207 / 328
0207★《転移》でもとの場所から
しおりを挟む
「白夜…その…翼が大きくなったことが嬉しいのは理解るが…
ちょっとの間、翼を動かさないでくれ」
神護のセリフに、ハッとした白夜は、ぴたっと翼を動かすのを止める。
その間に、神護は【ルシフェル】の樹液を手のひらに出し、唱える。
「……《清浄》……《治癒》……」
翼の根元の裂けた傷口を洗浄し、癒しの魔法をかけてから、いまだにジクジクしている傷口の上に、樹液をたっぷりと塗り付ける。
一応の処置が終わった神護は、白夜の翼の根元とドレスの背中の空間を考えて、白夜に言う。
「はぁ~…白夜……流石に、今回は翼…というか、その根元部分が
だぁ~いぶ育ったからなぁ……ドレスの背中部分を切り取るしか
無さそうだが、良いか? このままだと少々窮屈だろうし………
次に翼が成長する時は、まず間違いなく、大きくなった根元の
付加に負けて、大きく広がるだろう傷口を擦るのは確実だな
そうなると、すれた時にかなりの激痛になると思うから………
今の内に、少し大きめに背中部分を切り取っちまうか?」
ドレスの背中部分の布を切り取ったら切り取ったで、かなぁ~り
スカスカするかもしれないけど、翼の根元への負担は減るだろう
神護のセリフに、翼の成長痛に悩まされている白夜は素直に頷く。
「お願いします 父上 流石に 翼の成長する痛みはつらいです
傷口を擦ったらと思うと………」
と、言って無意識に身体と共に翼を震わせる白夜に、神護は苦笑いを浮かべる。
「そうだな……んじゃ…切り取るぞ…」
そう言い放って、神護は白夜に着せたドレスの背中部分の布を大きめに、短剣で切り取った。
そして、神護は今まで肩で留めていたマントを手に悩む。
「はぁ~…マントを肩に止めるても、翼が出て目立つからなぁ……
もう、これは肩に止められないから、いっそのこと頭から被るか?
それなら、翼の存在は隠せるし………」
神護のセリフに、白夜は素直に頷くのだった。
そして、白夜の翼の治療を済ませた神護は、ちょっと悩んだが、もう一度神殿から《転移》して、礫砂漠と樹海の稜線を歩くことにした。
この《転移》ってモノはとても便利なのだが、行ったことのある場所にしか行けない上、どの程度の距離が移動できるか判らないので、とにかく未知の領域を歩くしかないのだ。
白夜は、素直に神護の腕に抱っこされている。
流石に、成長音が聞こえるほどだっただけに、痛みも強かった為に、今は動く気力もないのだ。
それでも、眠気というモノは来なかったので、神護の中からキョロキョロと辺りを見回していた。
勿論、神護は白夜を左手1本で抱き上げて歩いていたりする。
常に片腕は空けておかないと、何時、何処から、どんな者に狙われるか分からないから………。
白夜が、抱っこされての移動に不平不満が無いのは、神護の腕に抱き上げられるのが、ことのほか大好きな為だった。
ちょっとの間、翼を動かさないでくれ」
神護のセリフに、ハッとした白夜は、ぴたっと翼を動かすのを止める。
その間に、神護は【ルシフェル】の樹液を手のひらに出し、唱える。
「……《清浄》……《治癒》……」
翼の根元の裂けた傷口を洗浄し、癒しの魔法をかけてから、いまだにジクジクしている傷口の上に、樹液をたっぷりと塗り付ける。
一応の処置が終わった神護は、白夜の翼の根元とドレスの背中の空間を考えて、白夜に言う。
「はぁ~…白夜……流石に、今回は翼…というか、その根元部分が
だぁ~いぶ育ったからなぁ……ドレスの背中部分を切り取るしか
無さそうだが、良いか? このままだと少々窮屈だろうし………
次に翼が成長する時は、まず間違いなく、大きくなった根元の
付加に負けて、大きく広がるだろう傷口を擦るのは確実だな
そうなると、すれた時にかなりの激痛になると思うから………
今の内に、少し大きめに背中部分を切り取っちまうか?」
ドレスの背中部分の布を切り取ったら切り取ったで、かなぁ~り
スカスカするかもしれないけど、翼の根元への負担は減るだろう
神護のセリフに、翼の成長痛に悩まされている白夜は素直に頷く。
「お願いします 父上 流石に 翼の成長する痛みはつらいです
傷口を擦ったらと思うと………」
と、言って無意識に身体と共に翼を震わせる白夜に、神護は苦笑いを浮かべる。
「そうだな……んじゃ…切り取るぞ…」
そう言い放って、神護は白夜に着せたドレスの背中部分の布を大きめに、短剣で切り取った。
そして、神護は今まで肩で留めていたマントを手に悩む。
「はぁ~…マントを肩に止めるても、翼が出て目立つからなぁ……
もう、これは肩に止められないから、いっそのこと頭から被るか?
それなら、翼の存在は隠せるし………」
神護のセリフに、白夜は素直に頷くのだった。
そして、白夜の翼の治療を済ませた神護は、ちょっと悩んだが、もう一度神殿から《転移》して、礫砂漠と樹海の稜線を歩くことにした。
この《転移》ってモノはとても便利なのだが、行ったことのある場所にしか行けない上、どの程度の距離が移動できるか判らないので、とにかく未知の領域を歩くしかないのだ。
白夜は、素直に神護の腕に抱っこされている。
流石に、成長音が聞こえるほどだっただけに、痛みも強かった為に、今は動く気力もないのだ。
それでも、眠気というモノは来なかったので、神護の中からキョロキョロと辺りを見回していた。
勿論、神護は白夜を左手1本で抱き上げて歩いていたりする。
常に片腕は空けておかないと、何時、何処から、どんな者に狙われるか分からないから………。
白夜が、抱っこされての移動に不平不満が無いのは、神護の腕に抱き上げられるのが、ことのほか大好きな為だった。
0
お気に入りに追加
601
あなたにおすすめの小説
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる