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0285★討伐した魔植物・カエスは変異種のようでした
しおりを挟むそう呟いた神護は双眸を閉じて内なる【ルシフェル】に問い掛ける。
どうだ? 【ルシフェル】
知識通り毒はねぇーみたいだけど
[はい 大丈夫なようです
ただ 変異種のようです
本来は 滋養強壮効果だけの
はずなんですが………
身体強化 筋力強化 感覚強化
それと 反射強化に 持久力強化
更に再生力強化の付与がありますね
これは かなり変異していますね
下手に市場に出すのは非常に危険です
マスターは飛翔族の【守護者】なのですから
助け出した飛翔族にのみカエスの実を
与えた方が良いと思います]
神護は【ルシフェル】の忠告に、こころの中で頷いてから双眸を開く。
そして、毒見を兼ねた味見を済ませた神護は、わくわくしている白夜に、半分に割った塊茎を手渡して言う。
「コレを食べるから、昼食は軽くだな
コレは、どうも変異種のようだな
かなりの滋養強壮と付与があるようだ
ほら、ゆっくりと味わって食べろよ」
半分に割られた塊茎を受け取りながら、白夜も頷く。
両手で受け取った白夜はカエスの地下の実の大きさとズシッと来る確かな重さに頷く。
「はい 確かに これだけの大きさがあると
昼食は少しで充分だと思います」
〔へぇ~ コレは変異種の実なんですか
カエスは 変異を起こす種なんですね
というか 父上 それはどこからの知識ですか?
なんか私の譲渡した知識以上に知ってます?
私が譲渡した知識にかんしては
ボロボロと色々欠けているようですけど
父上は 私が譲渡した知識とはまた別に
多岐に渡って 知識があるようですね
そういえば 〈ドラゴン・ソウル〉の
ホタルを所有しているんでしたっけ
そうなると たぶん ホタルの知識でしょうね
飛竜族はかなり長命のはずですし
ホタルは その中でも特に《魔力》が強く
かなり長命な 羽毛を持つ翼竜族のようでしたし
たしか 飛竜族は 光り物なども大好きで
知識欲も強い種と記載されていた気が
まぁ 飛竜族は 私が誕生た頃には
とうに絶滅していた種ですからねぇ………
実際は知りませんけど 書物通りなんでしょうね
あぁー 早くホタルの卵から雛が孵らないかなぁ~
小さな飛竜 きっと可愛いでしょうねぇ~…………
一緒に空を飛んだりしたいです
父上を背に乗せて その隣りを一緒に飛ぶ
まだまだ 夢のまた夢ですよねぇ………
はぁ~ 早く私の背中の翼も ちゃぁ~んと
空を飛べる翼に育ってくれないかなぁ~〕
そんなコトを考えながら、白夜は手渡されたカエスの地下茎に生った見た目は巨大なキウイの実にかぶりついた。
口の中に広かる蕩けるような甘味と僅かな酸味に、白夜はうっとりしながらむさぼり食らった。
〔果肉がしっかりしているから
これは食べたっけが強いですね
それに思っていた以上に弾力があり
甘酸っぱくて美味しいです
あれ? 気のせいでしょうか?
なんかちょっと 翼の根元辺りが
ムズムズした感覚があります
そう言えば 父上が 滋養強壮の他に
なんか色々と付与があるって言ってましたね
もしかして その効果が翼の根元に出てる?
ここは………ちゃんと育てぇ~ 私の翼よ
転生前のように 自由に空を舞える翼に育て
父上を抱えて 優雅に飛べるほど
がっしりとした 翼が欲しい〕
白夜は、こころの中で呪文のようにそう何度も唱えながら、滋養強壮と付与効果のあるカエスの地下の実を口にしこころして味わうのだった。
ちなみに、白夜がカエスを堪能している間に、枯れたカエスの葉と茎と根のすべてを食べつくした馬達が、神護に期待の瞳を向けていたのは言うまでもない。
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