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0295★《魔石》は魔素の塊りだそうな

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 神護はイヤな考えに蝕まれた思考を振り払うように、軍馬達を走らせる。
 勿論、ホタルは神護の肩に乗り、いざと言う時の偵察要因として腕輪に入らずに外に残っていたコトは言うまでもない。

 取り敢えず、ホタルが拾って来た聖獣【レパルドフィン】とやらは【ルシフェル】にまかせておけば良いだろう
 幸い【ルシフェル】は俺の魔力から魔素を作れるみたいだからな
 とはいえ、マジで人員が欲しくなってきたなぁ~……手が足りねぇ~

 取り敢えずは、旅商人のアデルが言った彩湖さいこ王国の東の端にある美里みさと街ってところに行かないとな
 あそこには、どうやら白夜の弟のグレンがいるようだからな

 まずはそいつを、何が何でもゲットして、軍馬達の世話を手伝ってもらおう
 いくら白夜が元は成人男子だって言っても、実際にまだまだ子供の身体だからな
 特に背中の翼なんて、どういう育ちかたをするかわからないから、なるべく負担になるコトはさせたくない

 ここは、さっさと居場所が判明しているグレンを迎えに行かないとな
 だから、彩湖さいこ王国の東の端にある美里みさと街まで、出来るだけ早く到着したい

 神護はそんなコトを考えながら、とにかく美里みさと街まで行程を出来るだけ早く進みたいと思うのだった。
 それに反応してか、待遇が良いからかはわからないが、軍馬達は意気揚々とご機嫌で突っ走り続けた。

 勿論、頑張り過ぎて途中でバテようと、神護が怒らないと判っているので、軍馬達は自分達の出来る限りの速さで走るのだ。
 ちなみに、疲れるぐらい頑張れば、神護が特別なオヤツをくれると理解している軍馬達は、力の出し惜しみなどせずに走る。

 軍馬達が走り続ける間、リンクが馬車や軍馬達にシールドのようなモノを張っていてくれたお陰か、不良の遭遇など一切なく、かなりの行程を走り抜けていた。
 が、御者台でなにもすることの無い状態が続けば、流石の神護も飽きる。

 さぁーて…そろそろ休憩……というか、野営の準備をするかなぁ~……
 お肉は、さっき獲ったドードー鳥があるからな
 アレが、今日のメインだな

 あと、あの聖獣【レパルドフィン】の様子もそろそろ確認したい

 何処か馬車を停めて良さそうな、広めの路側帯はないだろうか?

 「そろそろ今日の野営地を探すぞぉ~……お前達が泊まりやすそうな場所を探せぇ~………見付けたら、ゆっくりに速度を落としてから停止してくれ…俺は馬車の中に入るから……後はよろしくな」

 と、神護は軍馬達、特にリーダー馬に声を掛ける。
 それに答えるように、先頭を走る軍馬の片方がいななきを上げると、後続の二台目と三台目の馬車の同じ位置にいる軍馬達がいななきを返す。

 軍馬達なりのやり取りをしているのを確認し、神護はいそいそと馬車の中へと入る。
 勿論、履いたり脱いだりが大変な編み上げ革靴をちゃんと外してから、足触りの良いジュータンの上を歩く。

 はぁ~……革靴を脱ぐと楽だぁ~…その内、絶対に履きやすいのを作るぞ
 出来れば、あっちに戻るコトが有ったら、何足も買い込みたいわ…いやマジでさ…脚がツライわ

 馬車の中に入れば、白夜がうつぶせで、クークーと寝こけていた。
 リンクはというと、リオウの頭の上で丸まって寝ていた。
 ちょうど左右の耳と耳にすっぽりと嵌まるソコが居心地が良くて、眠ってしまったのだろう。

 神護は寝ている白夜達を見て、フッと微笑みを浮かべ、自分の胸元に作られた【ルシフェル】の触手の籠の中にいる神獣【レパルドフィン】の様子を窺う。

 ちょっと胸元の洋服を摘まみ、中を覗き込めば、編み込まれた籠の中で微睡む神獣【レパルドフィン】がいる。

 ふむ…どうやら【ルシフェル】がうまいコトやってくれたようだな
 ホタルが拾って来た時のクッテリとした感じが無くなっている
 んぅ~……そう…生気が戻ってきている感じかな?

 これなら、もうちょっとすれば起きるかな?
 魔素が必要だって言うんなら《魔石》とかに込められないかな?
 それなら、生命の危機なく自由に動き回れるんじゃないだろうか?

 いや、いっそ魔素をそのまま凝固させるってできないのかな?
 それなら、無くなれば目に見えて無くなったコトがすぐ判るからな
 取り敢えず【ルシフェル】に、そういうコトが出来ないか聞いてみるか?

 [【ルシフェル】魔素を濃縮させて、凝固させるってできるか? 聖獣【レパルドフィン】の雛を、この中胸元の籠から外に出してやりたいんだが……できるか?]

 神護からの問いかけに【ルシフェル】は完結に返答する。

 [マスター…魔物から採取できる《魔石》は、魔素が体内で凝固した、魔法の元でもありますよ……《魔石》をお持ちでしたら、首輪にでもして着けてあげれば大丈夫ですよ]

 へぇ~……《魔石》って魔素の塊りなんだ…ふぅ~ん…そっか
 んじゃ、弱った身体に負担が無いようなモノで作るか?
 そうすりゃ~……この【レパルドフィン】も生き残れるかもだしな

 [《魔石》ならあるぞ…恐竜みてぇーにもの凄くデッケー虹色オオトカゲから採取したヤツが……それを、この胸のところに入れた子に着けてやりたいんだが……どうしたら良いと思う?]

 神護が念話で問い掛ければ【ルシフェル】が答える。

 [ではマスター…その《魔石》を胸元に入れてください…私が細工して、身体に無理なくその子に着けてあげましょう……なんなら首ではなく、胸元に着けて上げた方が良いかもしれませんね…できるだけ身体の中心に近い方が良いでしょう]

 【ルシフェル】からの答えに、神護は腕輪から虹色オオトカゲから採取した一番大きくて綺麗な深緑色の《魔石》を取り出して、自分の胸元へとポイッと入れるのだった。
 それを触手で受け取り【ルシフェル】は神護の魔力を採取して作った瘴気を凝縮させて、装備用の道具を作り上げ、ほとんど昏倒するように眠る聖獣【レパルドフィン】の身体へと装着させるのだった。

 ソレは、見た目が犬のハーネスのようなモノだった。
 ちょうど四つ足で立った時に、胸元に《魔石》が来るように作られていた。
 【ルシフェル】が作った籠の中で濃い魔素に浸かった上で、身体の中心に高濃度な魔素を含む《魔石》を装備したコトで、当面の命の危機からは脱した聖獣【レパルドフィン】の雛は、それはそれは気持ち良さそうにクークーと寝息を立てはじめるのだった。








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