243 / 328
0243★白夜をベッドに寝かせてやりました
しおりを挟む神護は、先にリオウを入れた後、片腕に白夜を抱え、もう片方の手には、幻獣【カーバンクル】の雛が入った銀細工の鳥籠を持って、馬車の中に入った。
馬車の中に入ると、さっき見た時は薄暗かった中は、かなり明るくなっていた。
神護は、まず幻獣【カーバンクル】の雛が入った銀細工の鳥籠を、ソッと端っこに置く。
そして、ソッと被せた水の精霊の加護があるまるいの布を持ち上げて中を覗き込む。
よしよし、イイ感じに寝ているようだな
まだ、雛って言っていただけあって小さいしな
そう思ってから、神護は改めて馬車の中を見回す。
ふむ、やっぱり何か、魔道具っぽいモンが設置されているのかな?
俺が生まれ育った世界で言う、電気ランタンみたいなモン辺りかな?
神護は馬車の中に入って見て小首を傾げる。
馬車の中はかなり明るく、結構広く大きかった為に。
へぇぇ~………ざっと見た感じで、八畳ぐらいありそうだな
天井も、かなり高いんで助かるな
ただ、馬車の外見から考えて、中の広さや天井の高さがあって無い
何らかの空間魔術みたいなモンが組み込まれているのかな?
たまに、ラノベにそういうのあるよな
まぁ、でもそれはそれですっごく助かるな
このファンタジー世界の生き物は、総じて大きいようだからな
となると、人間も大きいのかな?
コッチに来てから今まで出会ったのって、全員が全員異形………
つーか、人型は獣人ばかりだったよなぁ
大きさは、ひと回りくらい差があるかな? 程度だったけど?
いやいや、その前に、俺みたいな獣相のない人間ているのか?
考えてみたら、俺、まだこの世界のことほとんど知らないんだよなぁ
はぁ~……まぁーそんなコト、考えてもしょうがないか……
とにかく、今はさっさと街道に入るだな………つっても馬任せだけど
マジイイ馬達が手に入ったなぁ~……
馬達に向かって、ただ目的地を言うだけで進んでくれるんだから
とりあえず、街道に入ったら、馬達に休憩を与えてやろう
旅商人・アデルに追い付けるなら、追い付きたいが半分だな
アデル自身は、信用はできるとは思うが………
雇っている護衛達や、配下達が信用できるかと言うと
信用して大丈夫な確証は無い
白夜をひと目に晒すのは少し様子を見てからだ
だから、距離は視認できる程度で………付かず離れずが理想かな?
じゃなくて……あぁ…ベットが入っているな…左右に三段ベットづつか
なるほど、上と下は荷物を入れられる仕様なのか
んで、真ん中の段に寝るということか………
神護は、馬車の中の状態を確認し、片方のベットの中段に、白夜を寝かせる為に、被せていたマントを外して、そっとうつ伏せになるように寝かせる。
それは、成長している最中の背中の翼を痛めない為だった。
お姫様衣装の背中を切ったソコから覗く翼は、マントから解放されたことで、無意識にパタパタと動いていた。
それを見て、少し考えたが、翼の負担にはならないだろうと、絹に似た手触りでとても軽い毛布のようなモノをそっと掛けてやる。
眠る時に個室になるように、カーテンのようなモノがベットには備えられていたが、あえてそれは引かなかった。
目覚めた時に、自分の姿が見えず、不安を覚えないようにという配慮だ。
神護は、なるべく音をたてないように、そっとベット周辺を調べるコトにした。
とりあえずというコトで、白夜を寝かせたベット周辺から………。
白夜を寝かせたベットの上段には、様々な衣装らしきモノが、たっぷりと詰め込まれていた。
綺麗な衣装箱に、ぎっしりと詰められた布と服に、神護は無意識に頷く。
良かったぁ~……幸いなことに、着替えもかなりありそうだな
これで、もっと身体や翼にとって、楽なモノを白夜に着せられるな
神護は白夜が起きた時に着替えられるように、馬車の中に入っていた衣装を何点か出して置く。
白夜が着替えたいと言った時の為に………。
そんな神護の側に寄り添っていたリオウは、ひとつ大あくびをして、その白夜のベッドの側にゆったりと伏せる。
側に来て、うとうとし始めたリオウの頭を撫で、神護は白夜が起きた時の着替えを用意した後、御者台へと戻って扉を外からそっと閉める。
勿論、鍵などは掛けていない。
0
お気に入りに追加
606
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜
月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。
蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。
呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。
泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。
ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。
おっさん若返り異世界ファンタジーです。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。


転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる