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0305★やっと彩湖王国の東の端の美里街が見えました
しおりを挟むやっと、遠くに見えた目的地を見た神護の感想は、実はかなり微妙だった。
う~ん……でも、なぁ~んにも無い真っ平らな地平線
その向こうにグルっと連なるらしい防護壁のようなモノ?
そして、防護壁の奥に、チョコっと見える街
更にその奥の奥に、微かになんか尖って見えるのは、離宮か何かかなぁ?
ここから、なんとなく見える程度ってことは、あと一日は確実にかかるな
まだ、街を外敵から護る為にある防護壁も少ししか見えねぇーしなぁ……
まっいっか……取り敢えず、目標物がやっと見えたんだしな
そういう意味じゃ、少し張り合いが出たな
ただ、なんで俺達の馬車とすれ違う馬車が居ないのかなぁ?
旅商人・アデルが率いる商隊の他に一台も出逢わなかったんだよなぁ
いや、途中に魔植物のカエスが巣食っていたセイもあるだろあけど……
そのコトを差し引いても、かなぁーり疑問なんだよなぁ
あの彩湖王国の東の端美里街で
何か大きなイベントがあるのかな?
それに参加する為に、街道がガラガラだったのか?
もしかしたら白夜の捕まえた弟を、周囲に見せびらかす目的で何かしているのか?
そういう可能性も、ちゃんと考慮に入れておかないとヤバそうだな
まだ捕まっていない、長兄の白夜をおびき寄せる為とか………
はたまた、俺が想像するよりも…この世界の人口は、かなぁーり少ないのかな?
その為に、他の人族と出会う機会があまりないのかもしれないな
まっ…なんにしても、とりあえず防護壁が見えるところまで来たんだ
あとはゆっくりと、このまま真っ直ぐ、防護壁へと向かえばイイか
そんなことを考えながら、神護はぼやくように言う。
「あの彩湖王国の東の端美里街が見えるても
結局、ここまで来ても、あのアデルって旅商人の一行以外には
誰にも逢わなかったよなぁ?
この街道って、あんまり使われてねぇー街道だったのかなぁ?」
神護の言葉に、白夜も首を傾げる。
「そうですね………でも 確かに街道を通ってここまで来る間
誰にも出会わなかったですよねぇ?
他の商人とかと 出会ってもよさそうなものですが? う~ん?
今の時期に 彩湖王国の東の端美里街で
何か大きな祭りとかあったかなぁ?」
そう言って、首を傾げる白夜に、神護はクスッと微笑って言う。
「まっ…行ってみれば、なんか判るだろう」
「そうですね」
「なに、この調子なら、なんとか明日の夕刻ぐらいには
あの防護壁のところにある門には、着くんじゃないかな?
一応、彩湖王国の東の端にある美里街の姿が
チラリッとでも、視認できるようになったんだからさ
とは言っても、まだ、本当に小さくだからなぁ………
こういう、なぁーんにも無いところで見えるモノってなぁ……
意外と想像しているよりも距離があったりするんだよなぁ…はぁ~
とにかく、アレを目指して街道を真っ直ぐ進んでいけば
そのうち、美里街に着くだろうしな
そろそろ、色々な情報も欲しいから、ちゃんと街の中に入らないとな」
神護の言葉に、白夜もコクコクとするのだった。
遠くにでも、ずっと連なる防護壁や、人工的な建築物が見えたことで、サバンナの光景に飽きてきていた神護や白夜のテンションは、いやでもあがる。
リオウは、我かんせず状態で、馬車の出入り口に相も変わらずゴロゴロとしていた。
そして、リンクはというと、リオウの頭の上、耳と耳の間に蹲って眠って居たりする。
ちなみに熟睡していても、神護と深く繋がっていて、必要な魔力を途絶えることなく供給してくれているので、リンクはシールドを張りっぱなしにしたままなのだった。
リンクのシールドもあるコトで、神護は安心して、やっと訪れた状況変化を純粋に喜んでいた。
神護は心躍らせながら、馬達の手綱を無意識にキュッと握る。
「くすくす……なんだかんだ言っても、新鮮な最新情報を集めるには
やっぱり、大きな都市で聞くのが一番だろうからなぁ~……
あの銀水晶が映した映像から、お前の弟・グレンだったっけ……が
この彩湖王国の東の端にある美里街の領主? に
捕えられているらしいことは判っているんだから……
あとは、本当にグレンがここにいるかを確認して
現在、誰の所有かを調べれば良いだけだからな
話し合いや金でカタがつけば良いんだがなぁ……
もしダメだったら、力づくで奪うしかないな
まっなんにしても、彩湖王国の東の端かもしれねぇかけど
やっと街だ……あの美里街で、何があるか楽しみだな
あと……できれば、メシが美味いと嬉しいんだがなぁ……」
神護のセリフに、白夜も楽しそうに頷く。
「そうですね 父上
あの街に 私のすぐ下の弟のグレンが居るということは
銀水晶の映像で判っていますから……
私も なんだかすごくワクワクします
できれば さっさとグレンを無傷で取り返して
美味しいご飯をゆっくりと食べたいです」
まだ、昼前なので、急ぐでもなく、そんなのんびりとした会話をしながら、神護は馬車を走らせる。
馬達も、神護達が急ぐ旅をしていないことを感じ取り、遠くに安全な防護壁が見えても、せかせかした雰囲気を出すこともなく、軽い足取りで走り続けていた。
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