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0017★~夢の中~もしかして恋?*side彪煌*
しおりを挟む照明を落とし、薄暗い状態の部屋の中、彪煌は仮眠部屋のべットに穏やかに眠っている悠虎を覗き込む。
…………ふむ、まだ、意識は戻っていないようだな…………
…………なら、今の内に、この子が運命の子か確認するか?…………
…………とは言え、その確認方法が実はわからないんだよな…………
…………抽象的な言葉の…婆の言う運命の子ってなんだろうな…………
悠虎の静かな寝息に、なぜか落ち着かない彪煌は、ベット脇の椅子をもっと側に引きずり、背もたれに腕を乗せるようにして逆に座り込む。
微かな呟きを漏らし、もそもそと寝返った悠虎の表情に見入る。
そして、スッと無意識に背もたれから腕を伸ばし、悠虎の前髪を梳きあげ、頬や唇に触れる。
…………ふ~ん…意外に柔らかいもんだな…………
そう思ってから、彪煌はハッとして、今の自分の行動に気付く。
「えっとぉ………何やってんだ?俺」
茫然に近い口調で呟くと、悠虎がまた微かに声を零れ落とす。
「……う……ん………」
その微かな声と表情に魅惑されたように、彪煌は椅子からふらりと立ち上がる。
殆ど夢遊病者のように、彪煌はユラリッとべットの上の悠虎に屈み込む。
薄く開かれた唇に、彪煌は陶然としたような面持ちで触れるようなキスをしていた。
…………柔らかい…いや…甘い…………
微かに触れただけの唇の感触に、彪煌はハッと正気に戻って自分の行動に茫然とする。
「なっ………俺に…そんな趣味はない……はずだ………」
呟いた言葉にらしくない重い溜め息をひとつ吐いて、彪煌は冷静に自分の今の行動を分析し、答えを導き出す。
…………あの時は冗談で言った言葉だったが…………
「どうやら、俺はこの子に…伊槻悠虎に惚れたらしいな
はぁ~……瑛煌に冗談で一目惚れなどといったが
どうやら本気だったらしい………こんなまだまだ乳臭いガキに………」
そう思いつつも、彪煌は悠虎の前髪を梳き上げてやる。
すると、その触れられた感触に反応したように、悠虎の瞼がピクピクする。
その次の瞬間、意思のしっかりした双眸が現れる。
ほとんど微睡むというモノがない獣の目覚めのように、悠虎がパッチリと目覚めた。
「気が付いたか?」
悠虎のそんな様子に、彪煌は、普段寝た女にもしないような優しい声音で話しかける。
「……あ………」
きょとんとした瞳で、何かを言おうと口を開きかけた悠虎に、彪煌は引き込まれる。
その純粋に澄み切った瞳の深さに…………。
「どこか痛いところや苦しいところはあるか?」
他人、特に瑛煌が見たら、まず不可思議な顔か、大爆笑でもしそうな、ごく普通な問いかけに、悠虎は首を振る。
「いえ…平気です………あの…ここは?…………」
上体をムクッと起こした悠虎が、急に起きたコトで起こった節々の痛みや、打撲の痛みに眉を顰める。
そして、自分を覗き込む彪煌を見上げて、まだ状況がよく認識出来ていないかのように問いかける。
彪煌は悠虎の戸惑いの意味に気付いて言う。
「ああ、ここは中等部の生徒会長が使う仮眠部屋だ
あいにくと、中等部の保健医が休みだったんでね
残念なにコトに、医務室の鍵も開いてなかったんで
君の治療の為に、ここに運んだんだ
それと、一応は手当をしたから…………
制服は、悪いとは思ったけど、手当に邪魔だったから
脱がさせてもらったから………」
そう言われて???と疑問符たっぷりの視線で、悠虎は彪煌を見詰める。
そして、言われて初めて自分がぱんつ以外なにも身に着けていないコトに気付いて、悠虎は、頬を薄く染めて、酷く困ったような顔をする。
「……っ………え……あっ…と………」
途端に、悠虎の狼狽えと戸惑いに気付いて、納得顔をする。
「ああ、俺は、中等部の生徒会長で、三年の紫條彪煌
丁度、君のリンチの場に遭遇したんでね」
その言葉に、悠虎はようやく何がなんだかを認識する。
…………ってー…と、生徒会長に助けられたってわけか…………
…………もしかして、俺はかなり危なかったってコトか…………
「えっとー……その、ありがとうございました
俺、先週に中等部に特待生として編入して来た
伊槻悠虎です」
と、まだ戸惑いを残しつつも、悠虎は眼前の恩人である生徒会長にお礼を言う。
「いや、生徒会長としては、ああいう場面に遭遇したら
当然の対処をしたまでだよ
まぁ、彼らも彼らなりに理由は有るのだろうけど
個人に大勢でってのは…………ね
それより、大丈夫かい?
随分と痛め付けられたみたいだけど」
集団リンチをしていた者達を、退屈しのぎに叩きのめしたコトなど無いかのように、注意して散会させたかのように振る舞う。
既に意識を失っていた悠虎は、その事実を知らないので、ただただ恐縮するだけだった。
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