絶滅危惧種のパパになりました………～保護して繁殖しようと思います～

0251★流石に、延々と続く光景に飽きました

　神護は流れる景色を見るとはなしに、なんとなく観察しながらコレまでのことをなんとなく回想してしまう。

　本当に、今の状態は、何の巡り合わせかは分からないな
　白哉の入っていた卵を手に入れた後は、夢現つ状態だった

　父親と１つ違いの兄の真司と弟の真三郎に、双子の妹・唯香と優香がいる
　ごくありふれた父子家庭の高校生・真城神護として生きる現実の世界と
　このファンタジーな世界を、意識が行ったり来たりしていたのは事実だ

　原因は、修学旅行で訪れた出雲大社だろうことはわかっている
　けど、何故、俺なんだろうか？

　まぁ、その現象を起こしたモノが２つの世界の最高神の女神の取り引き？によるものとは、流石に思いつくこともなかったが…………。

　神護は、古いにしえの女神の神殿の祭壇で、白哉が卵から孵った時から、意識がファンタジーな世界から、現実世界へと、シフトアップすることが無くなっていることに、実は薄々気付いていたりする。

　さてさて……このファンタジーな世界で、白哉と行動するのって
　それはそれでおもしれぇ～けど…俺ってどうなっちまってんだろうなぁ？

　今のこれは、途切れることのない長い夢を見ている状態なのかな？

　それとも、現実世界でちゃぁ～んと意識が覚醒している時のことを
　こっちに意識がシフトアップされているとコロッと忘れちまうのかな？

　まっ…いっか……どうせ、今の状態が理解わかったとしても
　俺の自由意思で、現実世界とこのファンタジーな世界の生活を選んで
　シフトアップできるわけじゃねぇーんだから………

　何もしようが無いのが現実だよな
　自称婚約者の幼馴染み達や、弟や妹達が心配だけど、どうしようもない
　
　それにしても、マジで延々とサバンナだよなぁ～………

　神護は、御者台に座り、左右に流れて行く風景をなんとなく観察する。
　そして、神護は自分の視界に流れる景色に、溜め息を吐く。

　流石に、こう…延々と、どこか白茶けた感じのサバンナの帯に
　まばらな草木がポツポツと…って…物悲しいな

　そこに付随するののが、まるで瓦礫のような礫砂漠状態れきさばくじょうたいの大地
　流石に、こう変わりばえしない風景がずぅ～とって飽きるな

　馬達は神護が指示を出さなくても、言っていたコトを聞いていたので、ただただ街道を彩湖さいこ王国の東の端にある美里みさと街に向かって走り続けている。

　そう、御者台に座る神護には、本気で何もやることが無いのだ。
　馬達は指示通りに、安定した走りでただただ走り続けているだけに………。

　はぁ～………あぁ…そうだ……白夜はどうしているかな？
　成長による疲労もあって、あの後は行き倒れるように熟睡してたけど

　何時もなら、一人になることを嫌がって、すぐに俺の後を付いてまわり
　抱っこをねだってくるんだけとらなぁ………

　やっぱり、あの成長はきつかったのかな？　随分と静かなままだけど
　マジで寝ているみたいだな、これは

　だぁ～……流石に、この風景もいい加減飽きてきたしなぁ……
　考えてみたら、俺が生まれ育った世界は、世界有数の先進国
　歌も踊りも、マンガやアニメもある賑やかな世界だもんな

　しっかし、本当にアデルから買い取った馬車に繋がれている馬達は
　ほんとぉーに良い子達だよなぁ～………
　馬なんてろくに触ったコト無いのに、指示に素直に従ってくれる

　馬って頭がイイから馬鹿にするコトあるって聞いていたんだよなぁ…
　特に乗馬クラブで、初心者体験コースに参加すると、極稀にだけど
　初心者を馬鹿にして言うこと聞かない馬が居るって話しあったなぁ……

　まっ、こいつ等はどの子も従順で頭のイイ子のようだけどな

　恐竜並みの虹色オオトカゲの頭と肉で、アデルから買った馬車に繋がれている馬達は、血統が優秀な馬達から、更に選りすぐって集められた性質が穏やかで（気に入った飼い主にだけ）、頭の良い極上品だった。
　ただし、実際はどんな環境でも適応できる、頭が特段に良い軍馬なので、気性はめっぽう荒いのだが………。

　軍人でない神護には、軍馬が本来どういう扱い方をされているか知らない為、ペット感覚で甘やかしてしまうのだ。
　そんな優しく甘い扱いを受けたコトの無い軍馬達にとって、神護は理想的な飼い主なのだ。

　故に、逆らおうとか逃げようなんて気持ちはカケラも無かった。
　ただただ、神護にイイ子だと言って褒めてもらいたい一心でいたりする。

　そのお陰で、馬の扱いはド素人の神護でも、たいした指示を必要としないのだった。