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0311★自走植物達の残した果実は食べられるようです
しおりを挟む馬車の御者台から飛び降りた神護は、塩害によって枯れた自走肉食植物達の中に、見慣れたモノとよく似たようなモノを見付けて呟く。
「ふむ……コレは、コイツの実かな?」
なんか、見た目だけで言えば、リンゴだけど、味はどうなのかな?
コイツの実みたいだけど、食べられるのかな?
そう呟くと、神護は足元にある枯れた自走肉食植物は、白夜がマンドラゴラと説明した自走肉食植物の枝に生っていた実をもぎ取る。
それは、熟れたトマトもかくやというようほど、見事に真っ赤な色をしたモノだった。
見た目は、元の世界でよく食べていたリンゴに近かった。
大きさは、リンゴの世界一よりもかなり大きいモノだった。
勿論、小ぶりの見かけがリンゴそっくりなモノも存在していた。
「白夜、こいつの実は、食えるモンなのかぁ?
マンドラゴラってヤツは、なんかの役にたつようなモノか?
もし、薬とかになるんなら、持って行くけど? どうする?」
翼を隠す為に被った布のセイで、もこもこ姿の白夜は、御者台から怖々と降りて来る。
その腕には、しっかりとリンクを抱いていた。
リオウの頭にいたリンクを抱いて来たのは、リンクがシールドを張っているコトを、白夜は知っていたからである。
ちょっと子供返りしている部分がある白夜は、本能に根差した自走肉食植物に対する恐怖心が拭えなかった為、リンクを抱っこしているのだ。
そんな白夜のお目付け役?を自認するリオウは、心配そうに側に寄り添っていた。
いや、リオウは、イザという時には、白夜の服の襟首を噛んで逃げられるように、馬車から降りた時は常にそうしているのだ。
馬車から降りて来て、首を傾げる神護の側に来た白夜は、その実を手に取り、首を傾げる。
「コレはマンドラゴラの実だから 食べれると思いますよ 父上
たしか すごく甘くて美味しい上に 滋養強壮効果が高い
そういう話しを 聞いたことがあります
ギルドで 自走肉食植物の 果実採取の依頼が多いモノです」
言いながら、白夜はマンドラゴラの実を両手で持ってクッと力を入れ、パカッと左右に割って、コロンと飛び出して来た、中にあった種子に齧り付く。
見た目はリンゴそのモノだが、それは殻に該当するモノのようで、中にある種子を食べるモノだったようである。
ふむ…見た目はリンゴだが、クリのようなモノだと思えばいいのかな?
その上で、生でそのまま食べられるんだな…なるほど
種子の状態では、攻撃力など無いので、白夜は平気で口に入れる。
カシュッカシュッという、齧る軽い音が響く。
一口齧った白夜は、その美味しさに、夢中で食べ続ける。
それを見て、神護は苦笑する。
ふ~ん、本当にクリみたいなモノなんだな
外側の真っ赤な硬いモノは、外皮とても言えばイイのかな?
割ると中に、食べられる種子?があるところも、クリのようだ
ただ、なるほどなるほど…食べる音からして食感はリンゴのようだな
味もリンゴのような甘酸っぱいモノなんだろうか?
しかし、白夜は無理矢理【転生】なんてモンをした分
膨大なエネルギーが必要なのかもなぁ
なんてったって、今の白夜はどう見ても、まだまだ育ち盛りだし……
美味しくて栄養効果が高いなら、それにこしたことねぇーもんな
どれ、俺もひとつ食べてみるかな
美味っ美味っと、それは美味しそうに、うっとりしながら食べる白夜に微笑みながら、神護も手に取っていた実を割り、その中身を口に運ぶ。
「うん…確かに…美味いっ…これは甘くて美味しいな」
ふむ…クリのような形状だが、味はかなりリンゴに近いかな?
この味は、紅玉っぽいかんじだな、甘酸っぱい感じで美味い
そう言いながら、ペロリッと一つ食べた神護は、呪文を唱えながら、撒布した塩と水の科学方式を思い浮かべて、両方を回収する。
水は水壷へ、塩は塩壷へと、手の一振りで、全てを収納した神護は、二つの壷を元の場所へと転移させる。
ほぉ~んと、ファンタジー世界での《魔力》って、便利だよなぁ~
いちいち、自分で所定位置に運ばなくてもいいんだもんなぁ~
ちょっと呪文を唱えて、その場所を思い浮かべるだけで済むもんな
白夜から譲渡された《力》は、そのまま守護者となった神護に継承された為、なんの鍛錬も無く、自由自在に使えたりする。
ただ、慣れない感覚の為に、馴染むのに少し時間が必要だっただけである。
このファンタジー世界の常識が無い為、神護は色々なことを、別の角度から見て、魔法を行使するので、その《力》は、元の白夜の魔力を凌駕することもままあるのだ。
〔はぁ~…… 私の《力》で 父上を護りたいと思うのに……
私は 何時になったら 父上の役に立てるのだろうか?
分からないな はぁ~ 今の私は 本当に無力な子供でしかない
ふむ この躯の大きさに比して 背の翼が一回り以上大きく
もの凄くバランスが悪い
今の私の姿は はたから見たら純粋な飛翔族の子供ではなく
何の力も無い 混血児に見えるだろうな
その分 私達 飛翔族の願いごとを成就させる
祈願力を望む者達からは 狙われる心配は無くなって安心だが……
下手をしたら 同族の者にも 私は 白夜と認識されないかも
いや その可能性の方が高い気がする
はぁ~…良いんだか? 悪いんだか?
今後の この身の成長のしかたも さっぱり予想が付かない
本当に 何時になったら きちんとした 大人の姿になれるやら……〕
そんな白夜の気持ちを知らない神護は、疑問に思ったことを尋ねる。
「なぁ~…白夜、こっちの植物は何なんだ? 食えるのか?
俺の知識には、こういうモンの情報が無いんだが………」
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