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0179★幼い身体は直ぐに限界になります
しおりを挟む嬉しそうに頷き、地面付近にまで垂れ下がって来ている《ショウ》の実をもぎ取りに移動する。
それを見て、神護も《ショウ》の実を集め始める。
神護は《ショウ》の実を採取しながら、ぐるっと辺りを見回しながら考える。
こんだけ色々な樹があるなら有るかな?ドングリとかクリの樹……
確か日本じゃ、縄文時代の主食の1つになっていたはずだし………
ああ、そう言えば、ドングリを粉にして、水に晒して
澱粉を採取するって言うのあったな〕
そんなコトを考えながら、神護はひたすら《ショウ》を集めるのだった。
白夜と一緒に《ショウ》を十分に集めた神護は、巾着袋の方に採取したモノを放り込んだ。
「まっ…必要な分は採取できたし…移動するか?」
神護に振られて、白夜はコクコクするが………。
はしゃぎ過ぎたセイで、自分が思うよりも疲労したらしく、眠気に襲われて頬を無意識に膨らませる。
〔あぁ どうして 眠気が襲ってくるんだ? くらくらする
私は こんなに弱くなかったはず…なのにぃぃぃぃ~ダメかぁ~
あぁそうか ようやく理解した だから父上は孵化した直後から
常に 私を抱っこしたままだったのかぁ………〕
白夜の意識的には、まだまだ活動したいと思っていても、実際には卵から孵化したばかりの幼体なので、直ぐに限界が訪れてしまうのだ。
神護は、そこを気遣って、常に抱いて歩いていたので、白夜の認識は正しい。
体力の限界を知り、その事実に気付いた白夜は、これ以上は活動出来ないと理解して、神護に甘える。
「父上ぇ~………白夜ぁ なんか眠いです」
愛らしい仕草で抱っこをねだり始めた白夜に、神護はふんわりと優しく笑って頷く。
「くすくす…そうだな…でも、眠くなって当然なんだぞ、白夜
なんせ誕生後、初めての自力歩行だからな
疲労が溜まっても同然なんだ、まだ、誕生して間もないだからな
動かす為の基礎体力なんてモンは、まだまだ無いしな
筋肉も脂肪も、ほとんど付いていない身体なんだから………
今日は…ここまでだな、少しずつ体力を付けていけば良い」
そう神護に言われ、白夜は【転生】には様々なリスクがあることに、そこでやっと意識が向いたのだった。
〔あぁ…なんて この身体はやわで脆いことか たかだかこの程度の
狭い範囲で《シュウ》を拾い集めただけの 鍛錬とも呼べない
わずかな行動で こんなに疲労してしまうとは〕
白夜の足からヒールを取り除いて、腕輪に放り込み、その頭を優しく撫でて言う。
「白夜、そんなに焦って大きくなる必要は無いんだぞ
それにな…いくら転生前の知識や《力》があろうとも
お前自身は、数時間前に誕生したばかりなんだぞ
だから、とくに魔法的な《力》を発現するのは無理だからな
基本的な体力に余剰の魔力がなければ、使えないと思うぞ
そして、今の白夜にはどちらも無い
今は焦らず、自分自身を大事にしろ、健康にすくすくと育てば
自然と《力》も増して来るだろう」
神護の気遣いの入った言葉に、無意識に頷きながら、白夜は口惜しさに双眸を閉じて、その胸元に頭を擦り付ける。
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