煉獄の中の溺愛

ブラックベリィ

文字の大きさ
上 下
20 / 57

0020★~夢の中~優しい時間*side彪煌+瑛煌*

しおりを挟む
 姿勢を正してそう言い出す悠虎ゆうとに、瑛煌えいきが手を振って笑う。

「気にすることないって、なっ彪煌あきら

「ああ」

 瑛煌えいきに話しを振られた彪煌あきらは、幾分おざなりな感じで頷いて紅茶を一口飲んでから言う。

「いや、むしろ謝らないといけないのは俺達生徒会の方だな
 我が学園の生徒達の特待生に対する認識が、まさかあれほどだとは………

 世間一般と違ってきているコトは、一応把握はしていたがな
 自分達の都合の良い妄想と欲望の果てがアレ集団リンチ

 まったく、わざわざ学園がお金を出して・・・・・・・・・・・・・出来の悪い生徒達・・・・・・・・に下げられた偏差値を上げる為に

 優秀な生徒を外部から呼んで、レベルを底上げしているというのにな
 どこをどう考えたら、あんな思考になるんだか妄想もいいところだ

 特待生は、寄付金を積んだ生徒達のオモチャにして良いなんて
 ふざけた解釈して、特待生を下に見て悪戯する馬鹿共がいる

 一部に、はき違えた奴等がいるってコトは把握していたが
 そういう勘違いを正し、周知徹底しなかった俺達生徒会が悪い」

 重い雰囲気でそう言う彪煌あきらに、ちょっと異様なモノを感じつつも、悠虎ゆうとは何も言わずにティーカップに手を付ける。

 そんな中、瑛煌えいきが最優先事項を口にする。

「取り敢えず、勘違い野郎共の認識の改めは横に置いておいて
 今しないとならないコトを片付けよう………ってコトで

 悠虎ゆうと君を狙ったアレは、流石に目に余ると思う
 その底上げ為に入れた、特待生を潰されちゃたまらないよ

 ここは、ちゃんと対処しないとね…悠虎ゆうと君の身体考えたら
 立派な傷害事件だし、停学程度では済ませないよ」

 などと、クッキーを食べながら、何の気ない感じで瑛煌えいきが言う。

「そうだな、確かに、わざわざ呼んだ特待生に対するイジメなど
 ここのところ目に余るモノがありすぎるな

 一般生徒達への認識の是正と、諸悪の根源の排除だな
 教師達の手前……少し考えて……とは思っていたのだがなぁ

 どうするか観察していたが、注意する教師は居なかったしな
 ここは、俺達生徒会が仕切って、正すしかないな」

 言外に、特待生をターゲットにして遊んでいる者達は、多少粛清した方が良いと匂わす彪煌あきらに、瑛煌えいきも心得たという、少し意地悪な笑顔を浮かべる。

「生徒会としての対策も、万全じゃないからね
 教師達の良心に期待したんだけどねぇ~…………

 あいつ等教師達は、ワイロもらっているのかもな
 そっちも確認して、腐ったところは削除しないとね

 ………あぁ…悠虎ゆうと君、これ食べてみなよ、美味しいよ」

 …………これ以上、学園内をかき回されるのは迷惑だ…………
 …………これはもう、裏から粛正しても良いよな…………

 瑛煌えいき悠虎ゆうとにお菓子をすすめながら、視線で彪煌あきらに確認を取る。

「そりゃ~…そうだな…腐ったミカンは取り除かないとな
 …………悠虎ゆうと、無理するコトないぞ

 苦手な味だったら、食べなくて良い、食べたいモノだけ食べとけ
 それと、お前は、ちょっと痩せすぎだと思うぞ

 ここに抱いて運んだ時、あんまりに軽いんでびっくりしたぞ」

 …………まぁ~瑛煌えいきの好きにしてイイぞ…………
 …………ああいう…煩い奴らはさっさと排際するに限るしな…………

 口で言ってる言葉とは別に、視線で無言の会話をしつつ、ふたりはさりげなく悠虎ゆうとを構う。
 そういう構い方をされたコトの無い悠虎ゆうとは、どこか面映おもはゆい思いをしつつ、無意識にわずかに微笑ほほえみを浮かべて言う。

「おふたりって、仲が良いんですね」

 言われた彪煌あきら瑛煌えいきは顔を見台わせてから、苦笑する。

「まぁ…血縁で幼馴染みだからな」

「そっ…親戚だし、小さい時から一緒だったからね
 こいつの扱いにも、それなりに慣れてるんだ」

 と、こいつ扱いされた彪煌あきらがチラッと瑛煌えいきに視線を飛ばし、悠虎ゆうとに向き直る。

悠虎ゆうと気を付けるんだぞ
 瑛煌えいきにかかったら、何でもないコトでも
 一大スキャンダルにして、噂を飛ばすヤツだかんな」

 目をパチクリさせる悠虎ゆうとに、彪煌あきらは自分のコトを棚上けした言動で、気を反らさせようとする。

「そうなんですか?」

「ああ、だから、気を付けるんだぞ
 それと、敬語で話さなくったって良いぞ」

 よくわからないという顔をする悠虎ゆうとに、瑛煌えいきも続けて頷くように言う。

「そうそう、普通に話しなよ、友達としてさ」

 更に躊躇ためらいと困惑を見せる悠虎ゆうとに、瑛煌えいきが茶めっけたっぷりの表情で続ける。

「そうそう、悠虎ゆうとってばお姫様抱っこで運ばれたんだよ
 きっと、明日には彪煌あきら悠虎ゆうとを………
 って話しが学園を駆け巡っているかもね」

 瑛煌えいきの発言に、紅茶を優雅に飲んでいた彪煌あきらがシレッとした表情でいう。

「間違いなく、ソレを流すのはお前だろう、瑛煌えいき

「だって面白いじゃない、冷静沈着の能面彪煌あきらが………ってさ
 きっと、おじさんはその話しを喜んでくれるよ」

 と、ふたりして未知の会話をしてくれるので、ちょっと意識を逃避行させた悠虎ゆうとは、紅茶とクッキーに逃げるのだった。











 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

3人の弟に逆らえない

ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。 主人公:高校2年生の瑠璃 長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。 次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。 三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい? 3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。 しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか? そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。 調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる

KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。 ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。 ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。 性欲悪魔(8人攻め)×人間 エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』

永遠の快楽

桜小路勇人/舘石奈々
BL
万引きをしたのが見つかってしまい脅された「僕」がされた事は・・・・・ ※タイトル変更しました※ 全11話毎日22時に続話更新予定です

温泉でイこう!~イきまくり漏らしまくりの超羞恥宴会芸~

市井安希
BL
男子大学生がノリでエッチな宴会芸に挑戦する話です。 テーマは明るく楽しいアホエロ お下品、ハート喘ぎ、おもらし等

たとえ性別が変わっても

てと
BL
ある日。親友の性別が変わって──。 ※TS要素を含むBL作品です。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

男の子たちの変態的な日常

M
BL
主人公の男の子が変態的な目に遭ったり、凌辱されたり、攻められたりするお話です。とにかくHな話が読みたい方向け。 ※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...