311 / 328
0311★自走植物達の残した果実は食べられるようです
しおりを挟む馬車の御者台から飛び降りた神護は、塩害によって枯れた自走肉食植物達の中に、見慣れたモノとよく似たようなモノを見付けて呟く。
「ふむ……コレは、コイツの実かな?」
なんか、見た目だけで言えば、リンゴだけど、味はどうなのかな?
コイツの実みたいだけど、食べられるのかな?
そう呟くと、神護は足元にある枯れた自走肉食植物は、白夜がマンドラゴラと説明した自走肉食植物の枝に生っていた実をもぎ取る。
それは、熟れたトマトもかくやというようほど、見事に真っ赤な色をしたモノだった。
見た目は、元の世界でよく食べていたリンゴに近かった。
大きさは、リンゴの世界一よりもかなり大きいモノだった。
勿論、小ぶりの見かけがリンゴそっくりなモノも存在していた。
「白夜、こいつの実は、食えるモンなのかぁ?
マンドラゴラってヤツは、なんかの役にたつようなモノか?
もし、薬とかになるんなら、持って行くけど? どうする?」
翼を隠す為に被った布のセイで、もこもこ姿の白夜は、御者台から怖々と降りて来る。
その腕には、しっかりとリンクを抱いていた。
リオウの頭にいたリンクを抱いて来たのは、リンクがシールドを張っているコトを、白夜は知っていたからである。
ちょっと子供返りしている部分がある白夜は、本能に根差した自走肉食植物に対する恐怖心が拭えなかった為、リンクを抱っこしているのだ。
そんな白夜のお目付け役?を自認するリオウは、心配そうに側に寄り添っていた。
いや、リオウは、イザという時には、白夜の服の襟首を噛んで逃げられるように、馬車から降りた時は常にそうしているのだ。
馬車から降りて来て、首を傾げる神護の側に来た白夜は、その実を手に取り、首を傾げる。
「コレはマンドラゴラの実だから 食べれると思いますよ 父上
たしか すごく甘くて美味しい上に 滋養強壮効果が高い
そういう話しを 聞いたことがあります
ギルドで 自走肉食植物の 果実採取の依頼が多いモノです」
言いながら、白夜はマンドラゴラの実を両手で持ってクッと力を入れ、パカッと左右に割って、コロンと飛び出して来た、中にあった種子に齧り付く。
見た目はリンゴそのモノだが、それは殻に該当するモノのようで、中にある種子を食べるモノだったようである。
ふむ…見た目はリンゴだが、クリのようなモノだと思えばいいのかな?
その上で、生でそのまま食べられるんだな…なるほど
種子の状態では、攻撃力など無いので、白夜は平気で口に入れる。
カシュッカシュッという、齧る軽い音が響く。
一口齧った白夜は、その美味しさに、夢中で食べ続ける。
それを見て、神護は苦笑する。
ふ~ん、本当にクリみたいなモノなんだな
外側の真っ赤な硬いモノは、外皮とても言えばイイのかな?
割ると中に、食べられる種子?があるところも、クリのようだ
ただ、なるほどなるほど…食べる音からして食感はリンゴのようだな
味もリンゴのような甘酸っぱいモノなんだろうか?
しかし、白夜は無理矢理【転生】なんてモンをした分
膨大なエネルギーが必要なのかもなぁ
なんてったって、今の白夜はどう見ても、まだまだ育ち盛りだし……
美味しくて栄養効果が高いなら、それにこしたことねぇーもんな
どれ、俺もひとつ食べてみるかな
美味っ美味っと、それは美味しそうに、うっとりしながら食べる白夜に微笑みながら、神護も手に取っていた実を割り、その中身を口に運ぶ。
「うん…確かに…美味いっ…これは甘くて美味しいな」
ふむ…クリのような形状だが、味はかなりリンゴに近いかな?
この味は、紅玉っぽいかんじだな、甘酸っぱい感じで美味い
そう言いながら、ペロリッと一つ食べた神護は、呪文を唱えながら、撒布した塩と水の科学方式を思い浮かべて、両方を回収する。
水は水壷へ、塩は塩壷へと、手の一振りで、全てを収納した神護は、二つの壷を元の場所へと転移させる。
ほぉ~んと、ファンタジー世界での《魔力》って、便利だよなぁ~
いちいち、自分で所定位置に運ばなくてもいいんだもんなぁ~
ちょっと呪文を唱えて、その場所を思い浮かべるだけで済むもんな
白夜から譲渡された《力》は、そのまま守護者となった神護に継承された為、なんの鍛錬も無く、自由自在に使えたりする。
ただ、慣れない感覚の為に、馴染むのに少し時間が必要だっただけである。
このファンタジー世界の常識が無い為、神護は色々なことを、別の角度から見て、魔法を行使するので、その《力》は、元の白夜の魔力を凌駕することもままあるのだ。
〔はぁ~…… 私の《力》で 父上を護りたいと思うのに……
私は 何時になったら 父上の役に立てるのだろうか?
分からないな はぁ~ 今の私は 本当に無力な子供でしかない
ふむ この躯の大きさに比して 背の翼が一回り以上大きく
もの凄くバランスが悪い
今の私の姿は はたから見たら純粋な飛翔族の子供ではなく
何の力も無い 混血児に見えるだろうな
その分 私達 飛翔族の願いごとを成就させる
祈願力を望む者達からは 狙われる心配は無くなって安心だが……
下手をしたら 同族の者にも 私は 白夜と認識されないかも
いや その可能性の方が高い気がする
はぁ~…良いんだか? 悪いんだか?
今後の この身の成長のしかたも さっぱり予想が付かない
本当に 何時になったら きちんとした 大人の姿になれるやら……〕
そんな白夜の気持ちを知らない神護は、疑問に思ったことを尋ねる。
「なぁ~…白夜、こっちの植物は何なんだ? 食えるのか?
俺の知識には、こういうモンの情報が無いんだが………」
0
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説

『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月
りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。
1話だいたい1500字くらいを想定してます。
1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。
更新は不定期。
完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。
恋愛とファンタジーの中間のような話です。
主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。

ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~
まぁ
ファンタジー
事故で亡くなった日本人、黒野大河はクロノとして異世界転移するはめに。
よし、神様からチートの力をもらって、無双だ!!!
ではなく、神様の世界で厳しい修行の末に力を手に入れやっとのことで異世界転移。
目的もない異世界生活だがすぐにハイエルフの幼女とであう。
なぜか、その子が気になり世話をすることに。
神様と修行した力でこっそり無双、もらった力で快適生活を。
邪神あり勇者あり冒険者あり迷宮もありの世界を幼女とポチ(犬?)で駆け抜けます。
PS
2/12 1章を書き上げました。あとは手直しをして終わりです。
とりあえず、この1章でメインストーリーはほぼ8割終わる予定です。
伸ばそうと思えば、5割程度終了といったとこでしょうか。
2章からはまったりと?、自由に異世界を生活していきます。
以前書いたことのある話で戦闘が面白かったと感想をもらいましたので、
1章最後は戦闘を長めに書いてみました。

義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

私、のんびり暮らしたいんです!
クロウ
ファンタジー
神様の手違いで死んだ少女は、異世界のとある村で転生した。
神様から貰ったスキルで今世はのんびりと過ごすんだ!
しかし番を探しに訪れた第2王子に、番認定をされて……。

異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました
ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】
ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です
※自筆挿絵要注意⭐
表紙はhake様に頂いたファンアートです
(Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco
異世界召喚などというファンタジーな経験しました。
でも、間違いだったようです。
それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。
誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!?
あまりのひどい仕打ち!
私はどうしたらいいの……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる