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0302★聖獣【レパルドフィン】の雛に初餌をあげました
しおりを挟む神護は、虹色オオトカゲの鮮血を入れた壷に、自分の鮮血を混ぜたモノを作り上げ、アスカが飲みやすいようにと少し深い小皿に木製のお玉で取り分ける。
勿論、神護の左手首に開いた傷口は、体内の【ルシフェル】がさっさと閉じていたコトは言うまでもない。
神護がアスカの為に、お乳代わりの鮮血を注いだ小皿を用意したと同時に、白夜はふこふこのジュータンの上へとソッと降ろす。
神護は、その目の前に小皿を置いてみる。
アスカは、目の前に置かれた鮮血入りの小皿をしきりにフンフンと匂いを嗅いでから、チョビっとだけ舌を出して、チロリと舐めて小首を傾げる。
お腹は空いているが、ミルクの匂いがしない為、ちょっと躊躇いがあるようだった。
ただ、生れもったアスカの本能が、ソレ(神護の鮮血が混じった生き血)を極上のごはんだと認識し、その口腔に広がった美味しさにちょっとうっとりする。
まして鮮血から立ち昇る神護の匂い(魔力? 魔素?)を嗅ぎ取ったアスカは、ごはんとして摂取しても大丈夫だと判断して、ぴちょぴちょと一心に舐め始める。
はぁ~…ミルクが無いからどうしようって思ったけど、取り敢えず、俺の血を混ぜた生き血で大丈夫そうだな
そう言えば、母乳ってヤツは、母親の血から生成されて出来たモノだって聞いたことあるな
取り敢えずは、当座はコレでなんとか命を繋ぐコトは出来そうだな
とにかく、お乳を搾れる家畜が居る場所に行ったら、まず購入しないとな
毎度毎度生き血っていうのは、俺の気持ちがキツイ
なんにしても、なにがなんでも、彩湖王国の東の端美里街に、出来るだけ早く行かなきゃならなくなったな
アスカが初餌を口にして、生き血を飲んでくれたコトにホッとした神護は、自分の鮮血を混ぜた生き血の小壷本体に、時止めの魔法を掛ける。
それから、アスカの様子を見れば、綺麗に小皿に入れたモノを綺麗に舐めとって、神護を見上げていた。
「ふむ…もう少し飲ませても大丈夫かな? 加減が判らないから困るな
子猫や子犬と同じように飲まなくなるまで上げても良いのかな?」
呟きつつ、木製のお玉で自分の鮮血を混ぜた、虹色オオトカゲの生き血を小皿へと移す。
「白夜、悪いけど、アスカが満足するまで、様子見しながら飲ませてくれるか? 満足して眠ったら、俺のところに持って来てくれ。俺は、御者台に座って軍馬達の様子を確認して来る。昼ごはんの時間になったら、一度休憩しようと思う。軍馬達の頑張りしだいで、昼ごはんの時間はズレると思う」
「はい 父上 それでは アスカが満足するまで与えますね」
「ああ、頼むな。何にもなければ良いけど、突然あの巨大な虹色オオトカゲみたいなモンに出くわす可能性があるから、あまり軍馬任せで放置なんて出来ないからな。いや、あいつ等は凄く頭が良い子達だから、任せても大丈夫だとは思うが、魔物とか出た時に飼い主が居るのと居ないのじゃ、気持ちが違うだろうからさ。あとは任せたぞ」
そう言って、まだ新しく入れてもらった生き血を必死に舐めているアスカの小さな小さな頭を軽くソッと撫でる。
「はい 父上 任せてください」
神護から与えられた仕事(アスカの面倒)に、白夜は嬉々として返事をするのだった。
「ああ、任せたぞ。あと、アスカが飲み終わったら、生き血が入った壷は、あそこの備え付けの扉がある棚の中にしまっておいてくれ。時止めをしてあるから、そのまま収納しても大丈夫だからな。
「はい 父上」
頷く白夜の頭も軽く撫でて、神護は御者台へと向かう。
その背後では、必死に小皿へと取り分けられた生き血を飲むアスカと、小皿に追加で生き血を注ぐ白夜がいたのだった。
ちなみに、リンクはというと、神護が用意してくれた朝ごはんをひとカケラも残さずに食べきり、再びリオウの頭の上へと乗って既に眠りについていた。
こちらはこちらで、やはりまだまだ自力でごはんが食べられようと、幻獣【カーバンクル】の雛なので、食べたら寝るが基本のリンクだった。
それでも、リンクは健気にも、悪意から護る為に3台の馬車と繋がれた軍馬達をちゃんシールドを張ったままにしてたいた。
ちなみに普通は、いくら幻獣【カーバンクル】でも、四六時中シールドを張ったままでいられないモノなのだ。
だが、リンクは神護とラインが繋がっているので、余裕でシールドを張ったままで居られたりするのだった。
そして、神護と共に〈ドラゴン・ソウル〉を遠見などで監視していた者達は、リンクのシールドによって、その行方を終えなくなっていたコトは、誰も知らない事実だった。
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