煉獄の中の溺愛

ブラックベリィ

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0007★隠された血筋が故に………*side彪煌*

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 濃紫色の腰よりも長い髪、ある意味でソレが、紫條しじょうの跡取りという地位を確たるモノとしていたりする。
 その色を纏えなければ、例え直系の長子と言えど、紫條しじょうの家は継げないのだ。

 闇に紛れて連綿と続く、強大な霊能力を有する隠された本流、真條しんじょうの血筋の証しでもあった。
 当然、紅條くじょうを名乗る瑛煌えいきも、その名が示すように、黒と見紛みまごう濃紅色の髪を有していた。

 また、紅條くじょうの後継者として、瑛煌えいき彪煌あきら同様、腰まで伸ばしている。

 彪煌あきらは改めて自分の裸体を確認し、ひとつ大きく嘆息した後、女に付けたられた傷跡に掌をかざして消して行く。

 …………はぁ~…これでヨシ…っと…うん…他にはねぇ~な…………
 …………痕跡あとを付けられると、けがれるからなぁ~…………

 …………どうしたって、女はいんだからなぁ~…………
 …………情事の時に、女が残した傷跡なんて油断の印だぜ…………

 …………そんなモンを浄化も治癒もしないで放置なんてすっと…………
 …………ようの身体に、染みのように残って浸食し…………

 …………けがちるて|《力》を失うんだよな…………
 …………まっそういう女の腹をいちまうコトも出来る………… 

 …………たかが排泄行為で、子供なんて孕まれたらコトだからな…………
 …………ふむ、見た感じあの女の痕跡あとはなさそうだが…………

 …………どうせもう直ぐ、瑛煌えいきが来るから確認してもらおう…………
 …………つーことで、今日は着物にすっかな…………

 …………なんか、バスローブって気分じゃねぇーしな…………
 …………たまには着物も良いしな…………

 彪煌あきらはウォークインクローゼットから、仕立てたままでまだ袖を通したコトの無いモノを選んで羽織る。

 …………まっこんなモンかな?…………

 そう彪煌あきらが確認しているところに、ノックの音が響く。

「入って来いよ、瑛煌えいき

 彪煌あきらの応えに、ドアが開いて、彪煌あきらとよく似た容姿の瑛煌えいきが滑り込んで来る。

「やっほぉ~い……って、アレ?着物?」

 瑛煌えいきの反応に、肩を竦めた彪煌あきらは、単刀直入に言う。

「悪いけど、身体視てくれねぇ~か?目に見える痕跡傷跡は消したけど
 もしかしたら、なんか刻印しるしを付けられてかもなんだ

 まっとしたし、腹ン中はいてやったけどな
 能力ある子供なんて孕まれたらコトだからな

 何処の者かは知らないけど、あの女はどっかのこまだった」

 彪煌あきらの言葉に、瑛煌えいきは人の悪い笑みを浮かべて言う。

「まっウチ真條の血統を盗もうってやから
 それこそ、掃いて捨てるほどいるもんな

 腹ン中をいてあるなら、孕めないから大丈夫だな
 んじゃ、ちゃっちゃと確認してまおうか」

 瑛煌えいきの言葉に、羽織っていただけの着物を脱ぎ落し、両手で長い髪を持ち上げて、うなじを晒す。

「一番ヤバそうなのは、うなじかな?どうだ?なんか痕跡あとあるか?」

 彪煌あきらの問いかけに、る能力に優れている瑛煌えいきはしげしげと確認する。

「うん、大丈夫だぜ、耳の後ろもOKだな首筋は自分でえるから
 なぁ~んも刻印つけられていないようだし…………

 上腕の外側もOKだな……うん、綺麗なモンだ
 いんの気も染み込んでないし…………

 ほんと、彪煌あきらの身体は、相変わらず綺麗だなぁ~
 身体ン中を黄金色の流れが縦横無尽に流れているもんなぁ………」

 その眼でえる彪煌あきらの|《力》の流れに感動する瑛煌えいきを他所に、確認は終わったとばかりに、ちゃんとしたモノに着替える。

「………で、あの婆はなんだって?」

 唐突な彪煌あきらの言葉に、瑛煌えいきはケロケロと笑いながら言う。

「なんか、俺達に運命の出会いがあるんだってさぁ~………」

 瑛煌えいきの言葉に、彪煌あきらは双眸を閉じて、あきらめ半分に言う。

「俺の…満たされないこころを埋めてくれる者なら大歓迎だな
 運命か……俺達ってコトは、瑛煌えいきにとっても運命ってコトか」

「どのみち、彪煌あきらの運命の相手なら、俺にとっても大事な者でしょ
 そういう意味じゃないの?…………じゃなったら、2人で所有かな?」

 わらいながらそう言う瑛煌えいきに、彪煌あきらも肩を竦める。

「だな………」

 …………さてさて、婆の言う、運命の相手やらはどんな者やら…………
 …………俺の中にある、気付いた時から常にあるかつえを…………

 …………空虚くうきょなこころを、満たせとは言わない…………
 …………せいぜい、俺の退屈をまぎらわせてくれ…………

 何処かうれいを帯びて、そう言う彪煌あきらに、瑛煌えいきも同感だというように頷頷いた。

「本当に、そうだな…………っと、さてと、裏のお仕事に行こうか
 とっとと、今日、やるべきコトはぜぇ~んぶ終わらせちゃってさ
 どっかに憂さ晴らしに行こうぜ彪煌あきら

「そうだな、瑛煌えいき

 よく似た容姿の2人は、まだ見ぬ運命の者に期待など持たないとうそぶきながら、部屋をでるのだった。













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