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0243★白夜をベッドに寝かせてやりました

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 神護は、先にリオウを入れた後、片腕に白夜を抱え、もう片方の手には、幻獣【カーバンクル】の雛が入った銀細工の鳥籠を持って、馬車の中に入った。

 馬車の中に入ると、さっき見た時は薄暗かった中は、かなり明るくなっていた。
 神護は、まず幻獣【カーバンクル】の雛が入った銀細工の鳥籠を、ソッと端っこに置く。
 そして、ソッと被せた水の精霊の加護があるまるいの布を持ち上げて中を覗き込む。

 よしよし、イイ感じに寝ているようだな
 まだ、雛って言っていただけあって小さいしな

 そう思ってから、神護は改めて馬車の中を見回す。

 ふむ、やっぱり何か、魔道具っぽいモンが設置されているのかな?
 俺が生まれ育った世界で言う、電気ランタンみたいなモン辺りかな?

 神護は馬車の中に入って見て小首を傾げる。
 馬車の中はかなり明るく、結構広く大きかった為に。

 へぇぇ~………ざっと見た感じで、八畳ぐらいありそうだな
 天井も、かなり高いんで助かるな

 ただ、馬車の外見から考えて、中の広さや天井の高さがあって無い
 何らかの空間魔術みたいなモンが組み込まれているのかな?
 たまに、ラノベにそういうのあるよな

 まぁ、でもそれはそれですっごく助かるな
 このファンタジー世界の生き物は、総じて大きいようだからな
 となると、人間も大きいのかな?

 コッチに来てから今まで出会ったのって、全員が全員異形………
 つーか、人型は獣人ばかりだったよなぁ

 大きさは、ひと回りくらい差があるかな? 程度だったけど?

 いやいや、その前に、俺みたいな獣相のない人間ているのか?
 考えてみたら、俺、まだこの世界のことほとんど知らないんだよなぁ

 はぁ~……まぁーそんなコト、考えてもしょうがないか……
 とにかく、今はさっさと街道に入るだな………つっても馬任せだけど

 マジイイ馬達が手に入ったなぁ~……
 馬達に向かって、ただ目的地を言うだけで進んでくれるんだから
 とりあえず、街道に入ったら、馬達に休憩を与えてやろう

 旅商人・アデルに追い付けるなら、追い付きたいが半分だな
 アデル自身は、信用はできるとは思うが………

 雇っている護衛達や、配下達が信用できるかと言うと
 信用して大丈夫な確証は無い

 白夜をひと目に晒すのは少し様子を見てからだ
 だから、距離は視認できる程度で………付かず離れずが理想かな?

 じゃなくて……あぁ…ベットが入っているな…左右に三段ベットづつか
 なるほど、上と下は荷物を入れられる仕様なのか
 んで、真ん中の段に寝るということか………

 神護は、馬車の中の状態を確認し、片方のベットの中段に、白夜を寝かせる為に、被せていたマントを外して、そっとうつ伏せになるように寝かせる。
 それは、成長している最中の背中の翼を痛めない為だった。

 お姫様衣装の背中を切ったソコからのぞく翼は、マントから解放されたことで、無意識にパタパタと動いていた。
 それを見て、少し考えたが、翼の負担にはならないだろうと、絹に似た手触りでとても軽い毛布のようなモノをそっと掛けてやる。

 眠る時に個室になるように、カーテンのようなモノがベットには備えられていたが、あえてそれは引かなかった。
 目覚めた時に、自分の姿が見えず、不安を覚えないようにという配慮だ。

 神護は、なるべく音をたてないように、そっとベット周辺を調べるコトにした。
 とりあえずというコトで、白夜を寝かせたベット周辺から………。

 白夜を寝かせたベットの上段には、様々な衣装らしきモノが、たっぷりと詰め込まれていた。
 綺麗な衣装箱に、ぎっしりと詰められた布と服に、神護は無意識に頷く。

 良かったぁ~……幸いなことに、着替えもかなりありそうだな
 これで、もっと身体や翼にとって、楽なモノを白夜に着せられるな

 神護は白夜が起きた時に着替えられるように、馬車の中に入っていた衣装を何点か出して置く。
 白夜が着替えたいと言った時の為に………。

 そんな神護の側に寄り添っていたリオウは、ひとつ大あくびをして、その白夜のベッドの側にゆったりと伏せる。

 側に来て、うとうとし始めたリオウの頭を撫で、神護は白夜が起きた時の着替えを用意した後、御者台へと戻って扉を外からそっと閉める。
 勿論、鍵などは掛けていない。








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