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029★後宮を整理整頓しよう〈皇帝フリードリッヒ&皇子達 視点〉
しおりを挟むこんな王女を、この私と帝国に押しつけてくれたんだ、少しは責任をとってもらいたいものだ………特に、ヘルマンにな。
私なりにアマーリエに対して、色々と甘い対応をしていたのだが………。
彼女の中には、私に対して好意的なモノは、何も無いようだな。
愛するヘルマンと祖国で暮らすという状況でも、アマーリエは、贅沢な暮らしが身に付いているから……。
そう宝石もドレスも好きに手に入れていた。
この帝国の財力とヘルマンの財力は………。
不平不満を言いながら暮らすのか?
愛するヘルマンといるから………と贅沢が出来ない生活でも楽しく暮らすのか?後で、その様子を確認してみるのも一興だな。
とにかく、本人がヘルマンの元に行きたいと思うように、もう少し情報を与えてみるかな。
「君の望みは、愛するヘルマンと暮らすコトだろう
今、ヘルマンは、ザンジバル帝国と国境を接している
アルティナ領を有するアルティナ辺境伯爵になっている
血筋と武勇を認められた養子なのだが、婚姻はしていない
アマーリエを思っているのだろう
何時、戦になるかも判らない最前線ではあるが
交通の要所でもあるから、豊かな生活は出来るだろう
ザンジバル帝国とアルレスハイム王国の玄関口だからな
かなり規模の大きな城塞都市で、華やかな雰囲気もある行くか?」
「もちろん、ヘルマンの傍に居れるなら、何処にでも行くわ」
そうか行くか………ならばさっさと行かせよう。
途中で気が変わらないように、ナイトハルトに連れて行かせよう。
ナイトハルトは、アマーリエに幻滅しきっているから、きっちりとヘルマンに届けてくれるだろう。
ついでに、フィリシアとの結婚と王配になるコトを命令しておくか。
「ナイトハルト、アルレスハイム王国の視察を兼ねて
アマーリエをヘルマンのもとに送ってやれ
そして、フィリシアを探すのだ
ナイトハルト、お前にはギルバードの代わりに
女帝フィリシアの王配となってもらう
お前は、私の息子で、この帝国の皇子だ
皇子としての義務と責任を果たしてもらう
それまでの地位は、ローエングリン公爵だ
期間は3年だ良いな」
「はい、お任せ下さい」
素直に皇子としての義務と責任(フィリシアとの婚姻し、王配として政務をとる)を果たすと答えてくれた。
次は、ギルバードだな。
私は、どうしてもバカな子ほど可愛いと思ってしまう親バカらしい。
義務と責任がほとんど無い密偵にしようと思うんだから………。
そして、2年ほど実際というモノを見て、王位というモノが欲しいと思えるなら、アルレスハイム王国の王座に、私とナイトハルトでつけてやろう。
「ギルバード、お前は、【咎人の離宮】に入る
その時は、あの側近達も一緒だ
ただし、ナイトハルトとフィリシアが婚姻し
フィリシアが皇帝になった暁には、恩赦があるだろう
お前は、生涯自分の子供を得るコトは出来ないが
自由に動けなかった私の代わりに
色々な国を旅して回る密偵になれ、良いな
その為の準備期間でもある
私は、皇帝としては、ダメな男だな
ナイトハルトもお前も可愛くて愛おしくて、
直ぐに甘くなってしまう
お前達という宝物を、私に与えてくれたアマーリエとヘルマンを
憎みきれないし嫌いきれない
だから、アマーリエとヘルマンを憎むな
とくにナイトハルト、お前にはこの帝国とフィリシアの未来を頼む
お前は私の子だ、ナイトハルト
そして、私が許したのだから、お前もヘルマンとアマーリエと
女狐に誑かされてしまったギルバードを許せ、良いな
こうして話していても、ギルバードの認識におかしいところが無い
アレは魅了と呼ばれモノを身に着けているのだろう
それが、魔法や魔術なのか、魔道具なのかはわからんがな
見ての通り、ギルバードは正常だ
そして、ギルバード
お前も、アマーリエとヘルマンを許せ、わかったな」
「「はい」」
私の言葉に、2人の息子は、不承不承という表情と声で答える。
まぁ良い、この2人とは後で話せば良い、まずは、アマーリエだ。
アマーリエが欲しがったものなぞ……この後宮においておきたくない。
すべて廃棄処分にしたいから、まずは宝石類を持って行かせよう。
それに、アマーリエに忠誠を誓っている人間達も、廃棄処分したいからな。
アマーリエと一緒に、ヘルマンの元に送りだしてやる。
アマーリエが暮らしていた部屋の家具調度品、カーテン、絨毯、リネン類にベッドも何もかも廃棄処分だ………。
全部ヘルマンの元に送ってやる。
確か、黄金竜の魔法の掛かった兵站用の大型馬車は、今でも十数台はあったはず………。
今回の旅行で、マーリエの持ち物は全部廃棄処分にしてやろう。
こんなに送られたらヘルマンも対処に困るだろうなぁ~………。
うん、地味に嫌がらせになるな。
それに、アマーリエの乳母をはじめとする者達の荷物も全て運んでやろう。
その代わり、退職金は無しだ………泥棒に追い銭状態だからな。
「アマーリエ、君に与えた宝石類はすべて持って行け
ドレスは必要最低限にしろ、全てのドレスや小物は、
後で送ってやる
それと、君の乳母と、乳姉妹兄弟の侍女や騎士も
家族ごと連れて行くが良い
ああそれと今回の旅は、ひと目を避ける旅になるぞ
いくらナイトハルトの一行に紛れるとしてもな
いいか、馬車からは、けっして出るなよ
関係者以外の人間に見つかったら、殺せと命じておく故な」
「わかったわ……でも、入浴もしたいしベッドで眠りたいわ」
私のかなりの親切に、アマーリエは、相変わらず考え無しに我がままを言う。
それを聞いて、息子達の目つきがさらに悪くなった。
そのコトに気が付くコトも無い。
ふふふ君の考え無しの態度に、母親という君への愛情が枯れて行く息子達を見るのはなんと楽しいコトか………。
これで、息子達は、君が生きようと死のうと全く気にとめないだろう。
君の祖国アルレスハイム王国が、ザンジバル帝国に蹂躙されようと眉ひとつ動かすことは無いだろうな。
我が帝国の安全上必要なら、それ相応の対価をもらって手を貸すと言うだろうなぁ~………。
アマーリエ、ヘルマン、感謝しているよ。
ナイトハルトという、優秀な跡取りを私に差し出してくれたコトを………。
考えてみれば、ギルバードがバカをやったお陰で、ローエングリン公爵家は、爵位と領地ごと皇家に予定よりも早く戻せたからな。
これは、プラスとみて良いコトだ。
私の眼となり、各地を見て廻って、王位が欲しいと思うなら、この父が用意してやろう、ギルバード。
きっと、ナイトハルトも喜んで手を貸してくれるだろう。
その為には、あの女狐に、絶対に解けない術を掛けて、2度と私のギルバードに再会などさせぬ。
本来は、優秀なはずの側近達もしかりだ。
悪影響を与えそうなアマーリエも消える、これでギルバードが自分の血筋に潜む誇りと義務と責任を自覚したなら………いやいや、それは先の話しだな。
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