34 / 140
034★一夫多妻か、一婦一夫か、一妻多夫と婚姻形態は多様なようです
しおりを挟むそれを聞いた瞬間、私は背筋になんとも言えない寒いモノを感じてしまう。
神官様の常識って、なんか怖いんですけどぉぉお………。
それって、ここの女性達が、回教徒やヒンズー教徒等のように、家庭に縛られてこき使われているって証拠なのかなぁ?
って思い、ついつい怖いもの見たさもあって聞いてしまう。
ただし、小心者の私は、それでも遠まわしにしてしまう。
「家事はしないんですか?」
私の質問に、神官様は困ったなぁ~という表情を浮かべる。
「家事は男のするコトですよ」
あっ…なんか、今のすっごく嫌な答えが見えてきた。
ここの文明? 文化? レベルって、中世から近世辺りよね。
それって、水道も無くて水汲みがあったり、洗濯機が無いから洗濯は重労働よね。
ルンバも掃除機も無いから、掃除だって、ほうきとちり取り、雑巾とバケツの世界よね。
食事を作るには、ガスも電調もレンジも無いよね、たぶん。
そしたら、薪(まき)を用意(下手したら拾ってくる)して、火をおこして(火打石を使って)かまどの火を調整して煮炊きをするってレベル?
または、それに準じるよね。
いや、一応魔法はある見たいだけど、全員が使えるわけじゃないみたいだから………。
確かに、そんな時間がかかるコトを、仕事を持っている夫が出来るはずが無いわ。
………ってとコトは、どう考えても一婦一夫制のはずが無い。
だって、家事をする人間と、労働して家計を支える人間が必要だもの。
この場合、家庭を維持する分のお金を稼ぐのを考慮して、夫は3人は必要ね。
それじゃ、一妻多夫ってコトになるじゃないのぉぉ………。
いや、怖くてこれ以上は聞きたくないわ。
なんて想像した私は、思わず美少女達に視線を向ける。
すると、私と同じように、引きつった顔が見えた。
「「「「………」」」」」
だから、私と美少女達は黙ってしまう。
そんな私達と対照的に、真面目な表情のハルト君が、神官様に質問する。
「この国の結婚の形態は、一婦一夫制度ですよね?」
一妻多夫だって予想がついていても、違って欲しいというむなしい希望を持っている私達を代表したハルト君の質問に、神官様はへろりと答える。
「王族と貴族は、一夫多妻か、一婦一夫か、一妻多夫ですね」
「「「「「「「「…?……?…」」」」」」」」
王族が女性を独り占め?するから、一夫多妻(俗に言うハーレム)よね。
次の一婦一夫って、かなりの領地を持ち使用人もたぁ~っぷり雇える大貴族よね。
長男が1人で、爵位と領地と財産と相続するから、妻は1人が良い。
だって、多妻にすると子供が増えすぎて、相続に問題が出るからね。
でも、使用人を雇える貴族なのに、なぜ一妻多夫なのかな?
その理由、ちょっと想像できないわ。
色々と思考して私達が黙っていると、神官様が説明を続けてくれた。
「貴族や裕福な商人以外は、一妻多夫が多いですね」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
制度と常識の違いに頭を抱えている私達に、追い討ちをかけるように、神官様が丁寧な説明をしてくれる。
「国王陛下及び王太子は、最低でも3人以上の妃を持ちます。確実に王位継承ができるようにです。王族は魔力量が多いので、王太子に選ばれなかった王子は、魔法使いや神官になります。それ以外に、武官になり将軍になる者も、文官になり大臣や宰相になる者もいます。また、有力な貴族の家に婿として入ったりもします。貴族は、一夫多妻が多いですね。まれに一婦一夫という貴族もいます」
あっ…この辺は、ラノベの設定通りなんだ。
長男以外は何ももらえないって、設定なのね。
でも、それって王子様でも一緒なの?
ここは、ちょっと聞いてみようかな………。
私は、一妻多夫の話を聞きたくなくて、別の話題を無意識で振っていたらい。
「あのぉ~…その場合は、臣下に降りて貴族になるんですか?」
私の質問に、微妙にズレた答えを神官様は返してくれた。
「神官のみ、王子の身分のままでいられます」
1
お気に入りに追加
1,210
あなたにおすすめの小説
激レア種族に転生してみた(笑)
小桃
ファンタジー
平凡な女子高生【下御陵 美里】が異世界へ転生する事になった。
せっかく転生するなら勇者?聖女?大賢者?いやいや職種よりも激レア種族を選んでみたいよね!楽しい異世界転生ライフを楽しむぞ〜
【異世界転生 幼女編】
異世界転生を果たしたアリス.フェリシア 。
「えっと…転生先は森!?」
女神のうっかりミスで、家とか家族的な者に囲まれて裕福な生活を送るなんていうテンプレート的な物なんか全く無かった……
生まれたばかり身一つで森に放置……アリスはそんな過酷な状況で転生生活を開始する事になったのだった……アリスは無事に生き残れるのか?
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件
りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。
才能なしのアート 町の落し物は僕のもの?
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアート
生まれたときにもらえる才能をもらえなかった能無し
そんな僕だったけど、孤児院のエマさんに愛されて育てられた
才能を持っていたみんなをエマさんと共に見送って、僕にも旅立ちの日がやってくる
何も持っていない僕を使ってくれるなんてとってもいい人に拾われた
僕を拾ってくれたグランドさんはお店をやっていた
お店の地下に眠っていた【落とし物バッグ】。僕はそれを手に入れてしまう
まさか、こんなすごいものだとは思わなかった
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
地味でブスな私が異世界で聖女になった件
腹ペコ
恋愛
どこからどう見ても、地味女子高校生の東雲悠理は、正真正銘の栗ぼっちである。
突然、三年六組の生徒全員でクラス召喚された挙句、職業がまさかの聖女。
地味でブスな自分が聖女とか……何かの間違いだと思います。
嫌なので、空気になろうと思っている矢先、キラキラ王子様に何故か目をつけられました……
※なろうでも重複掲載します。一応なろうで書いていた連載小説をモチーフとしておりますが、かなり設定が変更されています。ただキャラクターの名前はそのままです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる