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0257★白夜もお手伝いします
しおりを挟む一方の白夜は、神護の後に続いて、置いてある履物を履き、きっちりと革紐を膝下まで編み上げ、自分も御者台にスルッと出るつもりでいた。
が、しかし、御者台に出る為の出入り口部分で、それなりの広さはあるものの、成長した翼をぶつけぬように気遣った為、出るのに大変苦労した。
あぅぅぅ~ なんか…まだ この身体に慣れなていないようだな
いや 成長したセイもあるのだろうが………
こんな小さな翼でさえ 滑らかな動きの障害になっている
あの大きな翼を背に持っていた時 こんな苦労をしていなかったはず
私は 転生前 どうやって普通の生活をしていたのか………
記憶はちゃんとあるはずなのに 身体の違和感が半端なくあるな
白夜は、まだ翼が急成長してから時間が経っていないので、自分の翼の大きさに、感覚が付いていけないでいた。
神護は、白夜が出入り口をすり抜けて、御者台に座る自分の隣りに座ったのを見計らってから、馬達の手綱を一度クイッとキツク引き、脚を止める合図を送る。
勿論、声かけをしつつ。
「広い路側帯を見付けたら、ソコに入れぇ~……
今日は、ソコで野営するぞぉ~………」
初心者でも扱えるように、よぉ~く訓練されている血統優秀な馬達は、神護からの合図と声かけに応じて、すぐに速度を緩めて、街道の路側帯を求め始める。
そして、ほんの十数メートル先に、大きな路側帯を見付け、ゆっくりとした足取りで、路側帯に入り、真ん中あたりで静かに停止した。
馬達が完全に脚を止めたのを確認し、神護は御者台で立ち上がり、前後左右を取り敢えず見廻す。
が、見渡す限り、サバンナの帯と礫砂漠が延々と続くだけで、そこには、人影や馬車などの姿は一つも見当たらなかった。
あの旅商人・アデルのキャラバン隊ってどこまで先行してるのかな?
そういう影が、全然見えねぇ~んだけど……はて?
もしかして、休憩なしで突っ走っているのかな?
そんなことを考えつつ、神護は見える範囲に、誰も居ないことを確認する。
まぁ…いいか……とりあえず見える範囲に人影らしいモンはねぇ~な
くすくす……いざとなったら……3台の馬車ごと、馬達込みで
あそこの神殿の中に《転移》すれば良いだけだし………
幸い、古の女神の祭壇の前の空間はだだっ広いし
3台の馬車を、繋がれた馬ごと入れたって余裕余裕の広さだもんな
《転移》での《魔力》の消費をあまりどころか、全然感じない神護は、そんなコトを考えつつ、御者台におとなしく座っている白夜に言う。
「今日は、ここで野営だな
一応、目視で確認した限りでは、人影どころか動物の影すらねぇーから
この辺の地域の知識がねぇーから、あんまりわかんねぇーけど
まぁとりあえず、大丈夫だろう」
そう言って、神護は御者台からひょいっと降りて、昼間に休憩した時のように、自分達が乗っていた1台目の馬達から《清浄》と《微風》を使って、汗に濡れた馬体を温風でマッサージするように乾かして行く。
それを見ていた白夜は、リオウを呼んでその背を足場にしながら、馬の全身を軽くタオルもどきで拭って、ブラッシングしてやる。
まだまだ、小さい身体なので、白夜が1頭目の馬の手入れが終わる頃には、3台目の馬車に繋がれる馬達まで《清浄》と《微風》を済ませた神護が、側に戻ってきていた。
「ありがとう白夜、リーダー馬のブラッシングしてくれたんだな」
神護からの褒め言葉に、白夜はにこぉ~っと笑って頷く。
「はい 身体の小さい私が出来ることは少ないので………
そりより父上 御者台の出入り口付近に設置された棚に
馬達用の厚地の布がありました」
白夜は御者台の出入り口から手を入れればとどく位置に、馬達にかける厚地の粗布があることを確認していたので、それを報告する。
「そうか、わかった……わりーな、白夜
流石に、あまり手入れに詳しくないから、馬達の世話も手探りだ
けど、こいつらだって大事に扱えば、良い子でいてくれるからな
出来るだけ、ケア…っと…丁寧に手入れしてやろうな」
「はい 父上」
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