9 / 57
0009★ソレは俺のモノだ
しおりを挟む
坂田の呼びかけに、一番後ろで腕を組んでコトの成り行きをずっと傍観していた男が、クククククッと喉を振るわせて嗤う。
「まっカラダで覚えさせる…いや、躾けるのが一番だな」
そう言い放ったのは、悠虎に絡んだ坂田よりも更に上の学年の男だった。
「ってことは………」
坂田にセンパイと呼ばれた男は、ククククッと喉で嗤って更に言い放つ。
「そう、ヤっちまえば、少しはおとなしくなるだろう
幾ら生意気なそいつでも、身体に痛い目にあえば
自分が、いかに非力か自覚もするだろうよ」
嫌な笑いを浮かべたまま、悠虎を殴っていた上級生は悠虎の鳩尾に蹴りを入れる。
「………グゥ………ごほっ…ごほっ……」
ペロリと唇を舐めて、下卑た笑いを口端に張り付かせる。
「突っ込まれれば、いやでも従うさ」
蹴りを入れられた腹を抱えて蹲る悠虎の襟を掴み、蹴りを入れた男が無理矢理引き起こす。
「……ふ…う……く…そぉ………」
呼吸がうまく出来ない為、苦しけに喘ぎながら、しかし、負けを認めない悠虎の強い光りを放つ瞳を見て、更に下品に笑う。
「ついでに、泣いた可愛い姿の写真なんかあれば
二度と逆らうなんてコトしないさ」
上級生と同年の男が、何時の間にかスマホを出して見せる。
「お~お、用意がいいじゃねえーか
差し詰め、最初からそれを狙ってたってわけかぁ~………」
鳩尾に食らった蹴りで躯がうまく動かないのを良いことに、上級生の一人が楽しそうに、ポケットから紐を取り出し、いそいそと悠虎をうつ伏せに引っ繰り返し、両手首を腹部から無理矢理引き剥がして、背後で縛り上けながら照れたように言う。
「へへへへっ………済みません……」
頭を掻きながら、悠虎に始めに絡んでいた坂田が、大学部の先輩にへこへこする。
「その代わりと言ってはなんですが、先輩
こいつのヴァージン………」
その言葉が終わる前に、皮肉っぽい声がそこに響いた。
「何をやってる」
怒鳴り声のはずなのに、感情が綺麗に消失しきった、ただの静かな一言に、大学部の者も高等部の者も、縮こまる。
何故なら、止めに入ったのは、この私立城清学園を表裏から仕切っている紫條彪煌であった。
酷く耳障りの良い、聞き覚えのある声に、悠虎は内心のどこかホッとする。
…………?…あっ………この…声……紫篠さん?…だぁ…………
…………あぁ…視界が狭まる…ああ腹…いてぇー…………
その時に、意識の隅で、どうにか彪煌を認識した直後に、悠虎はブラックアウトを起こしていた。
彪煌のたった一声で、呪縛されたように硬直した彼らの中の一人がおずおずと言い訳めいた言葉を口にする。
「…っ…あ……紫條さん……いや、こいつが生意気なんで………」
逃げ腰で、そう言う男は、悠虎の手首を捩じりあげるようにして、紐で背後手に縛った者だった。
その下種な男を、彪煌が冷酷な視線で締め上ける。
自分の、今一番のお気に入りに手を出されかかったコトで起きた感情に任せて、彪煌は怒鳴った。
「………断りもなく……ぉ…れの……悠虎に触るんじゃねえーっっ………」
その瞬間には、言い訳めいたコトを口にしたヤツは見事に吹っ飛んでいた。
そう、その男は彪煌によって、蹴り飛ばされていた。
…………フン、俺のモノに手を出すからだっ…………
抑えられない憤りりをぶつけるように、残りの男達すべてを一撃で伸した彪煌は、気絶している悠虎の縛られた手首から紐を外してやる。
…………悠虎……ふぅー……困ったヤツだな本当に…………
…………ちょっと目を離すと、直ぐコレだもんなぁ~…………
そんなコトを思いながら、彪煌は悠虎の前髪を軽く掻き上けてやり、意識のない躯をソッと抱き上けて医務室に運ぶのだった。
