絶滅危惧種のパパになりました………~保護して繁殖しようと思います~

ブラックベリィ

文字の大きさ
上 下
211 / 328

0211★神護は、足になる馬が欲しい

しおりを挟む


 〔グレンが居るだろう彩湖さいこ王国の東の端の美里みさと街や
  シレイが捕まっているだろう波璃湖はりこ王国の西にある
  蝦蟇野がまや街に 早く行きたい 

  父上も 移動に便利な足が欲しいと言っていたし

  これだけ大きくなった翼なら きっと飛翔族の祈願成就の《力》が
  発揮されるはず ここでもう一度 父上の欲しいモノを聞くんだ〕

 「父上ぇ 父上が 今欲しいモノって なんですかぁ?」

 ちょっと甘えを含んだ声で、何気なく白夜が問いかけてきたので、神護は上の空で答える。

 「あぁ~…そぉ~だなぁ~……今、欲しいモノって言ったら……
  やっぱり、ここは馬…かな? いや、砂漠だとラクダか?

  でも、俺として馬の方が良いよなぁ~…扱いずらいラクダよりも
  馬の方が指示に従ってくれそうだし………」

 神護の答えに、白夜は首を愛らしく傾げる。
 その仕草から、自分が何故そういうモノを欲するか理解わからないらしい白夜に、神護は小さく微笑いながら、説明を付け加える。

 「ああ、なんで馬が欲しいか理解わからなかったか?
  ほら、徒歩だとどうしても、1日の距離がかせげねぇーだろ

  何処に行くにも、徒歩よりは馬の方が早いからな
  まっ、別に馬本体じゃなくてもイイんだけどな

  馬のように乗れる生き物なら、なんでもイイんだけどよぉ…
  リオウが成獣だったら乗せてもらうところだけどな
  まだまだ、見るからに子供だから負担は掛けられないしな

  走っての移動も、こんな歩きにくい礫砂漠れきさばくじゃ~
  流石に、限界があるからなぁ………

  それに、あのいにしえの女神の神殿への《転移てんい》も
  どこまで使えるかわからないしな」

 辺りを見廻しながら歩く神護は、ここが完全な礫砂漠れきさばくで不毛な地域ではないことを知る。
 よく見れば、木陰が消えた草原?と、いうよりはサバンナに近いところが帯状に、礫砂漠れきさばくの中を走っていた。

 へぇ~…ホタルの視界と繋いだ時に…変な見え方してたのはコレか
 あん時は、夜だったし、高高度からただけだったからなぁ

 ふむ……歩きにくい、礫砂漠れきさばくを歩くよりも
 このサバンナ風の帯の上を歩いた方が足への負担が少なそうだな

 「白夜、リオウ、少し向こう側の草が生えてっとこに移動するぞ
  この足場の悪い礫砂漠れきさばく自体を、そのまま延々と歩くより
  少しでも何か生えている方が、足への負担が少ないからな」

 そう言って、走り寄って来た白夜をひょいと抱き上げ、サバンナ風の帯へと足を向ける。
 当然、白夜の後を付いて歩いていたリオンも戻って来て、神護の隣りを歩き始める。

 ただ、視界を遮るモノが何も無い礫砂漠れきさばくは、サバンナ風の帯までの距離が意外とあり、神護は延々と歩くコトになった。
 そのお陰で、神護の歩く振動で、眠気を感じた白夜は、そのまま眠りへと落ちた。

 腕の中の白夜が少し重くなったことで、眠ったことに気付いた神護はかすかに笑う。

 ふっ…楽しくなって歩いていたが…やっぱり、慣れないヒールで
 歩きにくい礫砂漠れきさばくを歩いて疲れたようだな
 ぐっすり眠れ、白夜……寝る子は育つからな




しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

自由気ままな生活に憧れまったりライフを満喫します

りまり
ファンタジー
がんじがらめの貴族の生活はおさらばして心機一転まったりライフを満喫します。 もちろん生活のためには働きますよ。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。 貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。 「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」 それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。 だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。 それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。 それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。 気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。 「これは……一体どういうことだ?」 「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」 いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。 ――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

うどん五段
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...