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0186★銀水晶の鏡が映したモノ
しおりを挟む「なるほど、で…その場所は特定できたのか?」
そっかぁ~………妹姫達が、翼を落とす姿を見たのか……
飛翔族の者としては、それはとても衝撃的だったろうな
だが、今は安全な場所にいる妹姫達よりも、捕らわれている
白夜の転生前の弟達の救出は急務だな
そいつらの所在が判るなら、買い取ることも出来るし
《力》づくで、所有者から奪うことだって出来るんだが………
神護からの言葉に、白夜は首を振る。
「アレに映ったのは ほんの一瞬でしたので 流石に場所までは
特定できませんでした それに動揺してましたし………
どこの誰の所有になっているかも 皆目検討がつきません」
唇を噛み締める白夜に、神護は優しい声で言う。
「そっか……んじゃ…この………」
「父上 それは銀水晶を《魔力》で磨いて鏡にしたものです」
白夜からの補足に頷き、言う。
「ふぅ~ん…銀水晶の鏡ね…この鏡に弟達が映ったって言うんなら
俺が《魔力》を加えたら映るかな?
もし、白夜の弟達の姿がコレに映るんなら、今居る場所の特定も
出来るんじゃないかな?
ここに《転移》したのって、こういう意味もあったのかもな」
そう、回収し忘れた、白夜の殻の回収と今後の指針として啓示とか
いざという時に《転移》が使えるとか………まっ色々あるわな
まさしく、起きる出来事に幸も不幸も無い、解釈しだいというのを地で行く神護は、黒き河の兵士に囲まれ、魔術師に捕縛されかかったことすら、意味があったと好意的にとらえるのだった。
白夜は、そんな前向きな神護の言葉に、眼を見張り、コクコクと頷く。
「そうですね 暗いことばかり考えていました
ここに 現在の状況下で《転移》したことは
きっと 意味があるのでしょうね ああそういえば
銀水晶の鏡を前に 女神サー・ラー・フローリアン様に祈って
飛翔一族の姿を垣間見ることができました
捕らわれた弟達と限定して この銀水晶に望めば
その居場所を 知ることが出来るかも知れません」
そう言って、無意識に銀水晶の鏡に手を伸ばそうとする白夜の為に、神護は祭壇に近付く。
転生する前の成人体と違い、幼い姿の白夜には、祭壇の前に立っても、高さがある為に、銀水晶の鏡を覗き込むことはできない。
勿論、稜線での活動時間をみて判るように、身体的な能力も《力》も、当然のごとく著しく低下している。
見るからに身長的に無理と判断した神護は、白夜を腕に乗せたまま、祭壇の銀水晶の鏡の近くに立つ。
白夜も、今の自分が祭壇の前に立って、祈ることは出来ても、その銀水晶の鏡に映るモノを覗き込む為の身長が無いことをさとり、素直に神護の腕の中から女神に祈る。
「いと高きところにおわす 女神サー・ラー・フローリアン様
我が兄弟 愛しき弟達の今の姿を どうか垣間《かいま》見せたまえ」
白夜がそう言って祈ると、銀水晶の鏡面が波紋のように波打ち、映像を結ぶ。
そこに映ったのは、神護の年齢的な感覚で、見ため二十代前半の青年だった。
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