絶滅危惧種のパパになりました………~保護して繁殖しようと思います~

ブラックベリィ

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0313★白夜の翼が再び急成長

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 神護は、3台の馬車の中に入れていたモノを出して、居心地を良くする。
 実際には、出迎えたマデル達の足止めも兼ねた荷物達ではあるのだが、お金も必要なので、売り物として用意していたモノを全部出したのだ。

 そうして、神護は自分達だけ、さっさと美里みさと街の防護壁の中へと向かうのだった。
 後には、神護が出した荷物(一応処理された獲物の肉)と、たった今倒した自走肉食植物の残骸が、ブチハイエナの男達と共に残っていた。

 マデルは、すぐさま男達にすべての回収の指示を出し、自分は神護達の元へと急いで追従するのだった。
 なんと言っても、兄のアデルに尽くしてコネをしっかり付けておけと厳命されていた、マデルは必死なのだ。

 神護は、すっきりとした気分で、美里みさと街の防護壁にある開いている門へと向かいながら、ちょっと考えていた。

 はぁ~…そろそろ…本気で、人手がマジで欲しいなぁ~……
 いっそのこと……どうせだからってコトで、ここで人手を雇うか?
 ………いや、それはかなり無理があるかなぁ……

 イビツな成長の仕方をしていようと、白夜は立派な翼を持つ飛翔族ひしょうぞくの子だ
 その白夜の身の安全を考えるとなぁ……無理だよなぁ
 安全性を考えると、安易に人を雇うことはできないんだよなぁ

 何処から見ても飛翔族ひしょうぞくの姿をしているからなぁ……
 あの後、リンクのお陰もあって、妙な追跡の視線は感じなかったが
 勿論、夜盗もどきにも、幸いなことに出会わなかった

 それでも、危険の要素は少なくするにこしたことはないしなぁ
 さて…どうにかして、人手を確保したいんだが、どうしようか?
 流石に、ある程度は何でもこなせる知識や魔法があるから困らないけど

 いくら、自分で色々とできるとはいってもなぁ……
 流石に、一人で獲物を解体して、保存するのに疲れたもんなぁ
 いや、腕輪や巾着袋にポイポイして大半は一次しのぎしているけどな


 結局、俺が1人で、あとで処理することになるからなぁ……
 信頼できる者が欲しい、マジで切実に……

 防護壁の門前のかなり手前で、荷物を放り出して来た神護は、何の感慨も無く、美里みさと街の防護壁の南門へと到着する。
 神護は、馬車をゆっくりと進め、南門を潜る。

 そして、そこで待ち受ける、兵士らしき者に、アデルから手渡された、美里みさと街の中へとに入る為の、手形(一回限りのモノ)を手渡す。
 ちなみに、一回限りのモノは、門で兵士に回収される仕組みになっているのだ。

 決定的な身分が欲しければ、商人や冒険者ギルドに登録するのが1番手っ取り早い方法だったりする。
 その辺は、白夜から聞いていたので、神護はあえて門番に尋ねたりはしなかった。

 「さてと…………」

 文句一つ言わずに、その手形を神護から受け取った兵士は、眼前で行われた戦闘に畏怖して、さりげない態度をとることもできずに、明確に腰が引けていた。

 神護は、そんな兵士達のなんともいえない微妙な態度に、首を傾げるが、商人根性のたくましいマデルは、気にすることなく、駆け寄って来る。

 「だんなぁ~……ウチの店は、こっちなんでさぁ~
 ささ、案内しまかすから、お子さんも長旅でお疲れでしょうし……」

 そう言うアデルの弟・マデルに、神護はクスッと微笑わらって頷く。

 ここは、マデルの言葉に、甘えさせてもらうかな
 白夜の奇妙な成長の仕方も、かなり気になるコトだしなぁ……
 ここの神官にでも、飛翔族の成長とかを聞いてるのも手だしな

 「ああ、そうだな……んじゃ、滞在させて……」

 御者台に座って追い駆けて来たマデルと、そういう会話をしている神護の隣りで、おとなしく座っていた白夜が、押し殺した苦鳴を上げる。

 「アッ………ヴゥゥゥ~…………」

 隣りから聞こえた苦痛を押し殺した声に、神護はハッとした表情で、白夜を振り返る。

 「どうした? 白夜?」

 布を目深に被って、自分の隣りでおとなしく目立たないようにしていた白夜が、身体を震わせていた。
 そして、背中の翼がある位置が、今朝確認した時よりも、僅かだが盛り上がってきていることに気付いた。

 うげっ……白夜の翼っ……また、大きくなるのかぁ?
 勘弁しろよぉ~……これじゃ、白夜の身体が持たないぞ

 じゃなくて、翼の存在を隠す為に被せた布を外してやらないと
 急に大きくなった翼が、布の重さに負けて曲がっちまう

 見る間に背中が大きく盛り上がって来ていることに気付き、神護は慌てて、だが、慎重に、白夜に頭から、すっぽりと被せていた布をソッと取り払う。
 成長期中の翼に、余計な負担がかかると、その圧力によって変形してしまうおそれがある為に…………。

 う~ん…羽化したての蝶やトンボと同じかなぁ? こりゃ?
 

 神護は、白夜の成長を続ける翼に手を伸ばし、過敏になっている神経に触らないようにしながら、そぉーっと触れてみる。

 ぅん~…翼全体が妙に柔らかい感触しているのかぁ?
 これはぁ~……もしかして、単純に翼が成長しているんじゃなのかよ
 改めて、翼の形を再構成されているのか?

 つぅーと、完全に白夜の翼の形がととのって、完全に乾いて
 本来の硬さに硬化するまで下手に触れねぇ~よなぁ~……やっぱり
 特に、成長がすごい根元周辺は、きっと時間がかかるだろうなぁ

 さて、どう言ったら、ここに居る奴等を納得させられるかな?
 急に成長した翼の未来のことを考えるとなぁ……
 あのまま重い厚地の布を被せたままにしておけなかったしなぁ

 俺も慌ててたからなぁ……白夜の身体や成長した翼を最優先したから
 せっかく、隠す為に被せていた布を引き剥がしちまったもんなぁ
 さて、どうしようか? なんか、イイ理由が欲しいなぁ……







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