あまりにも、ステキな事態なので、私には、現実味がありません。
まるで、乙女ゲームをプレイして、イケメンを攻略成功したPC画面を見ているような気分です。
だから、私は、フリーズしたままです。
4人共に、私にプロポーズしています。
でも、4人となんて結婚できませんよ。
重婚は罪ですから………そう思って、一応言ってみる。
「私は、ひとりなんだけど」
「ボクは、4人でも足りないと思うけど?」
「…? ……? …えっ?」
「アリア、この国の男女比率忘れたの?」
「そう言えば、女性1人対男性5人とかって………」
「それって、女性が生まれて、ちゃんと育っている貴族階級の話しだよ」
「えっ?」
「市民や農民とかの貧しい階級だと、そんなモンじゃすまないって……」
「だって、生まれるでしょう?」
「思考放棄しないの……ダメだよ…アリア…現実は、しっかり認めようね」
「もしかして、もっと、女性は少ないの?」
「俺達を召喚する程の状況だよ。王都以外は、もっと女性が減っていると思って間違いないよ」
「だから、男装しても、城下街に行くのはダメだったんだろうと思うよ」
「じゃあ、聖女って、どうやって、魔物討伐の旅に出てたの?」
「がっちりと軍隊に守られていたか? 少数精鋭の夫集団を連れていたか? って状態で旅していたと思うよ」
「警備が薄いと、まず攫われると思って間違い無いね」
「宿に泊まる時だって、夫達と一緒に眠るっていうのが前提だと思うしね」
「…えっ? …はぁ~? ……」
「俺達の生まれ育った日本の常識で考えるのは、やめておいた方が良いよ。ここでは、多数の夫に守られて生活する以外の選択肢は無いから………」
「だって、女性がいないって、切実だよ。少子高齢化なんて、以前に、子供が生まれる可能性が無いんだからね」
「あっあぁぁぁ~………」
「やっと気が回ったね、アリア。ここの男は、僕達の世界なんか問題外って感じで、婚活するんだよ。その中には、女性を攫うとか、買うっていう選択肢もあるほどね」
「もしかして、赤い国を超える?」
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