「まっカラダで覚えさせる…いや、躾けるのが一番だな」
そう言い放ったのは、悠虎に絡んだ坂田よりも更に上の学年の男だった。
「ってことは………」
坂田にセンパイと呼ばれた男は、ククククッと喉で嗤って更に言い放つ。
「そう、ヤっちまえば、少しはおとなしくなるだろう
幾ら生意気なそいつでも、身体に痛い目にあえば
自分が、いかに非力か自覚もするだろうよ」
嫌な笑いを浮かべたまま、悠虎を殴っていた上級生は悠虎の鳩尾に蹴りを入れる。
「………グゥ………ごほっ…ごほっ……」
ペロリと唇を舐めて、下卑た笑いを口端に張り付かせる。
「突っ込まれれば、いやでも従うさ」
蹴りを入れられた腹を抱えて蹲る悠虎の襟を掴み、蹴りを入れた男が無理矢理引き起こす。
「……ふ…う……く…そぉ………」
呼吸がうまく出来ない為、苦しけに喘ぎながら、しかし、負けを認めない悠虎の強い光りを放つ瞳を見て、更に下品に笑う。
「ついでに、泣いた可愛い姿の写真なんかあれば
二度と逆らうなんてコトしないさ」
上級生と同年の男が、何時の間にかスマホを出して見せる。
「お~お、用意がいいじゃねえーか
差し詰め、最初からそれを狙ってたってわけかぁ~………」
鳩尾に食らった蹴りで躯がうまく動かないのを良いことに、上級生の一人が楽しそうに、ポケットから紐を取り出し、いそいそと悠虎をうつ伏せに引っ繰り返し、両手首を腹部から無理矢理引き剥がして、背後で縛り上けながら照れたように言う。
「へへへへっ………済みません……」
頭を掻きながら、悠虎に始めに絡んでいた坂田が、大学部の先輩にへこへこする。
「その代わりと言ってはなんですが、先輩
こいつのヴァージン………」
その言葉が終わる前に、皮肉っぽい声がそこに響いた。
「何をやってる」
怒鳴り声のはずなのに、感情が綺麗に消失しきった、ただの静かな一言に、大学部の者も高等部の者も、縮こまる。
何故なら、止めに入ったのは、この私立城清学園を表裏から仕切っている紫條彪煌であった。
酷く耳障りの良い、聞き覚えのある声に、悠虎は内心のどこかホッとする。
…………?…あっ………この…声……紫篠さん?…だぁ…………
…………あぁ…視界が狭まる…ああ腹…いてぇー…………
その時に、意識の隅で、どうにか彪煌を認識した直後に、悠虎はブラックアウトを起こしていた。
彪煌のたった一声で、呪縛されたように硬直した彼らの中の一人がおずおずと言い訳めいた言葉を口にする。
「…っ…あ……紫條さん……いや、こいつが生意気なんで………」
逃げ腰で、そう言う男は、悠虎の手首を捩じりあげるようにして、紐で背後手に縛った者だった。
その下種な男を、彪煌が冷酷な視線で締め上ける。
自分の、今一番のお気に入りに手を出されかかったコトで起きた感情に任せて、彪煌は怒鳴った。
「………断りもなく……ぉ…れの……悠虎に触るんじゃねえーっっ………」
その瞬間には、言い訳めいたコトを口にしたヤツは見事に吹っ飛んでいた。
そう、その男は彪煌によって、蹴り飛ばされていた。
…………フン、俺のモノに手を出すからだっ…………
抑えられない憤りりをぶつけるように、残りの男達すべてを一撃で伸した彪煌は、気絶している悠虎の縛られた手首から紐を外してやる。
…………悠虎……ふぅー……困ったヤツだな本当に…………
…………ちょっと目を離すと、直ぐコレだもんなぁ~…………
そんなコトを思いながら、彪煌は悠虎の前髪を軽く掻き上けてやり、意識のない躯をソッと抱き上けて医務室に運ぶのだった。
0
お気に入りに追加
263
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる